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2019/5/16 21:15

Z、オートザム、パジェロ…歴史的名車39台! 「クルマで振り返る」平成の歩み【前編】

スポーツやセダン、ワゴン、軽自動車、コンパクト、SUVなど、平成の30年間で様々な国産名車が世の中に誕生しました。地球温暖化対策をはじめとした排ガス規制の観点から”エコ”がキーワードになった平成の時代を、77台の注目車で振り返ります! 今回は平成元年~14年の平成初期~中期をプレイバック!

 

30年間で浸透していった環境と安全への配慮

平成になって間もない頃には、まだバブルの雰囲気が残り、豪華で速いクルマが注目を浴びていました。しかし、その後はステーションワゴンやRV(いまでいうSUV)車が人気に。そのなか、平成9年に登場したのがプリウス。世界初の量産ハイブリット車は圧倒的な燃費を誇り、他社もハイブリッドなど、エコなモデルに注力することとなりました。

 

一方、世界に通用する高級車を目指したレクサスや、世界最高峰の性能を持つ日産GT‐R、ホンダのHVスーパーカーNSXのようなクルマも登場。また、ここ数年は日本だけでなく、世界的にSUVが市場を席巻しつつあります。衝突軽減ブレーキなどの安全装備の飛躍的進化は平成の終盤から始まった出来事でしょう。

 

【この人に聞きました!】

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

昭和の終わりに免許を取得し、30年で25台の愛車を乗り継いできました。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

【平成元年】 世に影響を与える日本車が続々と現れた1年

【トヨタ セルシオ】

シーマに対抗して登場!当時の最高級セダン

昭和末期の「シーマ現象」(※1)に続いて登場したのがセルシオです。世界に通用する高級セダンを念頭に開発され、その恐るべき静粛性と滑らかな走りには世界が震撼。主戦場の北米だけでなく、バブル期の日本でも販売台数が伸びました。

※:「シーマ現象」とは、バブル時代、日産のシーマが驚異的な大ヒットとなったことを表すもの。3ナンバーの高級車が庶民化し、大いに話題となりました。1988年(昭和63年)の流行語にもノミネートされました

 

【日産 180SX】

ドリフト車のベースとして驚異的な人気を誇った

昭和末期に出て大ヒットしたシルビアの兄弟車。スタイリッシュさが受けてシルビアがモデルチェンジしても継続販売されました。ドリフト車として人気を博したのも有名。

 

【スバル レガシィ】

ツーリングワゴン人気に火を付けた傑作

 

それまで地味な存在だったスバルが起死回生をかけて放った意欲作。ハイパワーなボクサーエンジンを搭載する4WDワゴンとして人気を博しました。

 

【マツダ ユーノス ロードスター】

オープンカーの美点を世界中に喧伝した名車

オープンカーが絶滅状態だったなかに現れて大ヒット。シンプルなデザインや「ヒラリ感」と評される軽快な走りも持ち味です。ロードスターの成功を見て世界中のメーカーがオープンカーの開発を急ぎました。

 

【日産 スカイラインGT-R】

16年ぶりに復活したGT-Rに沸いた!!

名機RB26DETT型エンジンの強力なパワーをあまさず路面に伝えるべく、状況に応じて前輪にトルクを最適に配分する画期的な「アテーサE-TS」を搭載。現在、中古車は高騰中です。

 

【日産 インフィニティQ45】

北米高級車市場の一角を狙った一台

セルシオに負けじと日産が送り込んだ対抗馬は、デザインも走りもチャレンジング。グリルレスに七宝焼きエンブレムを組み合わせた初期型のフェイスが印象的でした。

 

【日産 フェアレディZ】

自慢の280馬力! 日本車の自主規制はこのクルマから

いま見てもイケてるスタイリングは、当時もものすごくカッコよく見えました。長く続いた日本車の280馬力の自主規制は、このクルマから始まったことも有名な話。当時の日産がいかに元気だったかを象徴する1台です。

 

【平成2年】 280馬力の名車がバブル終盤を美しく飾る

 

【ホンダ NSX】

国産初のスーパーカーと呼ぶにふさわしい名車

日本で初めてスーパーカーと呼べるクルマが現れました。当時、世界のスーパーカーが軒並み乗りにくく壊れやすかったのに対し、極めて乗りやすく快適でメンテナンスフリーな仕上がりでした。800万円を超える価格も日本車離れしていました。

 

【三菱 GTO】

当時のライバル車を凌ぐ全幅1840mmとトルク

昭和末期にスタリオンというスポーツカーを擁していた三菱は、新顔のGT0で280馬力戦線に名乗りをあげました。42.5kgmの最大トルクは当時最強。大仰なデザインにより独自の存在感を発揮していました。

 

【三菱 ディアマンテ】

3ナンバーサイズで他メーカーを出し抜いた

5ナンバーと3ナンバーでは大きな隔たりのあった税制の改正直後、5ナンバーよりちょっと大きめのサイズで登場し大ヒット。「和製BMW」とも評された逆スラント顔の端正なデザインも人気でした。

 

【スズキ アルトワークス】

軽自動車の馬力自主規制の始まり

いまだ軽自動車の64馬力の自主規制があるのは、ワークス(初代/昭和54年5月発売)がモト。そしてワークスと言われてイメージするのは、エアロパーツをまとい丸目になったこの2代目でしょう。とにかく速かった。

 

【日産 プリメーラ】

「欧州車を超えた」と評価された操縦性

当時の日産が展開した「901運動」(※)の成果を強く感じさせた一台。小柄ながら広い室内空間やひきしまった足まわりによる良好なハンドリングは欧州車をしのぐと評されたほど。

※:「901運動」とは、1990年代までに技術の世界一を目指すべく日産が一連の技術開発に注力した運動

 

【平成クルマTOPICS】

エアバッグやABSが普及し始めた時期

 

 

今では当たり前となったエアバッグだが、国産車で急速に普及したのは平成2年中頃から。ちなみに日本の市販車ではじめての装着車(運転席のみ)は1987年(昭和62年)発売のホンダのレジェンド。

 

【平成3年】 RVブームの到来や軽スポーツカーの登場に沸いた

 

【マツダ アンフィニRX-7】

繊細な曲面で構成された形は魅惑的な美しさだった

もともとピュアスポーツのRX-7がよりカッコよく速くなりました。シーケンシャルツインターボを搭載し当初は255馬力を発生。ちなみに前年には3ローター280馬力のコスモも登場しました。

 

【トヨタ ソアラ】

バブル崩壊の影響を受け需要が減退

昭和末期から平成初期にかけてデートカーとして名をはせたモデルの3代目。初代や2代目があくまで和風のスペシャルティカーなのに対し、3代目は一気にアメリカンに。

 

【ホンダ ビート】

平成ABCトリオのB! 多くのファンを魅了した「ミニNSX」

のちに「平成ABCトリオ」(※)と呼ばれる軽スポーツ3台衆の中で最初に発売されたのがビート。ミッドシップにマウントされたトリオで唯一の自然吸気エンジンは、ホンダらしくかなり高回転型でした。

※:AはマツダのオートザムAZ-1、Bはホンダのビート、Cはスズキのカプチーノ

 

【三菱 パジェロ】

パリダカでも活躍RVブームの象徴

生粋のオフローダーながら都会的な洗練された雰囲気もあった2代目が大ヒット。三菱がRVに強いイメージが定着しました。当時絶好調だった三菱の象徴的存在。

 

【スズキ カプチーノ】

平成ABCトリオのC! 歴代唯一のスズキ軽スポーツ

軽スポーツを手がけるにあたり、スズキはFRで勝負をかけました。強力なターボエンジンを搭載し、前後ダブルウィッシュボーンサスペンションを持ちます。小さくても本格派。

【平成4年】

 

【マツダ オートザムAZ-1】

平成ABCトリオのA! 軽カー孤高のガルウイング

ミッドシップ、ガルウイング、ユニークなデザインなど平成ABCトリオのなかでももっとも特徴的。あまりに奇抜で現役当時の販売は伸び悩みましたが、中古車市場ではいまやすごい価格に。

 

【三菱 ランサーエボリューション】

宿命のライバルエボvsインプの時代が到来

WRC(世界ラリー選手権)への参戦を念頭に、ギャランよりも小柄なランサーに強力なエンジンを搭載。以降、ライバルに勝つためにどんどん派手さを増していきます。

 

【スバル インプレッサWRX】

ランエボと似たような成り立ちで、レガシィのシャシーをベースに小型化して開発されたインプレッサ。WRC参戦のための高性能モデルには「WRX」の名が冠され、2年後にはさらに強力な「STiバージョン」が追加されました。

 

【平成5年】

 

【スズキ ワゴンR】

軽ハイトワゴンの開拓者的存在

それまで車高の低いのが一般的だった軽自動車がいまのような姿になるキッカケがワゴンRでした。登場するや月販目標台数をはるかに越え、競合他社も似たような形の軽自動車の開発を急ぎました。

 

【トヨタ スープラ】

国産市販車として初の6速MT搭載!

まもなく復活するスープラの前身の2代目は26年前に登場。オーソドックスな雰囲気だった初代とは打って変わった派手派手なスタイリングに多くの人が驚きました。

 

【平成6年】

 

【ホンダ オデッセイ】

“ミニバンブーム前夜”に登場した一台

3列シート車というのはほぼワンボックスしかないなかに現れたオデッセイは、使い勝手に優れるうえに軽快で高く評価されました。のちに低床&低全高ミニバンに変化していきます。

 

【平成7年】

 

【ホンダ CR-V】

排気量2.0L以下の3ナンバーSUV

本格的なSUVブームが訪れる少し前、前年に登場したトヨタのRAV4とともに人気を博します。それまでRVにはあまり興味のなかった女性も含めて注目されました。

 

【ホンダ インテグラ・タイプR】

VTECパワー炸裂! タイプRがブームに

高回転まで爽快に吹き上がる高性能なVTECエンジンと、ちょっとピーキーで刺激的なハンドリングに魅せられた走り屋が続出。ほどなくタイプRブームが到来しました。

 

【平成8年】

 

【ホンダ ステップワゴン】

ミニバン王国のホンダが放った人気モデル

ホンダは他社に先駆けて箱型ミニバンも出して大ヒット。床が低く広々とした室内や、自分好みにいじれそうなシンプルなデザイン、低価格がウケて人気車に。

 

【平成9年】 環境技術の先進性プリウス登場が注目の年!!

 

【トヨタ ハリアー】

現在につながるSUVブームの始祖

カムリをベースとするラグジュアリークロスオーバーSUVとして仕立てられたハリアーは北米を中心に大ヒット。ライオンの着ぐるみをまとった紳士によるテレビCMも印象的でした。

 

【日産 エルグランド】

芸能人や政治家の移動手段としても使われた

押し出しの強いマスクや広くて豪華な室内、V6エンジンとFRレイアウトによる豪快な走りを誇りました。当時ブームとなっていたシボレーアストロの牙城に迫る国産ミニバンの王者。

 

【トヨタ プリウス】

「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーで登場!

世界初の量産ハイブリッド車である初代プリウスが世に出たのがこの年。当初の10・15モード燃費は28.0km/ℓ。遅くて走りも頼りなく、特殊なクルマという印象が強く、年間の販売台数は2万台未満。やがていまのような存在になるとは誰も想像ができませんでした。

 

【平成クルマTOPICS】

ハイブリッド車が登場、時代は「エコ」へ突入!

世界初となる量産ハイブリッド自動車として誕生したプリウス。以後、排気ガス制度などが設立され、日産リーフの電気自動車誕生など、平成時代の後半は「エコ」という言葉が重要視されていく。

 

【平成10年】

 

【トヨタ アルテッツァ】

「AE86の再来」と期待された話題作

ありそうでなかったコンパクトなFRスポーツセダンは登場前から話題沸騰。エンジンは4気筒が性能重視、6気筒が質感重視。クロノグラフ風のメーターも話題になりました。

 

【平成11年】

 

【トヨタ ヴィッツ】

コンパクトカー界に新風を吹き込んだ

スターレットに代わるトヨタのエントリーモデルとして登場。ギリシャ人デザイナーが手がけたという独特の内外装デザインやセンターメーターなどが斬新でした。

 

【ホンダ S2000】

ホンダとして29年ぶりのFR車

9000回転まで許容するF1直系の高回転型エンジンを積んだ2シーターオープンは、その切れ味鋭いハンドリングも高く評価されました。当時は、販売は伸び悩むも中古車は相当に高価。

【平成12年】

 

【日産 エクストレイル】

4人が快適で楽しい、200万円の「使える四駆」

SUVの人気が高まるなか、日産はシンプルなデザインに撥水シートや洗えるラゲッジなどを装備。他社とはひと違う独自路線のニューモデルを放ちヒットしました。

 

【トヨタ ノア】

大人気を博した21世紀の国民車

のちに一世を風靡するノアとヴォクシーが登場したのがこの年。ファミリー向けのノアに対し、ヴォクシーは若々しさを訴求すべくちょっとヤンチャな雰囲気とされていました。

 

【平成13年】

 

【ホンダ フィット】

コンパクトカーのベンチマークが誕生

21世紀を迎え、小型車の価値が見直されるなかでホンダが放った会心の一撃。センタータンクレイアウトによる広くて使い勝手の良い室内空間と軽快な走りに低燃費など魅力満載。メーカー間の勢力図を書き換えました。

 

【ダイハツ コペン】

130万円~で電動開閉式ハードトップが画期的!

モーターショーに参考出品され、あまりの反響から市販化が決定。愛らしいデザインの評価も高く、この価格帯で電動開閉式ハードトップを搭載していたのも画期的でした。ダイハツの意地を感じさせた一台。

 

【平成クルマTOPICS】

痛車ブーム到来! イベントが開催されるほどに

 

平成12年前後から車体に漫画やアニメ、ゲームなどのキャラクターステッカーを貼りカスタムした“痛車”が流行。専門雑誌の発行や、東京お台場のイベントでは1000台集まるほどの人気に。

 

【平成14年】 ミニバン時代の到来を確実に予測させた

 

【トヨタ アルファード】

エルグランドのお株を奪うトヨタの最上級ミニバン

 

宿敵エルグランドが2代目にモデルチェンジした翌日に登場。相手がFRを踏襲したのに対しこちらはFFを採用し、より広くて豪華な室内空間と大柄なわりに軽快な走りを実現。当初は互角だった販売はやがてアルファードの圧倒的優勢に。

 

【日産 キューブ】

かわいいデザインで一躍人気車に

そっけないデザインだった初代から変化し、人気に火がつきました。インテリアもオシャレ。左右非対称の後ろ姿も印象的で、コンパクトながら3列シート仕様もありました。

 

【日産 マーチ】

女性ユーザーに支持された傑作デザイン

キューブともども日産がバブル期に展開したパイクカーを思い起こさせるデザインにより、若い女性を中心に大人気を博しました。グッドデザイン賞やオートカラーアウォードも受賞。

 

【平成クルマTOPICS】

平成14年に始まったカーシェアリング

 

 

必要なときに必要なぶんだけ使う、エコで便利、賢いクルマの乗り方のカーシェアリング。タイムズやカレコなどの企業が運営。近年では日産自動車も公式で事業をスタート。

 

文/岡本幸一郎

 

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