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2019/2/17 19:30

西武の新型特急 001系「ラビュー」に様々な角度から迫る

【新特急の誕生②】年末からは車両の試運転も始められた

秋の会見があった1日前の10月28日に、最初の編成が山口県の日立製作所笠戸事業所から西武鉄道の小手指(こてさし)車両基地に運ばれている。西武沿線には少しでも早く車両を一目見たいという鉄道ファンが集った。

↑車両工場からはこのように車両の形が見えないようにカバーで覆われた姿で送られてくる。写真は2019年の2月3日にあった001系2編成目の輸送シーン

 

昨年10月に新型車両が輸送され、整備が重ねられた。2018年の暮れからは西武の路線で001系の試運転が始められた。もちろん多くの鉄道ファンが沿線に集まったのは言うまでもない。

↑西武池袋線を走る001系試運転列車。写真は2018年12月28日のもの。年末ぎりぎりまで試運転が続けられた

 

↑年明けからは西武豊島線や西武狭山線、そして西武新宿線(写真)といった路線の試運転も盛んに行われている。なお西武新宿線での特急運行はしばらくの間、これまでどおり10000系で続けられる予定だ

 

物珍しさもあって筆者も何回か沿線を走る試運転電車の撮影に出かけた。電車を待つうち、多くの人から話しかけられた。沿線に住む人たちの新型特急への関心の高さが感じられた。

 

「新しい特急、どうですか?」と聞いてみる。すると反応は多様そのものだった。

 

女性や若い世代からは好意的な意見が聞かれた。一方で西武沿線に長年住むという50歳代〜70歳代らしき男性数人からは、「うーん、微妙」「ちょっとなあ」といった声がちらほら出てきた。

 

レッドアローに長年、親しんできたこともあるのだろう。ユニークなスタイルにまだ馴染めないという層があるのかもしれない。筆者も西武沿線で育ったこともあり、「どうかなあ?」と思う1人であった。

 

 

【新特急の誕生③】見る角度で大きく変る新特急の“顔の印象”

「西武グループの象徴となる、世界に通じる『洗練』されたデザイン」。「西武沿線の自然の持つやさしさだけでなく、都会的なスタイリッシュさをあわせもつデザイン」。

 

これが001系の新デザインに対して、西武鉄道が求めたポイントだった。試運転されていた時に撮影した001系の写真を整理していて薄々感じていたこと。それは、この新型特急が見る角度で大きく印象が異なることだった。

 

通常の鉄道車両は、見る角度で印象が大きく変わる車両は少ないように感じる。一目みればイメージがつかめるという車両が多いなか、001系の“顔”はこれまでの車両とは一線を画している。ここからは写真を中心に紹介していく。読者に最終的な判断はお任せしたい。

 

2月14日に小手指車両基地で行われた報道公開および試乗会の写真を中心にお届け。また車両の細部の特徴は、写真解説として加えることにした。

↑まずはプロフィール写真用の角度から撮った001系。車体はアルミ素材で、シルバーの塗装が施されている。正面窓は楕円形で国内初の三次元、曲面ガラスが採用された

 

上記は、車両のプロフィール写真として使われるごく一般的な角度から写したものだ。角度を変えて撮ると、この車両の印象が大きく変わっていく。

 

↑上の写真と同位置でやや下側から撮影する。スピード感がより感じられるようになった。正面のガラス窓がよりカッコ良く写り、また車体側面のガラス窓の大きさも際立って見えた

 

↑さらに下側から見上げて先頭をクローズアップ。ちょっとドヤ顔になったイメージ? 楕円型をした正面のガラス窓と対して運転室横のガラス窓は正方形。デザインの対比がおもしろい

 

↑正面からも対比してみた。これまでの西武特急には貫通扉がなかったが、001系は西武特急で初の貫通扉装着車となった。将来、地下鉄路線への乗り入れを考慮した布石かと思われる。やや角度を振って見上げると、印象が様変わりした

 

ここまで見てくると、やはり001系は楕円形をした正面のガラス窓が印象的で、インパクトが強いことがわかる。さらにこだわって見ていくと。

 

↑横から正面のガラス窓をアップで写す。この曲面ガラス。そのまま広げると直径3mの真円になるそうだ。ガラス窓の右下には特急名を表示するLED表示器が付く。なお表示器は640分の1のシャッター速度で撮影が可能だった

 

↑この角度から写すと運転室の先が丸く出ていることがわかる。車体にはわすかにだが、隣に停められていた10000系レッドアロー・クラシック車両の色が写り込んでいる。西武秩父線のように緑が多いところではどのような色の反射が見られるか興味深い

 

↑ガラス窓の上部には前照灯が付く。通常は使われないが写真のように「スマイルモード」での点灯も可能に。スマイルモードでは前照灯の上に“まつげ”のような上部のみが点灯される。いわば前照灯に“遊びモード”も隠されているわけだ

 

走り始めてからは、車両基地で撮影する時に車両に密着しての写真はもちろん難しいだろう。とはいうものの、写真を撮られる時には角度でこれほど変わるということを頭において、チャレンジしていただいてもよろしいかと思う。

 

 

【新特急の誕生④】愛称「Laview」や車両番号はさりげなく

次は車体の側面に注目、さらに乗車することにしよう。まずは車体の側面のポイントから。

 

側面の第一印象はとにかくガラス窓が大きいことだった。ガラス窓の標準サイズはタテ1.35m、ヨコ1.58m。車体を横から見ると、外からも家庭のリビングのような印象がある。「Laview」という001系の愛称の中で大きなウェートを占める「リビング(Living)」の意味がここで結びつくように感じた。

↑001系の車体側面を見る。写真のようにとにかくガラス窓が大きい。ガラス窓の上と下の天地スペースがほぼ同じだ。このような車両はたぶん001系が初めてではないだろうか

 

ところで001系の車両番号はどこに付いているのだろう。通常、多くの車両が車両の側面のほぼ中央、そして下に記されている例が多いのだが、001系の車両番号は車両端の上部にさりげなく記されている。

 

上の写真の3号車ならば「001-A3」。下の写真の1号車ならば「001-A1」という具合だ。加えて「Labiew」という愛称も小さめにさりげなく付けられている。

 

車両番号の「A」はどのような意味を持つのだろう? このAとは001系のA編成、つまり第1編成を意味する。以降の001系はB編成、C編成といった編成名が付けられていく。西武鉄道で編成名をアルファベットにしたのは始めてだそうだ。何から何まで新しい、それが001系だった。

 

↑車体側面に付く「Laview」の愛称と、車両番号「001-A1」の文字。001-A1とは001系のA編成の1号車を意味する。さりげない表示の仕方も001系の特徴となっている
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