【新特急の誕生②】年末からは車両の試運転も始められた
秋の会見があった1日前の10月28日に、最初の編成が山口県の日立製作所笠戸事業所から西武鉄道の小手指(こてさし)車両基地に運ばれている。西武沿線には少しでも早く車両を一目見たいという鉄道ファンが集った。
昨年10月に新型車両が輸送され、整備が重ねられた。2018年の暮れからは西武の路線で001系の試運転が始められた。もちろん多くの鉄道ファンが沿線に集まったのは言うまでもない。
物珍しさもあって筆者も何回か沿線を走る試運転電車の撮影に出かけた。電車を待つうち、多くの人から話しかけられた。沿線に住む人たちの新型特急への関心の高さが感じられた。
「新しい特急、どうですか?」と聞いてみる。すると反応は多様そのものだった。
女性や若い世代からは好意的な意見が聞かれた。一方で西武沿線に長年住むという50歳代〜70歳代らしき男性数人からは、「うーん、微妙」「ちょっとなあ」といった声がちらほら出てきた。
レッドアローに長年、親しんできたこともあるのだろう。ユニークなスタイルにまだ馴染めないという層があるのかもしれない。筆者も西武沿線で育ったこともあり、「どうかなあ?」と思う1人であった。
【新特急の誕生③】見る角度で大きく変る新特急の“顔の印象”
「西武グループの象徴となる、世界に通じる『洗練』されたデザイン」。「西武沿線の自然の持つやさしさだけでなく、都会的なスタイリッシュさをあわせもつデザイン」。
これが001系の新デザインに対して、西武鉄道が求めたポイントだった。試運転されていた時に撮影した001系の写真を整理していて薄々感じていたこと。それは、この新型特急が見る角度で大きく印象が異なることだった。
通常の鉄道車両は、見る角度で印象が大きく変わる車両は少ないように感じる。一目みればイメージがつかめるという車両が多いなか、001系の“顔”はこれまでの車両とは一線を画している。ここからは写真を中心に紹介していく。読者に最終的な判断はお任せしたい。
2月14日に小手指車両基地で行われた報道公開および試乗会の写真を中心にお届け。また車両の細部の特徴は、写真解説として加えることにした。
上記は、車両のプロフィール写真として使われるごく一般的な角度から写したものだ。角度を変えて撮ると、この車両の印象が大きく変わっていく。
ここまで見てくると、やはり001系は楕円形をした正面のガラス窓が印象的で、インパクトが強いことがわかる。さらにこだわって見ていくと。
走り始めてからは、車両基地で撮影する時に車両に密着しての写真はもちろん難しいだろう。とはいうものの、写真を撮られる時には角度でこれほど変わるということを頭において、チャレンジしていただいてもよろしいかと思う。
【新特急の誕生④】愛称「Laview」や車両番号はさりげなく
次は車体の側面に注目、さらに乗車することにしよう。まずは車体の側面のポイントから。
側面の第一印象はとにかくガラス窓が大きいことだった。ガラス窓の標準サイズはタテ1.35m、ヨコ1.58m。車体を横から見ると、外からも家庭のリビングのような印象がある。「Laview」という001系の愛称の中で大きなウェートを占める「リビング(Living)」の意味がここで結びつくように感じた。
ところで001系の車両番号はどこに付いているのだろう。通常、多くの車両が車両の側面のほぼ中央、そして下に記されている例が多いのだが、001系の車両番号は車両端の上部にさりげなく記されている。
上の写真の3号車ならば「001-A3」。下の写真の1号車ならば「001-A1」という具合だ。加えて「Labiew」という愛称も小さめにさりげなく付けられている。
車両番号の「A」はどのような意味を持つのだろう? このAとは001系のA編成、つまり第1編成を意味する。以降の001系はB編成、C編成といった編成名が付けられていく。西武鉄道で編成名をアルファベットにしたのは始めてだそうだ。何から何まで新しい、それが001系だった。