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2019/5/31 17:00

カー量販店で早くも絶賛の新型「楽ナビ」。実際使ってみたら増税関係なく「買い」なヤツでした

カロッツェリアの「楽ナビ」は、カーナビ業界のベストセラーであり、同ブランドの主力モデルだ。この度、約5年ぶりにフルモデルチェンジを行った。発売は6月で徐々に店頭に並び始めているタイミングだが、4月の発表以降、カー量販店での評価がすでに非常に高い状態で、「こういうの待ってました!」という声が続出しているという。

 

夏のボーナス支給となるこの時期、そして10月の消費税増税を前に、クルマやカー用品、家電やデジタル機器を一新しようと考えている人も多いと思う。実際に試用してみると、増税云々関係なく買うべき逸品で、その模様をレポートしていきたい。なお、カーナビのインプレッションというと走り慣れた道で行うことが多いが、今回は福岡~広島の約300kmを走行して取材。筆者の不慣れな地で使った使用感をお届けしていく。

 

【今回コッテリ使ってみた製品】

カロッツェリア

楽ナビ AVIC-RL910

【主要SPEC】●モニター画面サイズ:8V型HD●モニター画素数:276万4800万画素●モニターバックライト:LED●本体取付寸法:W200✕H126✕D165mm●本体質量:2.3kg

 

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本論に入る前にこれだけは言っておきたい!

通常、新製品のインプレを行う場合、新機能をひとつずつ解きほぐしていくのが一般的なやり方だが、今回、とにかく感動した点があったので、先にそれを述べさせて欲しい。

 

それが画面の美しさだ。

とにかく、画面がキレイなのだ。解像度はHD(1280×720)と、数字だけ見ると、取り立ててピックアップするものでもないのだが、実物を見たときの「きれいさ」「なめらかさ」「きめ細やかさ」はスペック以上。これまでのカーナビと根本的に違う。

 

例えば、今回の走行序盤、定食チェーンの「やよい軒」のアイコンが表示される場面があった。松屋やマクドナルドなどは、イラストアイコンで示されるからわかりやすいが、「やよい軒」は文字主体のロゴアイコンで文字が小さくてわかりづらい。

 

と思いきや、

 

細部までしっかり描写されて、運転姿勢位置からでもクッキリ! ひと昔前のナビは、アイコンがガビガビで、何を示しているのか顔を近づけて見ないとわからなかったり、想像力を働かせたりする必要があったが、もはや、そんな行為はいらない! 素晴らしい。

↑ここまで寄っても鮮明!

 

それもそのはず、今回カロッツェリアは、新型「楽ナビ」でディスプレイのパネルを一新。「従来比2.4倍の高解像度」、「従来比約70倍となる1677万色の色階調表現に対応」と謳っている。さらに、ハードを高性能化するだけでなく、地図データもすべてをリザイン。中身が全く別物に変わっているのだ。この劇的な変化は「単にキレイ」だけでなく、のちほど触れる「運転のしやすさ、楽チンさ」で重要な役割を果たしている。

 

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検証01】高速道路区間(天神~下関IC)では使いやすいか?

↑出発は、福岡の中心地・博多の岩田屋近くから

 

では、実際の走行ルートとともに同機のインプレッションを展開していこう。福岡の天神でデモ車両を受け取った筆者は、まずは、本州の入り口となる下関までを高速道路で走行することにした。この区間では、主に福岡都市高速の出入り口や本線走行で画面の視認性、合流の分かりやすさを重点的に試してみた。

↑福岡から下関までのルート。新型「楽ナビ」は、天神北ランプから福岡都市高速環状線に入り、福岡都市高速1号香椎線、同4号粕屋線、そして九州自動車道を使うルートを指定した

 

九州自動車道ではなく福岡都市高速で主に試した意図は、高速道路でカーナビが活躍するのは、都市高速だと考えたから。入り口が複雑だったり、合流が分かりづらかったり、ICチェンジでのレーン選択などで迷ったりするからだ。特に一般道よりも速いスピードで走る割に、カーブや分岐が多い都市高速では、ナビを注視している暇はなく、パッとした瞬間の視認性が大事になる。

 

この点、新型「楽ナビ」は地図描写が効いている。冒頭で触れた新パネルと地図刷新により、画面が「立体的」に見えるのだ。立体的に見えるというのは、別に3Dで見えるという意味ではない。重要度の高い情報が自然と目に入って、重要度の低い情報とのメリハリが付いているので、瞬間的に必要な情報が目に飛び込んでくる「立体感」だ。

 

例えば、以下の場面。天神北の入口は右車線から入っていくタイプの入口なのだが、初めてだと結構分かりづらい。そんな場面、上写真の画面右半分のイラスト画像がコントラストが効いていて美しく、パッと見た瞬間、目に飛び込んで来るので運転に集中できるのだ。

↑片側3車線で高速入口手前に信号があり、結構わかりづらい天神北の入口

 

↑上のGoogleストリートビューよりも手前の位置のカーナビ画面。右のイラストのコントラストが効いていて、右画面の情報がまず飛び込んできて、入口のイメージが掴みやすい

 

この見やすさは本線に乗ってからも同様。「キレイ」の恩恵は、より安心して運転できるにつながるのである。このあたりは、カロッツェリアの目指す「ドライバーをサポートしてカーライフを充実させる」の哲学が具現化された形になっていると改めて感心した次第だ。

 

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【検証02】エンタメ機能の充実度や、UIの完成度は?

↑昼ごはんがてら、UIやエンタメ充実度をチェック

 

都市高速以外の高速道路は、ほぼ直線の道を一定速度で走るだけなので、段々と退屈してくる。そこで重要なのが、車内エンタメの充実度や、UIの使い勝手だ。一般道・市街地レビューに入る前に、このパートでは、エンタメ&インターフェースに触れたい。

 

新型「楽ナビ」では、冒頭で触れたとおり約5年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、UIも大幅に進化している。一般的に、カーナビのホーム画面は、「ナビ系操作画面」と「AV系操作画面」の2種類が別々にあり、操作の度に切り替えないといけないケースが多い。

 

新型「楽ナビ」では、これを徹底的に見直し、ナビ画面とAV画面でよく使う要素を両方入れたハイブリッドともいえる画面をホームに設定したのだ。この新画面「ターゲットインターフェース(おすすめモード)」により、いちいち画面を切り替える必要がなくなった。多くの人は、この画面だけですべての操作が済んでしまうはずだ。

↑「ターゲットユンターフェース(おすすめモード)」の画面。左手にはオーディオ系の操作が表示され、画面を上下にフリックするとFM/AM/TV以外の項目も表示される。右手にはナビ系の機能を表示。よく使われる機能がデフォルトで設定されているが、自分がよく使う設定にカスタマイズすることも可能だ

 

【ギャラリー形式でもう少し詳しく】

このUIに関しては、カロッツェリアの開発陣も相当頭を悩ませ、紆余曲折を経たうえで生み出されたそうで、自信満々とのこと。確かにカーナビの設定において、頻度の高い操作はユーザーによって違っていて、ただ単に機能を羅列するのではなく、自分の使いたい項目を取捨選択できるのはユーザーフレンドリーである。

 

続いてはエンタメ性能

UIに続いて、車内エンタメもいい感じだ。まず、HDMI入出力に対応する点。「車内でHDMIって使う?」と思うかもしれないが、これが結構使えるのだ。スマホをつなげたり、ニンテンドースイッチをつなげたり、もしくはPCまでつなげれるわけだから、車内でできることが一気に広がる。渋滞での暇つぶしにゲームをしたり、ニンテンドースイッチにはカラオケ機能もあるから車内がカラオケボックスになったりと、長時間ドライブが退屈にならない。

地図同様、地デジの画質もHDとは思えないほどキレイで十分すぎるほど。なお、左右の視野角が広いので、運転席や助手席側の位置から見ても映像がクッキリと見えるのが特徴。新しいパネル、ホント、優秀なヤツである。

 

オプションとはなるが、リアモニターを設置すれば、テレビソースなどを後席に表示できるし、HDMIで接続すれば高画質のまま映すことができる。こうしたアイテムは、小さい子どもがグズったときの強い味方とはよく言われるが、こちらも画質的には素晴らしいので、気分は上級のエアラインに乗っている気分で車中を過ごせる。

 

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【検証03】山間部走行、市街地走行(下関~広島中心部)の実力は?

↑ルートは山陽道ではなく、山の中をひたすら進むルートを新型「楽ナビ」は選択

 

高速道路での使い勝手、エンタメ&UIの充実度をお伝えしたところで、ここからは一般道のインプレへ。一般道こそ「楽ナビ」の活躍の場面であり、不慣れな土地で使っても迷わず、躊躇わず運転できた感動をお届けしたい。

↑下関でナビを入れると旧山陽道、国道名称で言うと国道2号線をひたすら東に進むルートが提案されたので、それにしたがって下道走行をスタート。その後、岩国市の187号線を使って山間部を通る道にリルートされた

 

カロッツェリアのカーナビは同ブランド独自の技術により、自車位置精度と渋滞回避能力に優れる。今回も瀬戸内海側をひたすら進む道が当初は提案されたが、途中で大きくリルート。山間部を通る道に変更された。

 

山間部の道路や峠道でありがちなのが、「大事な分岐点なのに、標識が少ない、またはあっても結構ざっくり」という現象である。こうした道で、「いや、ほんとにこの道でいいの?」という疑心暗鬼になっていたら、実際に道を通り過ぎてしまっていた、ということは往々にしてある。

こんな場面でも新型「楽ナビ」は心強い。【検証01】でも説明したが、パッと必要な情報が立体的に飛び込んでくるから、カーブや蛇行した道が多い山間部でも画面を注視することなく運転できる。進んでいる道が正しいかを確認するため、クルマを停車するということもない(それだと紙の地図を見て走っていた時代とやっていることが変わらない!)。

 

ちなみに、国道2号線はたまにバイパスがあって、たまに片側2車線になって、たまに片側1車線になる典型的な郊外路線。基本は退屈だったので、ここでは割愛。この場面では、新型「楽ナビ」の音声ガイドに従っていけば、画面を見る必要もなかったことをお伝えしたい。「楽ナビ」というか、カロッツェリアは右左折や分岐の直前でドンピシャのタイミングでも案内を入れてくれるから、基本的には音声に従っているだけで、目的地に到着できるのだ。

 

さて、今回の核の部分でもある、市街地や繁華街走行の話をしていこう。

↑路面電車と乗合バスに挟まれて走る場面がごく普通にあるのが広島

 

広島市の中心部は路面電車が縦横に走っており、乗合バスも多いところでは数分おきに走る街だ(ちなみに結構スピードが出ている)。初めての人の場合、ナビ画面を見る余裕が一般的な都市よりも少ないエリアといえる。そんなとき、やっぱり新型「楽ナビ」の画面の美しさ、見やすさ、視認性の良さが大活躍。どのレーンをキープすればよいのか、瞬時に判断できる。

 

さらに広島中心部の場合、大通りを一歩入ると一方通行や進入禁止の道が結構多い。広島中心部は川に囲まれているので、完全な碁盤状でもなく、一定のルールもない(ように思える)ので、こちらも初見では戸惑いがち。そんな場面、立体感のある描画で見やすいから余裕をもって運転できる。

上の画面は、一方通行の例だ。一方通行のアイコンはとても小さいのにクッキリ見えて視認性がよい。建物の表示はくすんだ色で表示されて情報が整理されているのがわかる。

 

取材日は夕方に広島市内中心部に入り、翌日は午前中いっぱい広島の街を走行したが、感想は変わらず。むしろ、これに慣れたら、他のカーナビには戻れないのではないか、他のカーナビが旧時代のものに見えるのではないか、と思えるぐらいの完成度である。ナビの画面がキレイになったぐらいで、そんなに運転のラクさが変わるワケないでしょ! とお思いの方はぜひ実物をご覧いただきたい。

 

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これで実売価格が11万円代半ばとは恐れ入った

さて、ここまで褒めつくしてきた新型「楽ナビ」だが、市場での実売価格は8インチモデルで11万5000円前後(価格は編集部調べ)、7インチモデルであれば9万5000円前後(価格は編集部調べ)。しかも無料のバージョンアップが最大3年分も付いてくる。そう、価格面でも経済的で、この夏のボーナス商戦にぜひ検討したい一台といえる。

 

さて、タイトルや冒頭で「増税」という言葉を使ったが、新型「楽ナビ」は、増税前に買うべきなのか、増税後に買うべきなのか? 個人的結論としてはどっちで買ってもいいと思う。投げやりではない。増税前後の差額は数千円の差にしかならないわけで、メーカーがよくやるキャッシュバックキャンペーンレベルの差。増税を理由に、無理やり駆け込んで買う商材ではない。

 

増税前にクルマを買い替えてカーナビも導入するからまとめて購入してしまおうというなら「買い」だし、増税前に熾烈な価格競争を巻き起こしそうな生活家電やAV機器にお金を投資するなら増税後の一段落したタイミングでも「買い」である。時期に左右されるというよりは、機能と価格で総合性が頭一つ抜けているので、いつ買っても損がない、欲しいときに買うべき商材だ。ちなみに、全然関係ないが、高級腕時計は増税を前に価格上昇を予定しているブランドもあるので、腕時計を狙っている人はそちらを優先したほうがいいかもしれない。

 

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撮影/青木禎之