クルマ史そのものを俯瞰できる正真正銘の博物館
トヨタ博物館は、自社製品だけでなく、世界中の名車を幅広く展示する施設。常設展示だけで約140台、所蔵車は500台を超えます。そのなかには、旧佐賀藩主がボディをデザインしたイスパノスイザの「K6」や、映画「007」シリーズでも使われたトヨタの「2000GT」など、日本にしかない貴重なクルマも数多く展示。
↑館内には、整備用ピットも完備。所蔵車を順繰りに整備するため、常にフル稼働だとか ↑年2回公開されるバックヤード。整備を終えた車両の保管場所のため、車種はランダム配置
トヨタ博物館の”激レア5大お宝”はこれだ!
【激レアNo.01】 持ち主が自らデザインした超高級車の和風仕様
イスパノスイザ K6
昔の超高級車は持ち主が好みのボディをデザイナーに作らせるのが普通でしたが、これは持ち主自らデザイン。持ち主は旧佐賀藩主、鍋島家の直泰侯爵で、製作は日本人職人です。
【激レアNo.02】 実際に劇中で使われたオープン版の2000GT
トヨタ 2000GT Bond-Car
人気シリーズの映画「007は二度死ぬ」で使うため特別に製作された2000GTのオープン版。博物館に所蔵されているのは2台製作されたうちの1台で、実際に劇中で使われました。
【激レアNo.03】 見ためはボロボロだが日本のクルマ史では重要な一台
オースチン 7
オースチン自体は現存数の多い戦前の旧車ですが、この個体は特別。当時日本では免許なしで運転できたマイクロカー規格に合わせ、全長を短縮した数少ない特別仕様なのです。
【激レアNo.04】戦前に創刊された日本の自動車専門誌
モーター雑誌社「 モーター」
創刊は戦前の1913年8月という日本最初期の専門誌。1944年まで発行されましたが、太平洋戦争中の雑誌統合の影響で廃刊。以後は「自動車青年」と「自動車」の2誌に分かれました。
【激レアNo.05】 日本にクルマが初上陸した時期を確定する資料
日本初渡来のクルマ パナール・ルヴァッソールの写真
写真は1898年、日本に初めてクルマ(パナール)が上陸したことを紹介するフランスの専門誌。実は、この年に上陸したことを証明するこのような資料が出てきたのは最近のこととか。
【激レアNo.4】や【激レアNo.5】で紹介したように、この博物館の真骨頂は蔵書類かもしれません。書籍3万6000点、雑誌6万点、そしてメーカーカタログは36万5000点という所蔵量は、国内では屈指。日本最初期の専門誌「モーター」など貴重なものは非公開ですが、今後データ化されて誰もが閲覧できるようになれば、クルマ史の“語り部”的役割は一層強固なものとなるはずです。
↑非公開の書庫。カタログは、すべての歴代トヨタ車を筆頭に実に36万5000点を所蔵
トヨタ博物館
DATA
●住所:愛知県長久手市横道41-100
●開館時間:9:30~17:00
●休館日:月曜日、年末年始
●見学方法:入館料は大人1000円。開館時は自由に見学が可能。
7/18から11/8まで「企画展 はたらく自動車」を開催。
今回取材した、春と秋に開催される「バックヤードツアー」は申し込みが必要。詳細は同館webサイト http://www.toyota.co.jp/Museum/で。