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2020/7/27 19:30

カワサキの本気だ! 4気筒モデル「Ninja ZX-25R」が新登場

2019年の東京モーターショーのカワサキブースでワールドプレミアが行われた「Ninja ZX-25R」シリーズの発売が9月10日に決定しました。そして、全てのスペックが発表となったのです。

 

なんといっても250ccのインラインフォーEG

まずは今回のメイントピックとなるエンジンスペックから見ていきましょう。

↑4気筒ならではの快音とその咆哮を放つ走りは鳥肌もの

 

これまでのツインモデルの最高出力27kW(37PS)/1万2500rpmでも十分にパワフルでしたが、4気筒モデルはさらにパワーアップしました。しかも発生回転数が1万5500rpmという高回転型で、ラムエア加圧時は34kW(46PS)に増加します。カワサキのワークスライダー=ジョナサン・レイによるプロモ映像を見ると、速さにも音にも別次元の魅力を見せつけられてしまいます。これこそが4発の圧倒的な魅力です。

↑Ninja ZXの系譜を受け継ぐスタイリング。控え目ながらエキゾーストパイプが誇らしげにのぞきます。その咆哮を早く聞きたいし聞かせたい

 

カワサキの250ccの4気筒モデルはレーサーレプリカの初代ZXR250から始まり、ネイキッドスポーツのバリオスシリーズに受け継がれ、2007年に生産が終了。同時期に各社250マルチ(多気筒)エンジンの生産も終了していました。開発費、生産コストのかかる250ccの4気筒エンジンはもう2度と出現しないのではないかと言われ続けていました。しかし、ハイパワーツイン(2気筒)モデルを有するNinjaシリーズに4気筒版の登場が噂され、それが現実となったのが2019年の東京モーターショーだったのです。

 

ツインモデルと同等のボディサイズ

さて、ツインから4気筒となってそのボディはどれだけ大きくなったのかをチェックしてみると意外にもコンパクトなことが分かります。全長×全幅×全高が1980mm×750mm×1110mmです。これまでのNinja 250(ツインモデル)と比べ、全長は-10mm、全幅+40mm、全高-15mmなのです。並列4気筒エンジンなので全幅は広がっていますが全長、全高は短く、低くおさえられています。車重はSEで184kg(スタンダードグレードは183kg)とさすがにツインと比べると重量はありますがその差は18kg。気になるシート高は785mmとなっており、こちらもツインモデルより10mm低くなっています。

↑「Ninja ZX-25R SE KRT EDITION」ライムグリーン×エボニー(シングルシートカバーはオプション)。価格は91万3000円(税込)

 

↑「Ninja ZX-25R SE」メタリックスパークブラック×パールフラットスターダストホワイト(シングルシートカバーはオプション)。価格は91万3000円(税込)

 

↑「Ninja ZX-25R(スタンダードモデル)」メタリックスパークブラック。価格は82万5000円(税込)

 

SEモデルにはKQS(カワサキクイックシフター)、USB電源ソケット、スモークウインドシールド(スタンダードモデルはクリア)、フレームスライダー、ホイールリムテープが標準装備となります。それでは、もう少し深く細部を見ていきましょう。

 

超精密新パワーユニット

エンジンの大まかなスペックは前に記した通りで、新開発エンジンは249ccの4気筒。ということは1気筒あたりは、わずかに62.25ccの排気量となります。1気筒でみれば原付+αのサイズのシリンダーに精密な4バルブDOHCヘッドがのっている状態。しかもそれが4つ繋がっている訳です。このエンジンの市販化を実現させるには精密な部品の品質管理、組み立て精度が特に重要となり、それらを高い次元でクリアしています。これには今まで培ってきた長年のNinja ZXシリーズの技術の蓄積が重要でした。

↑まさに時計のように精密な機械といえる新開発エンジンです

 

リニアな出力特性の超高回転ユニットは、1万rpm〜1万7000rpmでエキサイティングなフィーリングをもたらしてくれます。軽量なアルミ鍛造ピストンによって往復運動部の重量を低減し、ビッグボア、ショートストロークでより鋭いレスポンスを得て高回転域の性能アップ。また、ビッグボアは気筒毎のビッグバルブ化に貢献しています。吸気バルブは直径18.9mmの大径(実際の寸法はかなりコンパクトですが、割合として大径という意味)バルブを使用し、吸入混合気量を増大させ高回転時のハイパフォーマンスを発揮。排気バルブは直径15.9mmで、高回転時の高負荷への対応や耐熱性を高めるため、Ninja H2と同材質のものがチョイスされています。

 

こうして250ccクラスのライバルを圧倒的に凌ぐパフォーマンスを手にしました。ハイパフォーマンスなエンジン性能を効率よく確実に路面に伝えるトラクション。軽量であり高い剛性を求められ、なおかつしなやかでなくてはならないフレームなどにもカワサキの最新技術が盛り込まれています。そのいくつかをピックアップしてみましょう。

 

強靭でありながらしなやかな骨格がマシンを支える

↑レーシングマシンゆずりの新設計フレーム

 

新設計のフレームは高張力鋼製トレリスフレームです。スーパーバイク選手権に参戦しているNinja ZX-10RRレーシングマシンのシャーシ設計思想を踏襲。それによって理想的な剛性バランスとディメンションを作り上げています。

 

また、フロントサスペンションにはクラス初の倒立37mm径のSFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク・ビッグピストン)を採用。SHOWAのSFFとBPFの複合コンセプトで日常からサーキットまでの高い要求に応えます。そして、リアには高張力鋼製のロングタイプスイングアームとホリゾンタルバックリンクリアサスペンションがセット。マスの集中化と状況に応じた適切な反発、減衰力を実現しスーパースポーツのハンドリングを味わうことができます。

↑ZX-25R SEの構造レイアウト

 

ツインLEDライトを備える精悍なフロントカウル

Ninja ZRシリーズの流れを汲むクラス最高峰のアグレッシブなスタイリングのフロントカウルが装着されます。

↑ZX−25R SE/SE KRT EDITIONモデルはウインドシールドがスモークとなります

 

また、カウルの中央にはラムエアシステムのインテークがあります。ラムエアシステムは吸気効率を高め空気の流れを有効に活用することでパワーを1kW向上。カウルから吸入されたエアは、Ninja H2同様、エアボックスに向かう途中でフロントフォークの左側を迂回するダウンドラフトインテークを採用しています。このレイアウトによって冷却された高圧の空気を効率的に取り込むことが可能となり、全回転域でのエンジン性能の向上を実現しました。

↑ラムエアシステムから続くダウンドラフトインテーク

 

ハイパフォーマンスマシンを気持ちの良い音で操れる日はもう少し先、9月10日の発売を待たなくてはなりません。

 

 

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