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2020/12/15 6:00

火入れ式も終わり2機体制に!東武鉄道「SL大樹」の今後に夢が膨らむ

【SL大樹に注目⑤】沿線の駅もレトロできれいに模様替え

実は東武鬼怒川線の途中駅は、昭和初期に開設した駅がほとんどで、多くの駅の施設が国の登録有形文化財に指定されている。

 

そうした文化財の状況は、SL大樹の起点駅、下今市駅の旧跨線橋内に解説がある。興味のある方はぜひ見ていただきたい。実は下今市駅の旧跨線橋(東武日光駅側)自体も、国の登録有形文化財に指定されている。

 

東武鉄道ではこうした文化財を生かしつつ、各駅の「昭和レトロ化工事」を進めている。たとえば途中の新高徳駅。最寄りに人気の撮影スポットがあり、鉄道ファンがよく利用する駅だ。この駅に2020年の早春に訪れてびっくりしてしまった。

 

前はごく普通の駅だったが、いつのまにかレトロなおしゃれな姿に変身していたのである。トイレもきれいに整備されていた。駅員もレトロな制服姿に。SL列車が停まらなくとも、鉄道ファンは訪れる。細かいところにまで徹底して整備を始めている。“ここまで東武はやるのか”とビックリさせられた。

↑昭和レトロ化工事によって、リニューアルされた新高徳駅。右上の旧駅舎と比べると、とてもおしゃれに変身したことがよく分かる

 

【SL大樹に注目⑥】次から次へユニークな運行が注目を集めた

2017年8月に運転を開始したSL大樹だが、3年間、同じ形での運行を続けてきたわけではない。形を少しずつ変えて運行させていた。たとえば次の写真は、後ろに補機のディーゼル機関車を付けずに走った時のものだ。

 

補機を付けずに走ると、勾配などの運転で、牽引する機関車の負担も大きくなる。一方で、煙をはく量が多くなる。ちょうどこの補機を付けなかった期間は冬期だったこともあり、白煙が目立って見えた。そうした効果があってか、多くの鉄道ファンが沿線につめかけていた。もちろん列車の乗車率も高まったはずである。

↑補機を付けずに走った時のSL大樹。冬期ということもあったが、白煙が多く立ち上り迫力のあるシーンを見せてくれた

 

また同時期には客車を1両のみだが元JR北海道で活躍していた14系客車オハ14-505、通称ドリームカーに変更した列車も登場した。ドリームカーは、国内最後の夜行急行「はまなす」に連結されていた客車だ。グリーン車と同等で、座席の間が広々していて寛いで乗車できる。またラウンジも設けられていた。札幌駅〜青森駅間を走った「はまなす」に乗車した経験がある人にとって、とても懐かしい客車なのである。

↑補機を付けずに走ったSL大樹。客車3両のうち、中間に元JR北海道の14系ドリームカーを連結して走る日も用意された

 

JR北海道からは同じ「はまなす」の客車として使われていたスハフ14-501も導入されている。これで客車は6両体制となった。さらに補機として使われるDE10形も増強されている。新たにJR東日本の1109号機を秋田総合車両センターで整備した上で譲り受けたのである。

 

この1109号機の塗装には鉄道ファンも驚かされた。青地に金色の帯、さらに運転席下に北斗星のロゴマークが入るこだわりぶりだった。かつて、寝台特急「北斗星」を牽いたDD51形ディーゼル機関車とそっくりな塗装だったのである。この1109号機が2020年10月31日から「DL大樹」を牽引して走り始めた。従来のDE10形がオーソドックスな国鉄塗装だったのに対して、この機関車の色は客車のブルー塗装と似合い、なかなか趣があった。

 

補機を付けない蒸気機関車だけの運行と、さらに新たな車両の導入。常に斬新なスタイルの列車を走らせる試みは、マンネリ化させない工夫そのもので、さすがだと思う。

↑2機目の補機用のディーゼルカーDE10形1109号機。北斗星仕様の塗装が施されていた 写真提供:東武鉄道株式会社

 

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