乗り物
自転車
2022/1/22 19:30

どんな違いがある? 超パワフル極太タイヤの個性派e-Bike3モデルを比較してみました

街中で見かけると、一瞬「バイク!?」と思ってしまう迫力がある極太のタイヤを装着したe-Bike。このところ、ラインナップが増え、一気に勢力を拡大しています。これだけ太いタイヤを履いていても、重さを感じずに走ることができるのはe-Bikeならではの魅力。街中での目立ち度も抜群のカテゴリーから、3モデルをピックアップして、どんな違いがあるのか比較してみました。

 

【今回比較した3モデルはコチラ】

その1

アパレルブランドが手掛けた個性派e-Bike

ROCKA FLAME(ロカフレーム)

HAYATE

26万4000円(税込)

アパレルブランドからスタートしたロカフレームがリリースするe-Bike。BMX風のフレームに極太タイヤという組み合わせで、独特のルックスに仕上がっています。フロントはサスペンションも装備し、バイクのようなシルエット。写真の車両に装着されているフロントライトはオプションです。サイズは全長1695×全幅590mm、重量31.8kg。

 

その2

デンマークから上陸したインパクト抜群の1台

MATE. BIKE

MATE X

33万円〜(税込)

自転車都市として知られるデンマークの首都コペンハーゲンで生まれたe-BikeブランドがMATE. BIKE。「MATE X」は極太タイヤに折り畳み可能なフレームを組み合わせ、見た目のインパクトは抜群ですが、自転車のヘビーユーザーである開発者が感じたニーズを解決するために作られた都市型のe-Bikeです。シーズンカラーもあわせて全11色も揃えている豊富なボディカラーも魅力です。サイズは全長1800×全幅650mm(通常時)、重量28.5kg(バッテリー含む)。

 

その3

イタリア生まれのモペッドの名を冠したモデル

FANTIC(ファンティック)

ISSIMO(イッシモ)

39万6000円(税込)

イタリアのバイクブランドであるFANTICがリリースする「ISSIMO」は、同ブランドが過去に販売していたモペッド(ペダル付きのスクーター)から名称を取ったもの。跨ぎやすいステップスルータイプのフレームにバイクのようなタイヤ、そしてマウンテンバイクを思わせるような幅広のハンドルという組み合わせがユニークです。さまざまなデザインやカラーのサイドカバー(オプション)も追加可能で、ユーザー好みのカスタムも楽しめます。重量は33.5kg。

 

【比較ポイントA】ドライブユニット

e-Bikeの心臓部となるのがモーターを内蔵したドライブユニット。アシストの駆動力やフィーリングを決定づける重要なパーツですが、今回比較試乗した3モデルはいずれもBAFANG(バーファン)製を採用しています。そしてISSIMOだけが、e-MTBなどに採用される「M500」という上級グレードのセンタータイプのユニットを装備。残りの2モデルはリアホイールの車軸(ハブ)と一体となったハブモータータイプを装備しています。

 

【その1】ROCKA FLAME「HAYATE」

↑HAYATEはハブモータータイプですが、キャストホイールと一体となったタイプを採用。ホイールもBAFANG製です

 

【その2】MATE. BIKE「MATE X」

↑スポークタイプのホイールにハブモーターを採用するMATE X。シルエットへの影響が少なく、デザイン自由度が高いのが特徴

 

【その3】FANTIC「ISSIMO」

↑80Nmという高トルクを発揮する「M500」を採用するISSIMO。車体中央のペダル軸部分に搭載するセンタータイプのユニットです

 

【比較ポイントB】バッテリー

バッテリーもe-Bikeの性能やデザインに影響する重要なポイント。HAYATEは、ペダル部分にバッテリーを搭載するという世界初の設計を採用しています。MATE Xは太いフレームの内部にバッテリーを内蔵。ISSIMOは外付けタイプのバッテリーですが、フレームと一体でデザインされていて、3モデルとも車体デザインへの影響を極力少なくするための配慮が感じられます。

 

【その1】ROCKA FLAME「HAYATE」

↑ペダル部分にSAMSUNG製バッテリーを搭載するHAYATE。容量は36V/9.6Ah(345.6Wh相当)で、走行モードに応じて200〜70kmのアシスト走行が可能です

 

【その2】MATE. BIKE「MATE X」

↑MATE Xはフレームにバッテリーを内蔵。容量は48V/14.5Ah (696Wh)と48V/17.5Ah(840Wh)から選べ、それぞれ80kmと120kmのアシスト走行を実現します

 

【その3】FANTIC「ISSIMO」

↑フレームと一体デザインされたISSIMOのバッテリー。容量は630Whで、アシスト走行可能な距離は70〜120kmとされています

 

 

【比較ポイントC】フレーム形状

今回比較する3モデルで大きく異なるのがフレーム形状です。HAYATEは前述したようにBMX的なシルエット。MATE Xはバッテリーの収まる四角く太いフレームですが、折り畳み可能という点がユニークです。ISSIMOは乗り降りがしやすいステップスルー型のフレーム形状ですが、トラス(ハシゴ)状のデザインで剛性を確保している点が個性となっています。

 

【その1】ROCKA FLAME「HAYATE」

↑溶接跡の美しいアルミ製のフレームを採用するHAYATE。自転車らしい三角を組み合わせたシルエットです

 

【その2】MATE. BIKE「MATE X」

↑MATE Xはブランドロゴの映える極太フレームが特徴。折り畳めば全高780×全長1030×全幅590×mmのサイズまでコンパクトにできます

 

【その3】FANTIC「ISSIMO」

↑湾曲したステップスルー型のフレームは剛性が落ちやすいのですが、ISSIMOはトラス構造とすることで剛性を確保

 

 

【比較ポイントD】ハンドル周り

ハンドル形状やそれに伴うライディングポジションも3車3様で個性的。HAYATEはハンドルもBMX的な形状ですが、やや後ろめに座るのでライディングポジションはクルーザー的です。MATE Xは高さ調整可能なハンドルなので、体格や好みに応じてライディングポジションを変更可能。ISSIMOはかなり幅の広いハンドルが付いていて、跨るとマウンテンバイクのような姿勢かと思えば、大きめなサドルが後方に付いていているので、どれにも似ていない独特のライディングポジションになります。

 

【その1】ROCKA FLAME「HAYATE」

↑シルエットはBMX的なHAYATEのハンドルですが、手前にベンドしていてゆったり乗れる姿勢になります

 

【その2】MATE. BIKE「MATE X」

↑MATE Xのハンドルは一文字形状。高さ調整が可能なので、高くすることで上体を起こして乗ることもできます

 

【その3】FANTIC「ISSIMO」

↑ほかの2モデルに比べて圧倒的に幅が広いISSMOのハンドル。形状は上に向かって湾曲していてリラックスして握れます

 

 

【比較ポイントE】変速ギア/ブレーキ

変速ギアは3車ともリアのみですが、HAYATEは外装の7速、MATE Xは外装の8速、そしてISSIMOは内装式の8速ギアを採用しています。内装式は重量が重くなるのですが、停止中でも変速操作ができるのがメリットです。3モデルともブレーキは全てディスクブレーキですが、HAYATEは機械式、ISSIMOは油圧式。MATE Xだけは、機械式と油圧式が用意されていて選べるようになっています。

 

【その1】ROCKA FLAME「HAYATE」

↑HAYATEの変速ギアは、シマノ製Tektroグレードの7速

 

【その2】MATE. BIKE「MATE X」

↑シマノ製ALTUSグレードの8速ギアを装備するMATE X

 

【その3】FANTIC「ISSIMO」

↑唯一の内装ギアを採用するISSIMO。段数は5速です

 

【比較ポイントF】走行フィーリング

乗ってみたフィーリングもそれぞれ個性的ですが、共通するのは極太のタイヤから想像されるペダルの重さは全く感じないこと。重量もあるのに重さを感じずに走れるのはアシストの恩恵です。

 

【その1】ROCKA FLAME「HAYATE」

一番、自転車らしい走行フィーリングだったのはHAYATE。ペダルに踏んでいる感覚が伝わってくるので、3モデルの中ではアシストが弱めと言えるかもしれませんが、クルーザーのようなポジションで流している限りは脚に疲れを感じることはありませんでした。

↑重量は31.8kgのHAYATE。唯一キャストタイプのホイールが装備されていて、タイヤが転がっている感覚がダイレクトに伝わってきます

 

【その2】MATE. BIKE「MATE X」

今回試乗した3モデルの中で唯一ブロックタイプのタイヤを履いているMATE Xですが、そのことによるネガティブな要素はほとんど感じませんでした。重量が3モデルの中で一番軽いというのもありますが、最も軽快な乗り味に感じたほど。アシストでスイスイ進んで行く感覚が気持ちいいです。

↑MATE Xの重量は28.5kg(バッテリー含む)と3モデルの中では一番軽量。ペダルの踏み心地も軽く、前後サスペンションの効果で凸凹道も気にせず走れました

 

【その3】FANTIC「ISSIMO」

一番、アシストが強く感じたのはM500ユニットを装備したISSIMO。3モデルの中で重量は一番重いのですが、それを感じない走行性です。ペダルにつながるクランクが短いのもあって、ペダルを踏み込むというより、クルクル回していればアシストの力で進んで行ける感覚。ポジションも相まってe-Bikeでしか味わえない乗り味です。

↑33.5kgと一番車重があるISSIMOですが、アシストは最も強力でバイクに近い乗り心地。幅広のハンドルとサドルによる乗車姿勢もユニークです

 

 

【今回のまとめ】

今回試乗した3モデルは走行していて、どれも重さが気になるようなことはありませんでした。どのモデルもスタイルの個性が強いので、見た目の好みで選択しても大丈夫でしょう。

 

ただ、乗り味も含めて選ぶのであれば、やはり価格の高いISSIMOがアシストの強さやブレーキなどのフィーリングも含めて一番走行性能が良好でした。次に良かったモデルが、数値以上に軽く感じたMATE X。街中を走っていて、一番注目を集めたのもこのモデルでした。HAYATEはスタイル的にも乗り味としても、最も自転車らしいもの。

 

3モデルともバイクと自転車の中間に位置するようなe-Bikeならではの乗り心地を持っているので、新しい物好きな人には見逃せないカテゴリとなっています。

 

撮影/松川 忍

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】