現在EV(電気自動車)のほとんどは、ドライバー本人が手動で充電ケーブルを差し込む必要があります。しかしアップルが、開発中と噂される自動運転EV「アップルカー」向けと思しき「自動で充電プラグの位置合わせをしてくれる」特許を取得したことが明らかとなりました。
米特許商標庁が承認した「パッシブアライメント機構を備えた充電ステーション」(改訂版)では、ドライバーが駐車してすぐに充電を始められるような工学的システムを提案しています。
この特許の中心となるのは、車両本体のソケットに差し込むめる充電プラグを備えた充電ステーションです。このプラグはスライド式のロッドに取り付けられており、垂直および水平方向に移動できるものです。
EV側のソケットの高さはメーカーや車種が同じでも、積載重量やタイヤの空気圧などで変わる可能性もあり、それに合わせてプラグ側が動くというわけです。
そして運転中のEV側では、充電ステーションに近づくと充電ソケットのカバーを上に開くしくみが備わることになります。ドライバーや自動運転車は、充電ステーションとうまく接続できるよう、車両をできるだけ近づけなければなりません。
この特許では、その努力を最小限に抑えるしくみも提案されています。すなわち充電プラグが繋げられる範囲まで近づけば、その後はほぼ自動的に調整できるとのことです。スライ式ドロッドにより充電プラグが動かせることで、車両を近づけすぎてもプラグを押し戻すことができ、車体にぶつかるダメージを最小に抑えられるというものです。
またアップルカー側のフラップ(パタパタ開閉するもの)が開いて充電プラグをソケット内に収まるようにしたり、壊れやすい充電プラグを保護するため上部に強い衝撃を吸収するプレートを配置したりと、故障対策にもかなりの注意が払われています。
さらに適切に接続しやすくするため、ソケットの周りが漏斗のようになってプラグを充電コネクタに誘導したりするしくみもあり。また結合が外れないよう磁石を使うことも提案されており、iPhoneをワイヤレス充電するとき位置合わせに磁石を使うMagSafeに近い発想といえます。
アップルは毎週のように数多くの特許を出願しており、実際に製品化されるものは一部に過ぎません。今回の特許も「アップル社内で研究されている」以上の事実を裏付けておらず、仮にアップルカーが発売されたとしても採用される保証はどこにもないでしょう。
とはいえ、アップルカーの充電関連らしき特許は、これまでにも何回か出願されています。今回の特許出願も2020年に取得された特許の改良版であり、それだけアップルが真剣に検討している可能性も窺えます。先日も「声で指示すれば、行き先や駐車場所まで自動的に決めてくれる」特許出願が見つかっていましたが、夢のアップルカーが実現する日を楽しみにしたいところです。
Source:USPTO
via:AppleInsider