自動車業界では”100年に一度の変革期”と言われ、動力が化石燃料から電気に切り替わるだけでなく、自動運転化やソフトウェアの進化など変革は多岐にわたります。クルマの世界だけでなく、電動キックボードの登場など移動手段(モビリティ)の革新は随所で起こっているので、私たちの移動も変わっていきそうです。そんな中から、近いうちに乗れるようになりそうな未来感のあるマシンをピックアップしてみました。
【その1】ソニーの電気自動車も近いうちに走り出す!?
ソニー
VISION-S 02
2020年のCESでお披露目され、大きな注目を集めたのがソニーの電気自動車(EV)が「VISION-S」。同社が得意とするイメージセンサー技術を用い、周辺を3Dで把握する安全技術や、5G通信によるクラウド連携など、ソニーらしさが感じられます。車内にはToF方式距離画像センサーも搭載され、ドライバー認証やジェスチャーコマンドにも対応。クルマと人との関係も進化していきそうです。
クルマの変革には、動力源の置き換えのほかにソフトウェアの進化が必須と言われますが、その点でもソニーは強みが発揮できそう。「VISION-S」は既に欧州で公道試験を行っており、2022年にはSUV型の「VISION-S 02」も発表。先日はホンダとの合弁会社、ソニー・ホンダモビリティ株式会社を設立しており、2026年には第一弾モデルを発売されるとのことなので、「VISION-S」が公道を走る日も遠くなさそうです。
【その2】ホンダから生まれた電動3輪マイクロモビリティ
ストリーモ
「Striemo」
ホンダは社内でベンチャービジネスを生み出す新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」を運営していますが、そこから生まれたのが株式会社 ストリーモ。同社が手掛けるのが電動3輪マイクロモビリティ「Striemo(ストリーモ)」です。電動キックボードに似ていますが、こちらは3輪で独自のバランスアシスト機構により、バランスが取りやすい構造になっているとのこと。ゆっくり歩くようなスピードから自転車程度のスピードまで、転びづらく安定した走行が可能となっています。
プロトタイプは最高速度が6km/h、15km/h、25km/hとなる3つの走行モードを搭載。現行法規では原付一種に分類されるので、ナンバーやウィンカーの装備が必要で、ヘルメットの着用が必要となります。日本国内では2022年内、欧州では2023年の発売を予定しており、価格は「Striemo Japan Launch Edition限定モデル」で26万円(税込)となる見込みです。
【その3】ヤマハの電動3輪モビリティにも期待
ヤマハ
TRITOWN
電動キックボードのような乗り物はヤマハもリリースしています。「TRITOWN(トリタウン)」という名称で、こちらも電動の3輪。安定感がありますが、車体を傾けて(リーンさせて)曲がることができます。同社ではこうした乗り物を「LMW (Leaning Multi Wheel)」と呼んでおり、エンジン付きのバイクでは既に多くの車種が製品化されています。
発表は2017年と少し前のことになりますが、まだ市販化はされておらず、公道を走ることはできません。ただ、最近の電動キックボードの拡大と、新たな法制度がスタートすることで、公道を走れるようになる可能性は高まっていると感じます。実際に乗ったことがありますが、かなり楽しい乗り物なので市販される日を期待して待ちたいところです。
【その4】1輪でバランスをとって走るOnewheel
出典:FUTURE MOTION
Onewheel
Pint X
北米などでは既に乗り物として普及し始めているのがOnewheel(ワンウィール)。スケートボードに、電気で動く車輪を1つ付けたような乗り物ですが、バランス機構が組み込まれており、1輪でもスムーズに走ることができます。重量は少しありますが、手に持って移動することができるので、ラストワンマイルの乗り物としては適していると言えるでしょう。
出典:FUTURE MOTION
「Pint X」はそんなOnewheelの最新モデル。現地では1400ドルで販売されています。コンパクトで持ち運びしやすいですが、未舗装路の走行も可能で、最高速度は時速18マイル(28.9km)も出るとのこと。航続距離は12〜18マイル(19〜28km)なので、移動手段としては十分な性能を持っています。日本では公道走行できませんが、走れるようになると面白いですね。
【その5】スタイリッシュな電動バイクも登場
出典:Bandit9
Bandit9
Nano
クルマに比べると電動化が出遅れている感のあるバイクですが、最近になって電動化への道が示されるようになってきました。東京都は2035年までに都内で新車販売されるバイクについて「脱ガソリン化」することを公表しており、各メーカーもそれに合わせるように電動化の計画を示しています。
出典:Bandit9
そこで気になるのが、電動バイクらしいデザインとはどういうものかということ。既存メーカーから発表される電動バイクはガソリン車のデザインを焼き直したようなものがほとんどです。そういう意味で期待できるのが、ベトナムのカスタムビルダーBandit9が手掛ける「Nano」というマシン。現地では既に予約受付が開始されており、最高出力は4kWで航続距離は約96km、価格は4499ドルとなっています。何より、デザインが既存のガソリン車には似ていないデザインが魅力的ですね。こうした独自デザインの電動バイクが増えると、公道の風景も変わってきそうです。
【その6】街に馴染むスウェーデン製の電動バイク
CAKE
Makka
バイクから排出されるCO2の削減には、アパレルメーカーも取り組んでいます。バイク向けを中心とするスポーツウェアを手掛けるゴールドウインは、スウェーデンのプレミアム電動バイクメーカーであるCAKE 0 emission AB社との独占的パートナー契約を締結。2023年春頃から同社の電動バイクの予約受付を開始します。
CAKE社の電動バイクは、街乗り向けのコミューターからオフロード車、子ども向けや仕事向けなど幅広いマシンをラインナップしています。コミューターの「Makka」は北欧らしいミニマルなデザインで、街の風景に馴染みそう。低いステップの下にリチウムイオンバッテリーを搭載し、54kmの走行が可能となっています。
【その7】空飛ぶクルマも近日実現!?
出典:AELO MOBIL
AELO MOBIL
AM4.0
未来の乗り物というと、空飛ぶクルマを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。特に都市部で渋滞にハマることが多いと「空が飛べれば……」と思うことも少なくないはず。そんな夢を実現してくれそうなのがスロヴェニアに本拠を置くAELO MOBIL(エアロモービル)社のクルマです。
「AM4.0」は2人乗りで飛行する際は翼が開いた形状にトランスフォーム。分類としてはクルマではなく航空機となります。走行中は160km/h、飛行すると360km/hまで速度を出すことが可能。2024年に市販化を見込んでおり、価格は150万ユーロ程度(約2億円)を想定しているとのことなので、気軽に購入できるものではありませんが、一度は乗ってみたい新世代のモビリティです。
【その8】空飛ぶタクシーになる!? 4人乗りのモデル
出典:AELO MOBIL
AELO MOBIL
AM NEXT
同じくAELO MOBILが、「AM4.0」の次に開発しているのが4人乗りの「AM NEXT」。こちらもクルマの形状から飛行機にトランスフォームするのは同様で、変形にかかる時間は約3分とされています。2人乗りタイプは個人向けの販売を想定していますが、こちらはタクシーのような送迎サービスでの利用を想定しているとのこと。陸路と空路を組み合わせることで、より遠距離の送迎も快適にできるようになりそう。市販は2027年頃を想定しているとのことで、移動のかたちを革新してくれそうです。
動力が変わるだけでなく、移動のスタイルやライフスタイルまで変えてくれそうな乗り物たち。実際に市場に出てくる時期には差がありますが、その日はもう近くまで迫ってきています。
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