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2022/12/25 20:30

日産「オーラ」“小さな高級車”はダテじゃなかった。走りもインテリアもこだわりの仕上がり

日産『NOTE(ノート)』のハイグレード版として登場したのが『AURA(オーラ)』です。単に装備を豪華にしたのではありません。ボディサイズを3ナンバーにまで拡張し、モーター出力もアップするなど、試乗してみれば見た目以上のその違いを実感できるものとなっていたのです。ここではベース車であるノートと比較しながらレポートします。

 

■今回紹介するクルマ

日産/オーラ

※試乗グレード:G leather edition(4WD)

価格:265万4300円~299万6400円(税込)

↑ノートに比べてボリューム感を増している「オーラ」。フェンダー部の膨らみによって3ナンバー車となった

 

5ナンバーのノートに対して、オーラは3ナンバー

一見すると「ノートとオーラの違いはよくわからない」ほとんどの人がそう思うはずです。両車ともデザイン面で違いがそれほど大きくないからです。しかし、並べてみるとその違いはハッキリとわかりました。最も大きな違いは、ノートはボディが5ナンバー枠に収まっているのに対し、オーラはなんと3ナンバーとなっていることです。

 

で、その寸法をチェックしてみると、オーラの全幅は1735mmと、ノートの1695mmから40mm広がっていました。さらにトレッド幅もノートの1490mmから1510mmへと拡大しています。デザイン上もヘッドライトの薄型化を実施して、それに伴ってフロントグリルをバッテリーEVの「アリア」にも近いデザインとしました。また、前後フェンダーも膨らみを持たせることで、オーラは3ナンバー車らしいボリューム感のある雰囲気を生み出しているのです。

 

クルマに乗り込むとオーラはインテリアにも質感の向上が認められます。インパネの表面にはツイード調のファブリックが施され、その下には木目調パネルが加えられています。メーターディスプレイも、ノートの7インチより大型の12.3インチカラーディスプレイに変更しています。これにより、オーラでは車両の機能情報以外にナビゲーションの表示もメーター内でできるようになっています。これもノートにはない注目の装備と言えるでしょう。

↑ダッシュボードは硬質プラスチックのままだが、木目などを施すことでプレミアム感を高めている。NissanConnectナビゲーションシステムは9インチワイドディスプレイ

 

↑ダッシュボードはノートと共通であるものの、ツイード表皮と木目調パネルを与えることでプレミアムな印象を醸し出している

 

↑メーターディスプレイはノートの7インチから12.3インチへ大型化され、メーター内でナビゲーション表示も可能となっている

 

プロパイロットとBOSEサウンドで快適な高速クルージング

オーラではシートもグレードアップしています。「G leather edition」には座り心地と快適性を両立させた「本革3層構造シート」を装備。標準グレードではシートのメイン部分にインパネのファブリックに合わせた素材を用いるなど、インテリアのコーディネイトにも優れた一面を見せます。また、2022年8月の仕様変更ではリアシート中央にアームレストが標準装備され、これもノートではオプションにはない特別な装備と言えます。さらにシートはノートも含めすべて抗菌仕様にもなりました。

↑オーラの「G leather edition」を選ぶと、写真の明るい内装色の「エアリーグレー」のほか、「ブラック」を選ぶことができる

 

↑オーラのリアシート。標準グレードの「G」でもアームレストは標準装備となっている

 

それとオーラで見逃せないのはサウンドシステムとして「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」がオプションで装着できることです。ヘッドレストにスピーカーを内蔵したことに加え、ドアにはワイドレンジスピーカー、Aピラーにはツィーターを組み込んだ8スピーカー構成とし、これを専用DSP内蔵アンプにより駆動します。耳元に近いヘッドレストでメインの音が出力されるため、音像の輪郭が鮮明でクリア。しかも「PersonalSpace」と呼ばれる機能を使うことで、音場の広がり感も自由に設定できます。その日の気分に合わせたサウンドステージが楽しめるのは使ってみるとなかなかいいものです。

↑ヘッドレストにスピーカーを組み込んだ「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」。演奏者の位置がわかるほどリアルなサウンドと、車室サイズを超えるような音の広がりを実感できる

 

↑「PersonalSpace」では音場を自在に変化させられる。ライブハウスのようなタイトな感覚から、アリーナの最前列で360°包まれるようなサウンドまで自在に設定可能

 

ただ、残念なのはこのシステムはプロパイロットやNissanConnect ナビゲーションシステムなどとのセットオプションとなるため、価格は40万円超えとなってしまうことです。おそらくプロパイロット+ナビを装着する人は多いと思われるので、それを選べば必然的にBOSEのシステムも付いてくるわけですが、車両価格の15%にもなるこの設定はちょっとビビりますよね。しかしオーラは遮音ガラスを採用したこともあって、高速走行時の室内はきわめて静か。音楽を楽しみながらプロパイロットでクルージングすることをオススメします!

↑ステアリングにセットアップされている「プロパイロット」の操作スイッチ

 

↑緊急時にオペレーターへ通報できる「SOSコール」はプロパイロットとのセットオプションとなる。試乗車では機能がOFFとなっていた

 

アクセルを踏んだ瞬間、パワフル感はノートを大きく超える!

ではオーラの走りはどうでしょうか。率直に言って、その走りは現行ノートでも先代とは比較にならないほど安定した走りを見せるようになりました。特に発電用エンジンの音が静かで、作動する時間も先代よりも大幅に少なくなっているので感覚的にも快適そのもの。このフィーリングはオーラにも引き継がれ、その上でフロントモーターの出力が向上しているのです。今回の試乗では4WDを選んだため、リアからのモーターアシストも加わり、アクセルを踏んだ瞬間のパワフル感はまるで違っていました。

↑発電専用の1.5L気筒エンジンを搭載し、その電力によってモーターを駆動して走るシリーズハイブリッド(e-POWER)を採用

 

↑オーラのシフトノブ。電子式のシフトレバーを全グレード標準装備した

 

操舵フィーリングも思ったコースを忠実にトレースしてくれ、e-POWERならではの「eペダル」を組み合わせることで峠道の走行もいっそう愉しさが増します。特にオーラではタイヤをノートの185/60R16から205/50R17へとサイズアップしていることもあって、コーナリングでの踏ん張りはなかなかのもの。つい峠道を選んで走ってみたくなってしまいます。

↑ノートの16インチに対し、オーラはインチアップした205/50R17を履く。これが乗り心地に影響を与えた可能性がある

 

ただ、オーラは路面からの突き上げ感は大きめに出ます。なかでも気になるのは少し荒れた一般道を入っているとき。車体にも振動が伝わってくるため、状況によっては不快に感じることさえあります。ノートの時はそれほど気になることはなかったため、おそらくサイズアップしたタイヤの影響が大きいのではないかと思いますが、一方で操安性の向上にプラスとなっているのは間違いありません。これをどう捉えるかで評価は大きく変わってくると思います。

 

「ノート+60万円」で手に入るプラスアルファの走りと質感

ではオーラとノート、どちらを選ぶのがいいのでしょうか。オーラを外から俯瞰した後でノートを見ると、前後のフェンダーに膨らみを持たせたオーラは豊かなプロポーションを感じさせます。個人的には濃いめのボディカラーを組み合わせたときのリッチな雰囲気が好みでした。ただ、オーラとノートの価格差は装備に違いがあるとは言え60万円ほどあり、そこに価値が見出せるかと言えば、人によって差は出てくるでしょう。

↑オーラ(4WD)。ボディカラーは全14色から選べる

 

↑リアドアの開く角度が大きく、乗り降りに大きくプラスとなっている

 

特にインテリアは硬質プラスチックのままで、ノートとの明らかな違いを感じ取ることはできず、せめてパワーシートぐらいは装着しても良かったのではないかと思うのです。とはいえ、ノートを上回るパワフルさが生み出す走りは楽しいし、ノート以上のグレード感は、オーラならではの大きな魅力と言えます。豊満なボディとプレミアム感、そして走りの良さを求めたいならオーラは間違いなくオススメ。自分にとって何が必要かを選択しながら、ノートと比較してみるのも良いのではないでしょうか。

 

SPEC【G leather edition(4WD)】●全長×全幅×全高:4045×1735×1525㎜●車両重量:1370㎏●パワーユニット:1.2リッター直3DOHC12バルブ+交流同期電動機●最高出力:エンジン82PS/6000rpm (モーターフロント136PS/3183-8500rpm ・リア68PS/4775-10024rpm )●最大トルク:エンジン103Nm/4800rpm(モーターフロント300Nm/0-3183rpm ・リア100Nm/0-4775rpm )●WLTCモード燃費:22.7㎞/L

 

 

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