2021年12月に発売された新型「アウトランダーPHEV」。すでに発売から1年が経過したが、多くの自動車メディアや評論家が高く評価している。先代モデルは約9年と長きにわたって販売されロングセラーモデルだったが、はたして新型はユーザーが待ち望んだ進化を果たしたのだろうか。現在の三菱自動車のフラッグシップモデルの実力に迫った。
■今回紹介するクルマ
三菱/アウトランダーPHEV
※試乗グレード:P
価格:462万1100円~548万5700円(税込)
ハイブリッドカーの進化系であるPHEVがある
カーボンニュートラルの波は日本の自動車業界にもひしひしと迫っており、クルマの電動化はもはや避けられない事態となっている。特に政府関係者に望まれているのはピュアEV(電気自動車)だが、日本でまだ流行らない理由は、価格が高いこととインフラに不安があるからだ。
前者に関しては、政府から補助金が出ることでガソリン車と変わらないくらいの価格になっているし、普及が進めば徐々に価格も下がってくることが予想される。しかし後者に関してはなかなか深刻な問題だ。給電スポットを探して不安になりながら運転するというのは、一度経験した人なら二度と味わいたくないものに違いない。
また、給電時間の問題もある。やっと見つけた充電スポットに先客がいれば、その人と自分とで合わせて1時間近く充電待ちしなくてはならないこともある。とはいえ、インフラが充実するには相当な時間がかかる。現在のガソリンスタンドのように、当たり前のように街中に給電スポットが揃うのはいつになることか。この先、EVの普及台数が増えていけば、追いかけっこのような状態になりかねない。
では、インフラが普及するまでEVは買えないのか、EVの走りを味わうことはできないのか、といえば、そんなことはない。ハイブリッドカーの進化系であるPHEV(プラグインハイブリッドカー)がある。PHEVとは充電できるハイブリッドカーのことで、基本的にはEVとしてモーターで走り、電気がなくなったら(充電できなかったら)、ガソリンエンジンを積んでいるから普通のハイブリッドカーとしても走れるし、走行中に充電もされる。
2022年末の現在、日本ではトヨタの「プリウス」、「RAV4」、レクサスの「NX」、三菱には「エクリプスクロス」、そしてこのアウトランダーにPHEVの設定がある。しかし、このアウトランダー(先代型)こそが“PHEVの権化”という時代があったのは事実だ。元々はミドルサイズのクロスオーバーSUV「エアトレック」の後継車で、2013年に2代目モデルに世界初の4WD&SUVのPHEVとして先代型が誕生して以降、他メーカーのPHEVは販売が振るわなかったのだ。
そして2021年に満を持して3代目アウトランダー(アウトランダーPHEVとしては2代目)が誕生したわけだが、ガソリンエンジン搭載モデルもラインナップされていた先代型と違い、新型はPHEVのみとなっている。これは、PHEVのみでも販売的に失敗しない、そしてそれだけの高い完成度を実現したという三菱の自信の表れでもある。