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2023/1/13 20:45

満足度は間違いない! 三菱「アウトランダーPHEV」は輸入車の高級モデルばりの威厳を放つ!!

2021年12月に発売された新型「アウトランダーPHEV」。すでに発売から1年が経過したが、多くの自動車メディアや評論家が高く評価している。先代モデルは約9年と長きにわたって販売されロングセラーモデルだったが、はたして新型はユーザーが待ち望んだ進化を果たしたのだろうか。現在の三菱自動車のフラッグシップモデルの実力に迫った。

 

■今回紹介するクルマ

三菱/アウトランダーPHEV

※試乗グレード:P

価格:462万1100円~548万5700円(税込)

 

ハイブリッドカーの進化系であるPHEVがある

カーボンニュートラルの波は日本の自動車業界にもひしひしと迫っており、クルマの電動化はもはや避けられない事態となっている。特に政府関係者に望まれているのはピュアEV(電気自動車)だが、日本でまだ流行らない理由は、価格が高いこととインフラに不安があるからだ。

 

前者に関しては、政府から補助金が出ることでガソリン車と変わらないくらいの価格になっているし、普及が進めば徐々に価格も下がってくることが予想される。しかし後者に関してはなかなか深刻な問題だ。給電スポットを探して不安になりながら運転するというのは、一度経験した人なら二度と味わいたくないものに違いない。

 

また、給電時間の問題もある。やっと見つけた充電スポットに先客がいれば、その人と自分とで合わせて1時間近く充電待ちしなくてはならないこともある。とはいえ、インフラが充実するには相当な時間がかかる。現在のガソリンスタンドのように、当たり前のように街中に給電スポットが揃うのはいつになることか。この先、EVの普及台数が増えていけば、追いかけっこのような状態になりかねない。

 

では、インフラが普及するまでEVは買えないのか、EVの走りを味わうことはできないのか、といえば、そんなことはない。ハイブリッドカーの進化系であるPHEV(プラグインハイブリッドカー)がある。PHEVとは充電できるハイブリッドカーのことで、基本的にはEVとしてモーターで走り、電気がなくなったら(充電できなかったら)、ガソリンエンジンを積んでいるから普通のハイブリッドカーとしても走れるし、走行中に充電もされる。

↑アウトランダーPHEVのグレードはP、BLACK Edition、G、Mの4種。今回は最上級グレードのPを試乗

 

2022年末の現在、日本ではトヨタの「プリウス」、「RAV4」、レクサスの「NX」、三菱には「エクリプスクロス」、そしてこのアウトランダーにPHEVの設定がある。しかし、このアウトランダー(先代型)こそが“PHEVの権化”という時代があったのは事実だ。元々はミドルサイズのクロスオーバーSUV「エアトレック」の後継車で、2013年に2代目モデルに世界初の4WD&SUVのPHEVとして先代型が誕生して以降、他メーカーのPHEVは販売が振るわなかったのだ。

↑ボディカラーはPグレード専用色を含めて全12色。スタイリングをさらに引き立ててくれるダイヤモンドカラーシリーズは美しい

 

そして2021年に満を持して3代目アウトランダー(アウトランダーPHEVとしては2代目)が誕生したわけだが、ガソリンエンジン搭載モデルもラインナップされていた先代型と違い、新型はPHEVのみとなっている。これは、PHEVのみでも販売的に失敗しない、そしてそれだけの高い完成度を実現したという三菱の自信の表れでもある。

↑255/45R20 タイヤ+20インチアルミホイール(2トーン切削光輝仕上げ)を履く。※Pの場合

 

↑インテリアにはインストルメントパネルを貫く力強い水平基調のデザインを採用。Pのシート生地はブラック×サドルタンのセミニアンレザーが標準だが、試乗車はライトグレーのレザー生地になっていた

 

乗り心地もフラットで、極めて乗用車ライク!

パワーユニットの構成は、フロントにエンジンを搭載し、フロントとリアにそれぞれモーターを備えた4WDとなっており、前後で異なるモーターで駆動を制御する「ツインモーターAWD」を採用している。従来モデルと同構成ながら、出力が向上されたこのユニットによって非常に優れた加速を実現しており、体感的にもEV(モーター)特有の鋭い加速が感じられた。なお、バッテリー容量は先代型から約50%近く拡大されており、カタログ値で87kmもモーターのみで走行することができる。

 

↑手になじむ大型のダイヤルを回すことで直感的にモードの選択が可能

 

↑左のスイッチはペダルの踏み替えを減らす「イノベーティブペダルオペレーションモード」。右にあるのは4つのモードから、バッテリー残量をコントロールできるスイッチ

 

先代モデルと比べると、もう少し硬かった足まわりがだいぶしなやかになった。乗り心地もフラットで、極めて乗用車ライクなものになっている。また、先代型は車高の高いSUVらしくコーナリングで多少の不安があったが、より安定感の高いフィーリングを感じさせるようになった。

 

ステアリングフィールに関しては従来から重くはなかったが、さらに軽くなった印象を受ける。全体的な操作感覚としては何もかもイージーに生まれ変わったといえる。ボディサイズは全長、全幅とも拡大されているが、最小回転半径は5.5mとなっており、ボディサイズを考えれば非常に小回りが効くクルマに仕上がっている。

↑フロントよりリアのモーターのほうがパワフルなのも三菱PHEVの特徴

 

新型はPHEVのみになったにも関わらず、先代型のガソリンモデルでラインナップされていた7人乗り(3列シート)仕様が設定されている。単純に考えてガソリン車よりPHEVのほうがメカニズム部分の容積が大きくなってしまうはずだが、そこは設計や技術で補った形だ。

 

3列目シート自体は、背もたれ、座面ともに重厚になっていて、立派な印象を受ける。しかし実際に座ってみると筆者のような身体の大きめな男性では高さが足りず、また足を置く部分の床面積にも不満が残る。多くのミニバンと同じように、あくまでも3列目は子ども向けと割り切るべきだろう。

↑3列目シートは子ども専用ともいうべきスペース感

 

↑荷室は、3列目まで使用すると容量は最大284リットル。3列目シートを床下格納すると、最大646リットルまで容量は拡大する

 

最後に、デザインについては、三菱ブランドのフラッグシップ(旗艦)らしく、堂々としたたたずまいに仕上がっていて素晴らしい。何にも似ていない三菱オリジナルテイストのフロントまわりは、同社のデザインアイコンである「ダイナミックシールド」が採用されており、非常に押し出し感が強く、輸入車の高級モデルばりの威厳を放っている。インテリアについてもクラス以上の高級感に満ちていて、クオリティが高い。流行りのフォーマットをなぞっている印象のないクルマながら、クルマの未来を感じたい人にとって、最高の一台になり得るだろう。

↑フロントマスクには最新世代の「ダイナミックシールド」デザインを採用。頰の部分にある四角いユニットがヘッドランプ

 

SPEC【P】●全長×全幅×全高:4710×1860×1745㎜●車両重量:2110㎏●パワーユニット:2359cc直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:98kW/5000rpm●フロントモーター最高出力:85kW/リアモーター最高出力:100kW●エンジン最大トルク:195Nm/4300rpm●フロントモーター最大トルク:255Nm/リアモーター最大トルク:195Nm●WLTCモード燃費:16.2㎞/L

 

撮影/木村博道 文/安藤修也

 

 

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