2022年の普通車販売台数ランキングで2位となったのはトヨタ・カローラだが、その販売の中心となっているのは、ミドルサイズクロスオーバーSUVの「カローラ クロス」だ。発売から1年以上が経過した今、改めてその魅力を探ってみたい。
■今回紹介するクルマ
トヨタ/カローラ クロス
※試乗グレード:ハイブリッドZ(2WD)
価格:199万円~319万9000円(税込)
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50年以上売られてきた超ロングセラーモデル「カローラ」
現代の若者たちは知らないかもしれないが、トヨタの「カローラ」といえば、一時期日本で最も売れていたクルマであり、日本を代表するスタンダードカー、そして50年以上売られてきた超ロングセラーモデルでもある。売れるクルマというのは、つまりそれだけの魅力を備えているとも言えるが、万人受けするつくりを「平凡でつまらない」と評する人もいた。
しかし、現代のカローラの印象はどうだろう。現行型は、2018年にハッチバック(カローラ スポーツ)が登場し、約1年後にセダン(カローラ)とワゴン(カローラ ツーリング)が発売されている。サイズは3ナンバー化し従来型より大きくなったものの、切れ長のヘッドライトやスマートなボディラインがモダンにまとめられた。さらに、ネット接続機能を特徴とした「コネクテッドカー」として、新世代モデルの象徴として誕生した。
そして、これら3つのボディタイプから約3年遅れで2021年に追加されたのが、このカローラ クロスである。なんといってもカローラとしては歴代初のSUVモデルということで注目を集めたが、SUVブームももう10年近く続いているので、どうして今まで出なかったのか不思議なくらいだった。ちなみに、前年の2020年にはタイで先行販売されているが(日本仕様とはデザインが若干異なる)、先に東南アジアの国で販売されるというのは国産車としては珍しい売り方である。
カローラのクロスオーバーSUVモデル……つまり、「カローラ クロス」となるわけだが、当然SUVタイプならではの恩恵があり、アイポイントが高く、荷室もそれなりに大きい。他のカテゴリーのクルマと比べて最低地上高も高いため、さまざまなシーンでそれほど高低差を気にせずに走り抜けることができるのもSUVらしい魅力である。
顔つき(フロントフェイス)については、現行型カローラの特徴をしっかり受け継いでいる。ボディサイズは、同社のSUVとしては、「C-HR」よりすこし大きく、「RAV4」より少し小さい。2016年末に発売されて以降、若干、販売にかげりが見えてきたC-HRを補完する形で、同等のミドルサイズモデルとしてラインナップされた。
アニメチックでチャレンジングなデザインが特徴のC-HRに対して、このカローラクロスのデザインは、非常にオーソドックスだ。現代のSUVらしく、オフロードっぽさより都会的な雰囲気で、筋肉質でたくましく躍動的なボディラインや、大きなグリルにツリ目のヘッドライトが組み合わされている。前後フェンダーの盛り上がりなどもあるが、これらは近年のSUVのトレンドであり、どこか特別奇抜なデザインがあるわけではない。正統派で、奇をてらわないよさがある。ここはいい意味で「カローラ」なのだ。