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2023/6/10 11:30

「お高いハリアーPHEVに価値ある?」→超快適な乗り心地にV8を積んでいるかの加速で大アリ

国産ラグジュアリーSUVの先駆として1997年に国内市場に登場したトヨタ ハリアー。2020年に発売された現行型である4代目モデルは、質感やデザイン性が従来モデルからさらに高められ、販売も好調だ。その人気を維持、向上すべく、2022年10月には一部改良が施されると同時に、PHEV(プラグインハイブリッド車)が追加された。SUVとしては早くからハイブリッドモデルが投入されていたハリアーだが、シリーズ初となるPHEVモデルの完成度ははたしてどれほどのものか?

 

■今回紹介するクルマ

トヨタ ハリアーPHEV

価格:620万円(税込)

 

衝撃的な売れ行きのハリアー。でもお高いPHEVモデルに価値はあるの?

トヨタの高級SUVであるハリアーが猛烈に売れている。少し前まで、アルファードが月に1万台レベルで売れまくり、「狂ったように売れている」と話題になった。だが、いまはハリアーがメチャメチャ売れている。上級モデルでありながら、月平均7000台を超えているのだから、衝撃的な売れ行きと言っていい。

 

ハリアーの魅力は、高級感あふれるエレガントな内外装と、乗り心地の良さだろう。いまやどんなクルマも、加速や燃費はそこそこよくて当たり前。勝負は高級感と快適さなのである。

 

そのハリアーに、PHEVが加わった。シャシーベースが共通のRAV4には、以前からPHEVの設定があったが、ハリアーは、今回のマイナーチェンジのタイミングで追加された。

↑側面には「PLUG-IN-HYBRID」のロゴがあしらわれています

 

前述のように、ハリアーの魅力は内外装と乗り心地にあった。加えて、最安312万円(税込)からという価格も競争力抜群だ。一方、ハリアーPHEVの価格は620万円。最安グレードが2台買える値段である。それだけの価値はあるのか?

 

乗り心地のフワフワ感とトルク満点の走りで気分は大富豪である

乗って驚いた。すばらしくイイのである。内外装はハリアーのトップグレード「Zレザーパッケージ」に準ずるが、乗り心地はふんわりソフトで超絶快適!

↑シートは本革で見た目にも高級感が漂います。シートに施されたダークレッドのステッチもアクセントに

 

クルマは重量が増せば増すほど乗り心地を良くすることが可能だが、ハリアーPHEVは、バッテリー搭載によってハイブリッドに比べて約200kg増えた重量をうまく使って、すばらしい乗り心地を実現している。ほかのハリアーも快適ながら、PHEVはその一段上。思わず「えええ~っ!」と声が出るほど快適なのである。

 

しかも、加速がものすごい。エレガントな乗り心地とは裏腹に、暴力的なまでに出足がイイ。それもそのはず、2.5Lのダイナミックフォースエンジン(177ps/219Nm)と、フロント270Nm、リア121Nmのモーターを使ったシステム最高出力は、なんと306psに達する。

 

馬力もすごいが、それよりすごいのがトルクだ。乗り心地がフワフワと快適でトルク満点の走りは、かつての大排気量アメ車を彷彿とさせる。特にスポーツモードでは、アクセルレスポンスがウルトラシャープで、思わず「うおおおお!」と叫んでしまう。見晴らしのいいSUVでこの加速が炸裂すると、気分は大富豪である。

 

ハリアーには従来、2.0Lガソリンモデルと2.5Lハイブリッドモデルがあった。2.0Lガソリンは、排気量のわりに低速トルクがあり、重量級のボディをそれなりに走らせてくれるが、高速道路での加速は物足りなかった。2.5Lハイブリッドなら、全域でぐっと力強い加速を見せるが、こちらも特段速い部類ではない。

 

しかし今回追加されたハリアーPHEVは、明確に速い! V8でも積んでいるのか? と思うほど速いのである。実際、モーターのトルク特性は大排気量V8エンジンに近い。

↑2.5Lの直列4気筒DOHCエンジンを搭載。エンジンのみの最高出力は130kW(177ps)を実現しており、そこにフロントとリアのモーターが加わります

 

620万円という価格は決して安くはない。しかし従来のトップグレードだった「Z レザーパッケージE-Four」は514万円だ。プラス106万円でこの乗り心地と加速なら、高くないのではないだろうか?

外観の差別化は小さい

ハリアーPHEVの外観上の特徴は、ブラックアウトされたメッシュフロントグリルや、19インチ(タイヤサイズ:225/55R19)の大径ホイール、そしてPHEVバッヂ程度。

↑前面はメッシュフロントグリルのほかに、ワイドに広がるヘッドランプも特徴

 

今回の試乗車はボディカラーがガンメタだったため、ほかのグレードとの見分けは難しい印象だったが、ハリアーのエクステリアはもとから十分カッコいいので、差別化が小さいことに対する不満はない。内装に関しては、赤のステッチやパイピングがシートやダッシュボードまわりにアクセントとして入る。

↑外観デザインを見ると、フロントからリアに流れるようなシルエットが印象的です。なお、ボディサイズは4740×1855×1660mm

 

↑フラットなラゲージスペースは、ゴルフバッグ3個分収納できます。また、スライド式のデッキボックスを装備し、デッキボード下収納にアクセスしやすいほか、ハリアーPHEVには充電ケーブル用の収納スペースを用意

 

燃費は見劣りするが、EVモードなら近所にお出かけ可能(ただしゼイタク者に限る)

では、燃費はどうか。ハリアーハイブリッドは、WLTCモード21.6km/L(E-Four)。PHEVは車両重量が210kg重いため(1950kg)、WLTC燃費は20.5km/Lと若干落ちるが、これはPHEVのEVモード走行を無視した数値だ。

 

PHEVの駆動用バッテリーは18.1kWhの容量があり、EVでの航続可能距離は93kmある。実際にはその7掛け、つまり60km程度がEVモードの走行可能距離になり、近所のおでかけならEVモードでカバーできる。

↑充電は付属の充電ケーブルとコンセントをつなぎます。200V/16Aで充電時間は約5時間30分。ただし専用の配線工事が必要で、工事なしだと100V/6Aで充電可能。その場合は約33時間で満充電となります

 

もちろんそのためには、車庫に普通充電設備が必要。つまり、車庫付き一戸建ての住人にのみ許されたゼイタクではある。ハリアーでゼイタクを満喫したいなら、間違いなくPHEVがベストだ。

 

最後に、残念なお知らせ。ハリアーPHEVは注文の殺到と生産能力不足によって、発売前から受注停止となり、当分発注すらできそうにない。早くなんとかしてもらいたいものだ。

 

SPEC【プラグインハイブリッド E-Four・Z】●全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm●車両重量:1950㎏●パワーユニット:2487cc直列4気筒エンジン+フロント&リアモーター●エンジン最高出力:130kW(177ps)/6000rpm●最大トルク:219Nm/3600rpm●WLTCモード燃費:20.5km/L●電力使用時走行距離:93km

 

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