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2018/5/26 18:00

裸の付き合いは国境を越える! 「サウナ」から見るロシア人と日本人の共通点

日本人の風呂好きは世界でも周知の事実ですが、ロシア人の熱いサウナ愛についてはご存知でしょうか? ロシアのサウナは湿度が高く「蒸し風呂」とも呼ばれ、都市部ではアパートに「一人用サウナ」がついているほど。今回はこのロシア式サウナの特徴と、モスクワっ子が憧れるサウナの聖地「サンドゥニ」をご紹介します。日本人なら理解できるところも多いロシア人のサウナ文化を見ていきましょう。

 

日本人もびっくりロシア式サウナとは?

ロシア人にとってサウナは日本人のお風呂のようなもの。ロシア人は家に洗面所ほどの大きさの一人用サウナを設置してしまうくらい、サウナが大好きな国民なのです。

 

サウナの滞在時間も3~4時間ほどと非常に長め。その理由にはロシアの独特な入浴スタイルがあり、休憩室のようなスペースで、食事やお茶をつまみながら、休憩スペースとサウナを行き来するのです。

 

一般的には休憩スペースに大きなテーブルが置いてありますが、高級な所になると「プール」や「ジャグジー」、さらに「ダーツ」や「ビリヤード」まで設置しているところも。そこでロシア人は仲間たちと語らい、お茶やお酒を酌み交わし、ゲームをするのです。これは、いわゆる「裸の付き合い」で、日本人の銭湯の感覚にも似ていますね。

 

ロシアのサウナでは欠かせないものが「フェルトの帽子」「敷物」「白樺の葉」の3つです。熱い石のうえに水をかけて蒸気を充満させるロシア式は、湿度や温度がフィンランド式サウナより高く、温度は90~100度に設定されています。

 

高湿度のため体感温度はさらに暑く、フェルトの帽子なしでは熱気が直接頭に当たってクラクラしてしまうほど。小さい座布団のような敷物は自分が座る場所に敷くために使う一方、白樺の葉は血行促進用で、それを使って身体を叩くのがロシアの習慣。後述する高級サウナの「サンドゥニ」では、「叩き師」なる方たちが白樺で利用者の身体を万遍なく叩くそうですが、その加減がとても上手で、まるでマッサージのようだと評判。

 

日本同様、ロシア式サウナでもサウナ後に必ず水風呂に入ります。ロシアの場合はサウナの後にシャワーで冷水を浴びたり、冷たいプールに入ったり、または冬ならそのまま雪に飛び込むということもあります。

憧れの聖地「サンドゥニ」とは?

そして、モスクワっ子憧れの聖地「サンドゥニ」。1808年にサンドゥニ夫妻が「貴族たちの交流場」としてサウナを始め、200年以上にわたってナンバーワンの座を不動のものとしています。ランク別の3つの男性用サウナと2つの女性用サウナがあるほか、8つのジャグジーやプール付きの個室も完備。

 

いまでこそ民間に開放されましたが、それでもやっぱり「高級サウナ」、入場料だけで2800ルーブル(約5600円)します。タオルなどは200ルーブル(約400円)で借りられるので、手ぶらでも大丈夫。また、サンドゥニのロゴが入った「サウナ用の帽子」(300ルーブル〔約600円〕)が人気で、思い出に買って帰る人も多くいます。

ちなみに、サンドゥニは19世紀建造のロシア最高峰の建造物で、その優雅な内観は現在も多くの人たちを魅了し、癒し続けています。

 

サウナで深まる家族や友人との絆

ロシア式サウナは、汗を流すことにより得られるリラックス効果はもちろん、フィンランド式よりも湿度が高いので喉にも良く、風邪などにもよいと現地では言われています。また、休憩スペースを行き来するその独特なスタイルは、ただのサウナというよりも1つの完成された娯楽。家族や友人と楽しい時間を過ごすことができるでしょう。

 

一昔前は日本でも良く耳にした裸同士の付き合い。それがロシアでは現在も日常的に行われていることに少し驚きつつも、日本人としてはロシア人との共通点を感じずにはいられません。ロシアにお越しの際はぜひサウナに行ってみてください。