近年、モスクワの空港が飛躍的に進化しています。この数年で、外国からの玄関口である空港が見直され、パスポートコントロールなどの窓口が増設されました。また、空港内はソビエト連邦時代の面影は全くなく、明るく綺麗でモダンな装い。なかでも特に便利に感じるのは、手荷物受取場(バゲージクレームエリア)の改善です。海外便の発着も多い2つの主要空港とともに、その画期的なサービスを紹介します。
ロシアの2大玄関口
最近までモスクワの空港といえば、ソビエト時代の面影を残したレトロなものでした。コンクリートがむき出しで、電球がところどころ切れて薄暗く、綺麗とは程遠い場所。しかも、パスポートコントロールでは窓口が少なく、長蛇の列。並んでから出るまで数時間かかるのが当たり前でした。
現在、ロシアの2大空港といえば「ドモジェドヴォ空港」と「シェレメチボ空港」。前者は施設の改築や増設が、ロシアでいち早く行われたところです。それによって、海外の航空会社が多数就航できるようになり、「ロシア最大級の空港」としての風格が高まりました。
後者は、東ヨーロッパで一番規模の大きい元国営航空会社アエロフロートの拠点となっている空港。サッカーW杯などの影響を受けて多額の投資が行われ、現在急ピッチで施設の改修やサービスの改善が進んでいます。
そんな2つの空港はインスタグラムを公開しており、それぞれの特徴が上手に発信されています。ドモジェドヴォ空港は、空港の昔といまを比較した写真や安全性に関する物事、日々働くスタッフの仕事ぶりなどを紹介しています。
その一方、近代化著しいシェレメチボ空港のインスタグラムは、増設されたターミナルの新しいショップ情報や、空港を利用するフォロワーの様子をコメント入りでリポストしたり、「夜の空港探検」など、オリジナリティー溢れる企画を配信したりしています。
旧ソ連時代には、軍や政府が使用するイメージだった空港も、現在では国民に情報を開示することで、以前よりオープンなイメージに変化。特にシェレメチボ空港は国内線が多く、ロシア国民の利用率が高いこともあって、国民に根ざしたフレンドリーな空港というイメージが定着しつつあります。
シェレメチボ空港の改革が大好評
このように、とても近代的になった両空港ですが、最近シェレメチボ空港が改善した「あるもの」がロシア国民に高く評価されています。それは、前述の手荷物受取場の改善。手荷物が搬出されるベルトコンベアーと同じフロアにカフェや免税店、鉄道のチケット売り場などが併設されているのです。同じようなフロアは他国の空港でも見られますが、重要なのはロシアの空港のサービスがソビエト時代と様変わりしたということ。
先日見たときは、手荷物が見つかるまでの間に、小さな子ども連れの家族が免税店を行き来していて、子どもが退屈しないようにしていました。また、若い乗客は待っている間にカフェでコーヒーを飲んでいた一方、あるビジネスマンは、待ち時間にモスクワ中心部までの鉄道チケットを買っていました。
筆者自身も空港に着いた後にお土産を買い足したいときがあるので、コンベアーのフロアに免税店があることは助かります。先日は私が免税店で買い物をしている間に、主人がモスクワ中心部までの鉄道チケットを買っていたので、手荷物が出てきた後もスムーズに帰路につくことができました。
2つの主要空港は、ロシアでトップレベルのデザイナーチームによって設計された空港です。デザインを近未来的にすることで、ソビエト連邦時代の暗く古い面影を完全に消し去り、過去のものにしました。さらに、手荷物受取場に色々なサービスを集中させるという画期的な試みは、利用者が時間を有効に使う後押しとなり、荷物を待つストレスから解放することにも成功したのです。両空港はロシアの近代化の象徴かもしれません。