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2019/10/1 19:00

苦あれば楽あり! 日本人13年連続受賞の「イグ・ノーベル賞」が教えてくれること

れっきとした科学者が真剣に取り組む研究だけれど、ユーモアある研究に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」。ノーベル賞のパロディの常連となっているのが日本人研究者たちなのです。2019年での受賞式で明海大学教授の研究が化学賞を受賞し、なんと13年連続で日本人の研究者が受賞しているんです。

2019年9月にアメリカのハーバード大学で行われたイグ・ノーベル賞の受賞式で、明海大学保健医療学部の渡部茂教授の研究グループが化学賞を受賞しました。渡部教授たちのテーマは子どもの唾液量がどのくらいあるのか。この取り組みを始めたのは、いまから30年以上も前のことで、自身の子ども3人も含めて5歳の子どもの1日の唾液量を計測するというものでした。バナナなどの食べ物を口のなかでしばらく噛んだあとに紙コップに吐き出して、唾液の重さをはかるというアナログな方法で研究を重ねたそうです。そして数年がかりで、5歳児の1日の唾液分泌量はおよそ500mlという研究結果を導きだし、論文として発表したのです。

 

授賞式では、渡部教授の3人の息子も登場し、当時の研究の様子を舞台上でバナナを食べながら再現。教授としてはまじめな生理学的な研究として取り組んでいたものの、嫌がる子どもたちにご褒美をあげたりしながら、飽きさせずに協力してもらう様子などに、ユーモアがあると評価されたようです。

イグ・ノーベルを受賞した過去の面白研究

では、これまでにイグ・ノーベル賞を受賞した物の中からユニークな研究をいくつかご紹介します。

 

【バクテリアがつきやすい世界で最も汚い紙幣】

トルコとオランダ、ドイツの研究者が行ったのは、世界にある紙幣でもっともバクテリアがつきやすいものを調べる研究。その結果、ルーマニアの紙幣が一番細菌などが付着して汚れていることがわかりました。この研究は2019年のイグノーベル賞で経済学賞を受賞しました。

 

【座ったまま内視鏡検査すると痛くない】

大腸がん検診などで行われる内視鏡検査といえば、ベッドに横たわった状態で、肛門から内視鏡を体内に入れて行われます。その内視鏡検査について、もっと痛みや不快感を減らす方法を模索して、自ら試して「椅子に座ったままが一番いい」と結論づけたのが、昭和伊南総合病院の堀内朗医師。この研究結果は2018年のイグノーベル賞で医学教育賞に輝きました。ただ、この方法は恥ずかしく受けたがらない人が少ないため、現場では採用されていないのだとか。

 

【ワニに触るとギャンブルしたくなる?】

オーストラリアとアメリカの研究者が調べたのが、ワニと人間のギャンブル欲の関係性について。ワニ園を訪れた約100人について調査した結果、ワニに嫌悪感を感じない人の場合、ワニに触れた後のギャンブルで大金をかける傾向があり、一方ワニに嫌悪感を持っている人はワニに触れた後のギャンブルで慎重になることがわかりました。これは2017年イグノーベル賞で経済学賞を受賞しました。

ちなみにイグ・ノーベル賞の受賞者に贈られる賞金は、10兆分のジンバブエドル。ジンバブエドルはかつてハイパーインフレとなり、現在は廃止されている通貨であり、つまり価値はゼロということ。賞金にもユーモア満点のイグ・ノーベル賞は、狙って行うものではないのでしょう。ただし真面目に考えれば、イグ・ノーベル賞からは学ぶべきことがいっぱいありそうです。誰もやっていないことをやる。自分が「これだ!」と思ったことはやり続ける。コツコツ努力をしていれば、いつか花は開く。このような信念と行動力が、科学者だけでなく人間として大事なのではないかと思います。

 

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