飛行機で提供されるコーヒーや機内食の容器は、いずれ「食べられる容器」に変わる――。そんな未来が近づいているかもしれません。ニュージーランド航空が12月、機内で提供するコーヒーを「食べられるコーヒーカップ」で試験的に提供すると発表しました。
プラスチックごみが世界中で問題になっているなか、これまでプラスチック製だった容器やパッケージを再利用可能なものに替えていく動きが少しずつ始まっています。飲み物サービスや機内食サービスなどで、大量のプラスチックごみが出る航空業界でも、そんな取り組みが進んでいる業界のひとつで、ニュージーランド航空は機内で出すコーヒーカップに「食べられる容器」を試験導入すると発表しました。
同航空会社がニュージーランドの企業twiiceと共同で開発した食べられるコーヒーカップは、紙とトウモロコシを原料にした植物由来のもの。バニラ味がついて、液体が漏れないように作られているそうで、試飲した人からは好評を得ているそうです。使用後は市販のコンポストでも分解可能。ニュージーランド航空では年間800万杯以上のコーヒーを提供していますが、機内とラウンジでこの食べられるカップに切り替えることで、年間約1500万個相当のカップごみが削減されると見ています。
機内で出るプラスチックごみは、ドリンク用のカップだけでなく、ほかにもあります。例えば、ロンドンにあるデザイン企業PriestmanGoodeは、「食べられる機内食容器」をこの秋発表しました。容器の原料となっているのは、コーヒーや穀物の殻、小麦の表皮部分など。さらに米のもみ殻に海藻、バナナの葉、藻などを混ぜ、食べられる容器を実現しました。
飲み物用のカップには、コルクやバイオプラスチック(再生可能な生物資源から作られた合成樹脂)から製作し、搭乗中はこれでおかわりも可能なのだとか。これらの食べられる機内食容器は、ロンドンのデザインミュージアムの展示会で発表され、世界中から注目を集めています。今後はさらなる改善が進められて、どこかの航空会社で食べられる容器が実際に使われることになるかもしれません。
プラスチックは安くて軽くて丈夫ともてはやされ、あらゆるものに利用されてきましたが、現在はごみを極力出さないものが求められています。使用後はごみとして捨てていた機内食や飲み物の容器ですが、今後はこのような食べられる容器がスタンダードになっていくのかもしれませんね。
またニュージーランド航空では、マイカップを機内やラウンジに持参することも推奨。二酸化炭素の排出やセキュリティの問題はさておき、マイカップやマイタンブラーを持って飛行機に乗ることも自然なことになっていくのかもしれません。