日本が世界に誇るモノのひとつといえば、家電。実際、黒物・白物家電を筆頭に日本産の家電は海外でも多くの人に使われています。そんな日本のお家芸である家電ですが、技術がいっそう発達したいま、ユニークな家電も次々と生まれています。
たとえば、例年に増して猛暑を記録した2019年の夏に大ヒットしたハンディファン。モノという枠を飛び越え、流行語大賞候補にノミネートされた話題の逸品です。
“おもしろ家電”ともいえるこれらのアイテムですが、認知はまだ日本国内にとどまっているケースがほとんどでしょう。そこで、海外から来た方々に直接テストしてもらっちゃいましょう! というのが今回の企画です。実際に使った場合、彼らはどんな反応や評価をするのでしょうか。そこから、各家電の真価が見えてきたり「ここがこうなるともっとイイ」的な声が出てきたりするかもしれません。
↑2019年はGetNaviのプロデュースで「USB充電式 2WAYハンディファン」も発売されました。こちらでなくとも、炎天下で使っている人を見る機会は多かったのではないでしょうか
テストしたのは日本より気温が高い地域出身の3名
今回、おもしろ家電を試したのは、JICA(独立行政法人国際協力機構)が実施している途上国の若手人材に向けた留学生プログラムに参加するため、日本で学び、企業でのインターンシップに参加するため東京に滞在しているこの3人。まずはそれぞれ出身国の異なる3名のプロフィールを紹介していきましょう。
バブルさん
セネガル・ダカール出身。日本滞在歴2年。アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)の留学制度により、東洋大学大学院で国際地域学を学び、現在は通信業界にてインターン中。帰国後は日本やタイでのリサーチ旅行の経験を生かしてエコツーリズムの新規ビジネスを始めたいと考えている。日本に来て最も驚いたのはトレインシステム。時間通りに来るところ、混雑具合、しっかり並ぶ、あと駅の構造がすごく複雑なのにもビックリ。
ジョーさん
ジンバブエ・ハラレ出身。日本滞在歴2年6か月。バブルさんと同じくABEイニシアティブの留学制度により、新潟県にある国際大学大学院にてMBAを取得し、エネルギー業界にてインターン中。日本のトイレのウォッシュレットには最初はビックリした。使うのをためらったが慣れていくうちに、だんだんこの気持ちよさが分かってきた。
レイレイさん
ミャンマー・ヤンゴン出身。日本滞在歴3年3か月。アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-Net)の留学プログラムを通じて東京工業大学大学院に留学し、オーガニック電子機器研究で博士号を取得。帰国後は大学の研究機関に貢献したい。日本の電化製品で気に入ったのはマッサージチェア。強くて、ときに痛いこともあるけどヤミツキになる。量販店などで体験できる点もうれしい。
今回テストする家電は3つ。前記の「USB充電式 2WAYハンディファン」に加え、扇風機機能とミストシャワー機能を搭載した晴雨兼用傘「ファンブレラ」、シワを伸ばす乾燥機「アイロンいら~ず2」です。
「USB充電式 2WAYハンディファン」とミストシャワー付「ファンブレラ」は、猛暑の日本であるからこそヒットしそうなアイテム。「アイロンいら~ず2」も、梅雨などの悪天候が続き、夏は湿気が多い日本ならではといえそうです。
ただ、テストする3人の出身国は日本より赤道に近い場所にあるため、気温の高さに関しては日本以上のはず。ということは、今回のアイテムにも好感をもってもらえるのでは? そんな予想を抱きながら、いよいよテストを開始。まずは「USB充電式 2WAYハンディファン」から!
[01]
GetNavi BEST SELECTION
USB充電式 2WAYハンディファン
アウトドアでは手持ちで、デスクでは付属の卓上用スタンドに立てて使える2WAY仕様。スポーツ・部活や花火大会、フェスなどの夏の行楽シーンから、自宅・オフィスまで、幅広いシーンで暑さ対策に役立ちます。本体123gの軽量設計で、落下防止ストラップも付属。持ち運びにも便利です。
ジョーさん:おお~これはナイスブリーズ! 心地いい風ですね~。卓上用スタンド付きなのもうれしい。暑い日のデスク上で使いたいです!
――USBから充電して、持ち運べるという2WAY仕様についてはいかがですか。
ジョーさん:屋外ですか……それはちょっと、僕は勇気が要るかなぁ。
レイレイさん:私は、周りの人が使っている場所でなら問題ないですよ。実は、ハンディファンはミャンマーでは既に持っている人もいます。湿度が高くて暑い国なので。でも、このGetNavi製のほうが機能性は高いと思います。
バブルさん:充電すると、1回でどれぐらい使えるんですか?
――最長で4時間ですね。
バブルさん:USB充電で4時間も! 日本人は人気店であれば炎天下でも並びますけど、4時間あると安心ですね(笑)。
――ジンバブエやセネガルではヒットすると思いますか?
ジョーさん:外で使うとなるとどうでしょう。サイズがもうちょっと小さければチャンスはもっとあると思います。この間、埼玉の白岡の友人のところに遊びに行った時、ものすごく暑くて蒸して、その時だったら使ったかなぁ!
バブルさん:サイズに関しては私も同意見です。これだと大きいと思いますね。あと、色は黒だけなんでしょうか。これだとデザインが地味で私は外では使いにくいかな。日本の超通勤ラッシュの車内とか特殊な環境でなら使いたい!
レイレイさん:ミャンマーならこれも売れると思いますよ。2WAYで使える機能性も魅力的ですし。ただこのデザインは男性的なので、女性向けがあるなど、バリエーションは増やした方がいいかもしれませんね。
[02]
サンコー
ファンブレラ
炎天下の日中で威力を発揮する、ミストシャワーとファンが付いた傘。電源スイッチを入れ、ミストボタンを押すだけで涼しい風が送られてくるので、炎天下の待ち合わせや外回りで移動するときなど日中の行動が楽になります。
バブルさん:わぁ、ファンタスティック! 機能はすごく面白いですね。
ジョーさん:これも涼しくてイイですね。デザインもユニークだし、ボタンを押してミストが出てくるギミック的な機能は、まるでジェームズボンドになった気分。未来の傘ですよ!
レイレイさん:アイデアは素敵ですね! ただ、やっぱり普通の傘よりはちょっと重いかな。価格はいくらですか?
――5980円です。
レイレイさん:ノーブランドの傘に比べると、なかなかの値段ですね。でもこうして使ってみると機能は確かだし、暑がりの人にとっては価格ぶんの価値があるんでしょう。
ジョーさん:僕は、ファンは気に入ったけどミストは要らないかな。服が濡れるのは嫌なんです。ジンバブエは身だしなみを気にする人が多いから、ミストみたいなちょっとの水でも使わないんじゃないかなぁ。
バブルさん:セネガルもそうね。あと、やっぱりブラックの色が……特に女性ウケはよくないかも。
――では、どんな色だとアフリカでも受けると思いますか?
バブルさん:レッド、イエロー、グリーンとかですね。アフリカの国旗に使われているようなビビッドカラーがいいかしら。色も一色ではなくて、パターンで重ねたらオシャレになると思うわ。
[03]
サンコー
アイロンいら~ず2
電源を入れると乾燥バッグに温風が送り込まれ、シャツなどをかぶせればその衣類ごとパンパンに。温めながら衣類のシワを伸ばせるので、乾燥とアイロンがけが同時に実現。完了までの時間は約30分。シャツ類だけでなくズボンにも使うことができ、アイロンがけが面倒な人を中心に好評を博しています。
ジョーさん:ネーミングからして面白いですね。でも、実物はそれ以上にスゴい! 洗濯したばかりの服をすぐ着たい、なんてときに使えそう。
――ジョーさんは今日もシャツを着ていますが、よくアイロンがけするのでしょうか?
ジョーさん:はい。僕は仕事の関係でビジネススタイルが多いから、平日はフォーマルですね。「アイロンいら~ず2」は手軽にシワが伸ばせるということで、すごくイイと思います。
レイレイさん:靴下や下着も乾かせるのは魅力ですね。ほかに乾燥機を持っていない人は、特にアリかもしれません。
バブルさん:私は、日本で生活する時にはいいんですけど、セネガルではちょっと使えないと思います。というのも、地元では民族衣装を好む女性がけっこういて、私もよく着るんですけど、サイズがすごく大きいんです。だから、「アイロンいらーず2」を使ってもちゃんと乾かないんじゃないかな。
ジョーさん:確かに、ジンバブエでもそうかもしれないですね。私たちは色とかファッションにかなり気を使うんです。襟も完全にパリッと伸ばしたいし、袖ボタンにカフスもつけたりするのでこれだと飛ばないか心配。もしアフリカで日本の家電を展開するなら、そういった文化も配慮したほうがいいかもしれないですね。
【3人が持って帰りたいものはコレでした!】
アイデアとして面白く機能的でもありながら、且つ、色やデザインは明るくてキャッチーで、更に軽量なほうがいい。全体的にそんな声が多かった今回のテスト。それぞれの国の気候や文化の差が垣間見えて楽しいひとときでした。機会があれば、次はまた違うアイテムを試してもらいたいと思います!
●留学生の出身国はこんなところ!
【セネガル】
セネガル共和国は、アフリカ大陸の最西端に位置し、流通及び経済活動などの地域拠点となっている。公用語はフランス語。首都はパリ・ダカールラリーのゴールとしても有名なダカール。「着倒れの国」と呼ばれるほどにオシャレな方が多く、鮮やかな色合いの民族衣装も目立つ。世界遺産も多く文化的な香りが漂う国。
【ジンバブエ】
ジンバブエ共和国は、アフリカ大陸の南部に位置する内陸国。首都はハラレ。かつては「アフリカの穀物庫」と呼ばれる農業国であった。野生生物が生息する国立公園や保護区、サファリ区域が数多くあり、観光客を魅了している。
【ミャンマー】
ミャンマー連邦共和国は、東南アジアのインドシナ半島西部に位置する多民族国家。公用語はビルマ語。首都はネピドー。国内最大都市のヤンゴンには、仏塔や活気のあるマーケットが数多く立ち並ぶ。
テスト会場はコチラ
JICA東京
独立行政法人国際協力機構(JICA)東京センター、通称「JICA東京」。充実した宿泊施設やセミナールームがあり、JICA研修員をはじめ年間延べ5万人の利用者が利用しています。1階の食堂やラウンジは、一般の方も使うことができる地域に開かれたセンターです。