新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの人の生活が変わりました。その影響は私たちのライフスタイルや物事への考え方にも現れているようです。4月にアメリカで2万5000人を対象に行われたIBM Institute for Business Valueの調査結果から、人々の暮らしがどのように変化しているのかをモビリティ・仕事・買い物・イベントの4分野から見てみましょう。
1: 移動するならマイカーで
電車やバスなどの公共交通機関は、不特定多数の人が密室となった空間にいるため感染のリスクが高くなります。そのため、それらの交通手段の利用を避ける傾向が見られました。普段から公共交通機関を利用している人の20%が「もう交通機関は利用しない」と回答。「利用頻度を減らす」と答えた人は28%と、全体の半分近くが電車やバスの利用を控えようとしていることがわかります。
公共交通機関の利用を減らす分、「自家用車の利用を増やしたい」と答える人は17%いましたが、自動車の購入については25%が「今後6か月はクルマの購入は見合わせる」と回答。経済状況への不安感からクルマのような大きな買い物を躊躇する様子がわかります。
また、UberやLyftなどの配車サービスを普段から使っている人も、約半分が「利用しない」または「利用頻度を減らしたい」と答えていました。
2: 在宅勤務がいい
新型コロナウイルスは働き方にも大きな変化をもたらしています。およそ40%が「通常の生活に戻っても、企業はリモートワークの選択肢を考えるべき」と回答。「時々でもリモートワークしたい」人は75%以上、「リモートワークを働き方の第一の選択肢として考えたい」人は54%にものぼりました。
新型コロナウイルスがきっかけとなって、それまではリモートワークという選択肢はなかったけれど、自宅から仕事できるシステムを導入した企業も多かったはず。この調査では、実際に自宅勤務を経験した人の多くが、そのメリットを実感していることが伺えます。
3: 増えるキャッシュレスと地元愛
また外出規制によって、オンラインショップの利用も増加。今回の調査では全体の75%が「食料品や日用品などの生活必需品の買い物は店舗に行く」と答えていましたが、ワシントン州やオレゴン州などの北西部では、オンラインショップの利用が高い傾向が見られました。外出規制で外に出られないストレスから、買い物に出かけることが気分転換になる一方で、感染するリスクがありオンラインショップを利用している方もいるのでしょう。
支払い方法については、人との接触が少ないモバイル決済やクレジットカードを好む人が約40%、さらに買い物するときは「地元の店をよく利用する」と答えた人が25%と、地元企業を支援する気持が高まっているようです。
4: 会議もエンタメもバーチャルで
感染リスクが高くクラスターも発生しやすいのが、コンサートや展示会などの大型イベント。これに対しては、75%が「展示会や(リアル)会議などには、2020年は出席しない可能性が高い」と答えています。
それ以外の外出先として、「レストランやバーに行く」と答えた人はおよそ33%ですが「行かない」と答えた人も10%いました。さらに公園に行く人は33%、ビーチは25%、ショッピングモールは20%となりました。
今回の調査はアメリカで行われたものですが、日本でも同じような傾向が見られるでしょう。人・モノ・カネの移動が止まり、経済が停滞していますが、より大きな視点で世の中を捉えれば、グローバリゼーションが衰退しています。時代が大きく転換するなか、私たちも考え方や生き方を見つめ直す必要があるかもしれません。