災害が起きて電力の供給が止まってしまったら、スマートフォンを使って家族と連絡を取ることや被害情報を入手することが難しくなってしまいます。そんな非常時に重宝されるが「蓄電できるアイテム」ですが、最近では身近にあるレンガを蓄電装置として利用する研究が行われています。
安価な建築資材であるレンガを蓄電装置に使うことができたら便利ではないかという考えのもと、ワシントン大学セントルイス校の研究チームは、ホーム用品店で購入した赤レンガに「PEDOT」と呼ばれる導電性のポリマー塗料を塗る試みを行い、LEDライトを点灯させることに成功しました。
赤レンガの赤色は酸化鉄やサビであり、これがポリマーと化学反応を起こします。また導電性のポリマーはナノファイバーでできており、多孔質のレンガ内部に入りこむことができるため、電気を蓄えられるイオンスポンジのような役割を担うことができるのです。
このレンガが50個あれば、非常時に5時間分の電力を供給することが可能なのだそう。また充電は1時間以内で終了し、数十万回も充電を繰り返し行うこともできます。
進むバイオレンガの研究
以前人の尿からレンガを作る研究についてご紹介したように、世界ではバイオレンガの研究も盛んです。近年発表されたバイオレンガの報告には、バクテリアを利用してレンガを作る方法があります。コロラド大学ボルダー校の研究チームが発表した内容によると、光合成細菌の一種を岩塩や栄養素を含んだ混合物のなかで増殖させると、それがやがて炭酸カルシウムを堆積していき、人が乗っても砕けないほどの強度を持つ素材が作られることがわかりました。
コンクリート並みの強度には及ばないものの、バクテリアの力だけでレンガのような素材を作ることができるとあって、宇宙や砂漠など人が介入できない環境で利用できるのではないかと期待されています。レンガには多くの可能性が潜んでいるようですね。
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