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2023/4/13 9:40

学研とベトナムのDTP社が資本業務提携! 日本のSTEAM教育で「ベトナムの子どもたちを幸せにしたい」

4月11日、学研ホールディングスがベトナムの教育市場への本格的な進出を発表しました。ベトナムの大手教育出版社のDTP Education Solutionsと資本業務提携を結んだ同社は、ベトナムおよび東南アジア諸国を拠点としながら国際戦略を展開していきます。この取り組みは双方に利益があり、優れた理数科教育を特徴の一つとする「日本型教育」を海外展開したい日本にとっては試金石となるでしょう。

↑資本業務提携を発表したDTP社のヴォー・ダイ・フックCEO(左)と学研の宮原博昭CEO

 

学研は、国民の教育意識が高まっているベトナムを事業展開の最重要エリアと定めています。今後、世界的にマーケットの拡大が見込まれているK12市場(大学入学までの13年間の学校教育期間)に参入するためには、各国でローカライズされた商品の開発力と強固な顧客基盤を有するパートナーが不可欠。STEAM教育や科学に強みがある学研が、今回の提携において将来的にDTP社の持分法適用子会社化を視野に入れていることからも、企業として大きな決断をしたことは想像に難くありません。

 

一方、設立約20年のDTP社は、ベトナムといった東南アジア地域の教育産業、特に英語教育におけるリーディングカンパニー。シンガポールやタイ、ラオス、カンボジアにも事務所を持つ同社は、中南米にも販売チャネルを持っています。500名を超えるスタッフが英語の教科書を中心とした出版事業やスクリーニング(課外授業)事業などを展開しており、教育ポータルサイトの運営や教材の販売などを含めた多角化戦略で成功を収めています。ベトナムの英語教科書市場においては国営企業に次いで約30%のシェアを持ち、オックスフォード大学出版の東南アジア総代理店でもあるなど、国内外に強力なネットワークがあることが強みです。

 

今回の提携によって、学研は自社の教育コンテンツの輸出に加えて、DTP社のグローバルコンテンツやデジタルサービスを輸入することが期待されます。対して、DTP社は学研のコンテンツの英語化、ローカライズ、デジタル化を行うことができるので、双方にとってシナジー効果のある座組みと言えます。

↑学研の書籍がベトナムの子どもたちに読まれる

 

国交50周年を迎えたベトナムと日本はお互いに期待しています。学研は2022年にも日本の文部科学省やJETROと連携してベトナムのEdTech企業と業務提携を締結していました。DTP社のヴォー・ダイ・フックCEOは、ベトナムの教育市場は活気があり、ベトナム人の多くは「日本に憧れている」と言います。一方、日本にとっても教育が輸出品目として海外に展開されることは有益。ベトナムをはじめ東南アジア各国は、経済成長と共に教育の質を高めることに強い関心を持っており、学研には各国の政府や企業からのアプローチが増える可能性もありますが、そのための足掛かりをベトナムで作りたいところ。「日本のコンテンツでベトナムの子どもたちを幸せにしたい」と同社の宮原博昭CEOは決意を表しました。

 

日本型教育の代表的存在である学研が、これからベトナムの発展にどのように貢献していくのか、目が離せません。