残暑が厳しいのは日本だけではありません。イタリアでも35度を超える酷暑がまだ続いていますが、日本と異なりイタリアの家庭は約50%しかエアコンを所有していません。イタリア人はなぜエアコンを持たないのか? そして、どのように猛暑を乗り切っているのでしょうか?
イタリアの家庭のほぼ半数がエアコンを所有していません。そこには、いくつか理由がありますが、代表的なものを3つ挙げます。
1: 歴史的な建物の外観を変えてはいけない
イタリアには歴史的な建物が多くあります。これら建物の外観を守る法律が定められているため、簡易にエアコン設置ができないケースが多いのです。
2: 電気料金の大幅な値上げ
ロシアによるウクライナ侵略後、2022年には電気料金が20%も値上り、エアコンの購入を控える動きが強まりました。
3: 環境への意識の高さ
エアコンの使用は環境負荷が大きいとの認識が高く、2022年の国立統計研究所の調査ではイタリア人の約70%が「エネルギーの無駄遣いに注意している」と回答しています。
このような理由により、イタリアの家庭の半数にはエアコンがありません。では、そんなイタリア人はエアコンなしで、どのように猛暑を乗り切っているのでしょうか?
この時期、イタリアでよくネット検索されるのが「エアコンなしで猛暑をしのぐ○○の方法」。よく挙げられている方法が3つあります。
1: 温度の低い朝晩以外は窓を締め切る
気温が高い日中は雨戸と窓を締め切り、直射日光と熱風が室内に入って温度が上がるのを防ぎます。
2: 氷と扇風機で快適な室内温度をつくる
室内の温度が高くなった時は、扇風機の前にボール一杯の氷をセット。涼しい風を室内に行き渡らせて室内温度を下げます。
3: 不使用の家庭用電気器具の電源を切る
電源が入ったコンピューターやテレビなどの家庭用電気器具は、熱を放出して室内温度を上げる要因の1つ。不使用の家庭用電気器具の電源を切ることで、室内温度の低下につなげます。
日本と同様に酷暑が続いても、イタリアではエアコンをつけること自体が当たり前ではありません。保健省も「暑さを乗り切るために役立つ10のヒント」を公布し、健康のためにエアコンを使用しつつも、電気エネルギーの大量消費に注意することを推奨しています。
熱中症予防などまずは身体への配慮が一番なのはもちろんですが、知恵を絞り、環境に配慮しながらエアコンを適切に使うことが大切です。イタリア人の暑さ対策を試してみれば、私たちも電気代を減らすことができるかもしれませんね。