「ポイント・ネモ」をご存知ですか? 日本語では「到達不能極」とも言われており、人工衛星などが捨てられる場所です。
英国の探検家クリス・ブラウンさん(62歳)は息子とともに3月12日、チリのプエルトモントからヨットで出発。3月20日に、目的地である「ポイント・ネモ」に到達し、ここに達した最初の英国人となりました。
ポイント・ネモとは、世界中の海で陸地から最も離れた地点のこと。南太平洋にあるポイント・ネモは、どの陸地からも遠いことから「到達不能極」ともいわれているのです。
具体的には、ニュージーランドとアルゼンチン、南極大陸の中間あたりにあるポイント。最も近い陸地は2688km離れた、ピトケアン諸島のデューシー島という無人島。人が暮らしている最も近い陸地は、ニュージーランドのウェリントンとチリのコンセプシオンで、どちらも4000km以上離れています。
ポイント・ネモの存在は、測量技術者が楕円形になっている地球の形状を考慮して、各陸地までの距離を計算してはじめて、1992年に知られることになりました。
そしてこの地は、人が生活する陸地から最も離れていることから、人工衛星を落下させる場としても利用されています。役目を終えた人工衛星や燃料タンクといった、いわゆる宇宙ごみは、宇宙から大気圏に突入するときに、大部分が燃えてしまうのですが、残った破片は海に落下するそう。
ポイント・ネモ周辺はそんな宇宙ごみの墓場にも選ばれており、これまでに260個以上の宇宙ごみがこの地域の海底には眠っているといわれています。
ちなみに、冒頭で紹介した探検家のクリスさんは、2023年に行方不明となったタイタニック見学潜水艇ツアーの参加を断ったという人物。そんな強運の持ち主は、今回のポイント・ネモ到達成功を経て、今後は地球上の到達不能な8つの極地到達の目標を目指しています。
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【主な参考記事】
Daily Mail. The mission to Earth’s watery graveyard: British explorer will attempt to reach Point Nemo – a remote area 2,000 miles north of Antarctica that is ‘unseen by man’. March 19 2024