もともと日本の漢字をタトゥーにいれるのがクールとされているブラジルでは近頃、サッカークラブのユニフォームやTシャツ、子どもの服などにデザインとして日本語を取り入れた商品が目立ちます。日本人からするとちょっと恥ずかしい柄や模様ですが、ブラジルでは大人気で、幅広い年代の男女が身に付けています。現地からレポートしましょう。
世界最大数の日系人を擁するブラジルでは近年、若者を中心に日本のポップカルチャーが人気を博しています。日本の漢字や文章をデザインした衣料がメジャーになった背景には、日本のポップカルチャーがブラジル人にとってごく身近な存在になったことがあるのです。
NetflixやAmazon Prime Videoなどを通じ、現在はブラジルでさまざまな日本のドラマやアニメが手軽に見られるようになりました。映画館でも常時日本のアニメ映画が上映されており、こういった状況から日本語のデザインブームが起きたと考えられます。
日本語デザインをよく見かけるのはTシャツで、子どもから20代くらいまでの年代を中心に着用。以前は漢字一文字や二文字のデザインが多かったのですが、数年前から文章をあしらったデザインが増えています。
また、サッカー大国というだけあって、日本語デザインのチームユニフォームも大人気。名門チームの「コリンチャンス」は日本語がぎっしり書かれたサードユニフォームを発表し、話題になりました。試合観戦の際には、この応援用ユニフォームを着用している幅広い年代のファンが目立ちます。
外国語だからこそ大胆に使う
現地では大手ブランドも日本語デザインの衣料品を扱っています。例えば、ファストファッションのZARAは、下にある画像のように「分かった」や「型にはまらない考え」など日本語デザインの商品を販売。日本人からすると「これを身に着けるのはちょっと恥ずかしいかな?」というようなデザインが満載です。
また、ここ1~2年は、ひらがなで「かわいい」、もしくはアルファベットで「KAWAII」と書かれたデザインの女児衣料品を頻繁に見かけるようになりました。いまや世界共通の日本語として使われている「KAWAII(かわいい)」は、ブラジルでも「やきそば」や「すし」のように誰もが知っている日本語として定着しつつあります。
自分のことを「かわいい」と言っているようなものなので、日本人が着るにはちょっと勇気がいりそうです。
日本でも、英語で書かれたTシャツなどを着ている人をよく見かけます。ただ、英語圏の人からすると、おかしな言葉や文章だという見方もあるようです。それでも英語のデザインはかっこいいと日本人が感じるのと同様に、ブラジル人には日本語デザインがとてもクールに映っているのでしょう。
執筆・撮影/summereyes