雑貨・日用品
2018/6/12 17:00

哺乳びんの「機能美」――シンプルに見えて実は赤ちゃんのために計算されたデザインに迫る

ママのおっぱいにもっと近づけたい!

哺乳びんはどこまでママのおっぱいに近づけるのでしょうか? 斉藤さんは、「究極の目標として、赤ちゃんが口にふくんで飲み始めた時にママのおっぱいと同じ感触が得られるような哺乳びんを作ることを考えています。ママのおっぱいに見た目を似せたものをつくるのではなく、口に含んで飲み始めた時に同じ感触を再現できるようにするには、まだまだ年月が必要です」と言います。

 

理論的には、ママの皮膚細胞から哺乳びんの乳首を作ることは可能でしょう。しかし実際には、それはまだ先の話。現在はできる限り本当の乳首に近い哺乳びんの乳首を作り出している段階です。 そうなると、母乳実感哺乳びんの乳首の形はさぞ本当の乳首と似ているのだろうと思い込んでしまいますが、実はそうではありません。そして、そこにこそピジョンが考える機能美があるのです。

 

赤ちゃんは乳首を上顎の溝にはめて舌で押して飲みます。ピジョンは、この溝に赤ちゃんの舌がうまくはまるように素材や機能、設計を工夫。「母乳実感の乳首はママたちの乳首をトレースして平均値を取ったわけではありません。乳首の見た目を再現したわけではなく、口のなかでどう変化するか、そして赤ちゃんが飲みやすいかどうかを追求した結果、いまの形になったのです」と話す斉藤さん。「ママの乳首を目指しているけれど、ママを超えてはいけないし超えられない。ママの授乳の再現が目標です」

↑赤ちゃんの上顎の模型と乳首

 

生まれたばかりの赤ちゃんは飲むのが上手ではありません。また、ママのなかにも様々な事情のために直接おっぱいから授乳できない方がいます。そんな場合に母乳実感の哺乳びんがあれば、どんな赤ちゃんもお腹いっぱいさく乳したママの母乳やミルクを飲むことができます。

 

哺乳びんは、不満があっても説明できない、泣くしかできない赤ちゃんのためのプロダクト。だからこそ、徹底して機能を追求して考え尽くされた形状となっているのです。この点で母乳実感に勝る哺乳びんは、多分どこにもないでしょう。

 

 

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