雑貨・日用品
2018/6/27 6:30

この5~6年で 「蚊取り線香」が密かに進化していた! その理由とは?

これからの季節、あちこちで漂う香りと言えば……蚊取り線香。どこかノスタルジックな蚊取り線香の香りですが、近年、アロマの香りフレーバーが登場したり、より強力な効能がある物が登場したりと進化しているようです。今回は斬新な蚊取り線香をリリースする生み出し続けるアース製薬の渡辺優一さんに話を聞きました。

 

↑アース製薬・マーケティング総合企画本部、渡辺優一さん。蚊取り線香の開発から販売、消費者動向まで、そのすべてを知り尽くすお方です

 

 

日本の蚊取り線香の香りの概念を覆した商品

――日本人には親しみのある蚊取り線香ですが、これはいつごろから浸透していったものなのですか?

 

渡辺優一さん(以下:渡辺) 弊社での蚊取り線香であるアース渦巻香で言いますと、再来年(2020年)でちょうど発売から80年になりますが、これに先立って他社メーカーからも蚊取り線香が出ており、100年以上前からあります。つまり古くから日本人に親しまれてきたものですね。

 

蚊取り線香メーカーのなかで、弊社が特にこだわりを持っているのが「香り」です。蚊取り線香が持つ煙り臭さをできるだけ抑えるとともに、香りそのものの質の向上に努めてきました。

 

一方、蚊取り線香は海外にも存在します。使っている成分こそほぼ同じようなものですが、その国ごとの慣習や好みによって香りはバラバラなんですね。海外ではバラやラベンダーといった香りの蚊取り線香も珍しくなく、「これは良いな」と思いました。

 

日本ではビャクダンなどを練り込んだ昔ながらの、いわゆる線香の香りのままの蚊取り線香が主流でした。しかし、そういった海外の流れと、それまでのお香ブームなども背景に、アロマタイプの蚊取り線香を開発・販売し、ヒットに至りました。

 

最初に出したのが「バラの香り」。次いで、「ラベンダー」や「カモミール」を販売。さらにその後、「いろいろな香りを使いたい」という人向けに、複数の香りをパッケージした「アロマセレクション」ができました。

 

特に最初の「バラの香り」の評判は想像以上でしたね。日本人なら誰しも「蚊取り線香の香りはこれ!」という潜在意識があるなかで、まったく新しい「バラの香り」の蚊取り線香を手にとり、実際に使っていただき「これは良い香りだ」といったご意見を多くいただきましたので。結果的に、従来の「蚊取り線香の固定概念をなくした商品だったように思います。

 

↑アース製薬のヒットとなった「アロマセレクション」。1つのパッケージで、「ラベンダー」「バラ」「カモミール」の3つの香りが楽しめる

 

 

 

↑従来のビャクダンの香りが好きな方には、さらに優美で上品な香りを実現させた「白檀和華」タイプも

 

 

お香タイプの蚊取り線香は15分の火付け燃焼で12時間の効果を実現!

――と言っても、そのアロマタイプの蚊取り線香はまだ販売されてから5~6年しか経っておらず、そう考えると短い期間で一気に浸透したということになりますね。

 

渡辺 その点は香りにこだわってきた弊社ですので、研究を繰り返し、試作を何度も作った成果だと思っています。

 

――蚊取り線香につける匂い、特にアロマ的な匂いはどうやって作るのですか?

 

渡辺 香料メーカーさんにオーダーして、まずいくつかのサンプルを出してもらいます。これを蚊取り線香に練り込み、実際に燃やしてみて調整を何度も加えながら、商品化に至るという流れですね。

 

――私的な意見ですが、「蚊取り線香はやっぱり従来のものじゃないと」「別の香りが入っていると、効きが弱いんじゃないか」と思いがちです。

 

渡辺 確かにそういう見方をされる方もいると思いますが、効果はまったく変わりません。また、効果の話をしますと、一般的な蚊取り線香よりも強力なタイプの開発も進めており、「香りの進化」だけではなく、「機能の進化」もしているのがここ数年の流れでした。

 

弊社では新しいユーザーの獲得を目指し、一回原点に戻っていまの蚊取り線香の弱点を考えました。その際、蚊取り線香はだいたい1巻で約7時間燃え続けることに改めて着眼しました。蚊取り線香を7時間もつけっぱなしにするとなると、当然引火する恐れもあるし、煙が出続けることで、部屋に煙が充満してえらいことになったりするでしょう。

 

「こういった問題をどうしたらいいのか」と考え、お香タイプが一番良いなという結論に達しました。

 

その名も「蚊とりお香」という商品です。このお香タイプの蚊取り線香の特徴は、お香として楽しめるのは当然なのですが、15分の燃焼だけで、以降12時間も効き目があることです。

 

――どういうことですか?

 

渡辺 普通の蚊取り線香だと燃えているあいだの7時間しか効果がありませんが、お香なら約15分燃やすだけで、一晩中使えるだけの薬剤を出し切り、成分が壁や天井につき、以降12時間は火がなくても蚊取りの効果が見込めるわけです。デザインもしずく型でかわいらしくなっており、特に若年層の方に好まれているようです。

 

↑蚊取り線香ならぬ「蚊取りお香」。たった15分間火をつけるだけで、12時間もの蚊取り効果がある

 

 

この5~6年はかなりの変革期だった蚊取り線香

――そう考えると、蚊取り線香を取り巻く環境は近年、かなり急速に進化を遂げていると言えますね。

 

渡辺 本当にそうですね。弊社だけでなく、他社からもアロマタイプの蚊取り線香も発売されていますし、蚊取り線香の100年以上もの長い歴史のなかで、この5~6年はかなりの変革期だったように思います。

 

――ということはこれから先の近年も、さらなる変革がもたらされるかもしれませんね。

 

渡辺 おっしゃる通りです。いま現在も新しい蚊取り線香を常に開発していますし、どんどん進化していくと思います。弊社では昔からある渦の形のオーソドックスな蚊取り線香を守り続けながらも、お客様の立場に立って、不満点を解消するような蚊取り線香をこれからも開発していきたいと思っております。結果的に、新しい物と古くからあるものを融合させ、さらに使いやすく、親しみやすい蚊取り線香が作れれば良いなというのが弊社の考え方です。

 

ぜひ弊社の蚊取り線香を多くの方に使っていただきたいですね。他社商品とは違う何かを感じていただけるはずだと思いますので。

 

↑渦巻き型に改良を加え、効果を凝縮させた「ヤブ蚊線香」も登場(左)。右の従来型と比べると、かなり濃厚そうな見た目です

 

従来の蚊取り線香、アロマタイプの蚊取り線香、お香タイプの蚊取り線香、あなたはどのタイプどちらがお好きでしょうか? まだ使われたことのない方は実際に火をつけ、その香りや効果を元に、どちらかを選んでみると良いかもしれませんよ!