気温が日ごとに上昇していくこの時期は、空気も乾燥しているので、洗濯物を干すとあっという間に乾いてしまいます。冬物衣料や寝具など洗うなら、いまがチャンス! 本格的な衣替えの前に、まとめて片付けちゃいましょう。
今回は、この春に新発売となった洗濯用洗剤・漂白剤・柔軟剤の注目アイテムを、洗剤マニアの編集部員・一條が全部使って試したレポートをお届けします。気になる汚れ落ちや香りの強さ、使い勝手などを徹底チェックしています。ぜひ洗剤選びの参考にしてみて下さい。
【試した洗剤・漂白剤・柔軟剤】 ★は今回紹介する製品
・P&Gジャパン「アリエール イオンパワージェル プラチナスポーツ」
・P&Gジャパン「アリエールジェルボール3D プラチナスポーツ」
★花王「アタックZERO」
★花王「アタックZERO ドラム式専用」
★花王「ハミング リンネ(ふわり)」
★花王「ハミング リンネ(さらり)」
・ライオン「ブライトSTRONG」
・ライオン「トップ クリアリキッド抗菌」(追加)
→ライオン「トップ クリアリキッド抗菌&ブライトSTRONG」編はこちら
新洗浄基材「バイオIOS」を配合した次世代洗剤
「アタックZERO」は、花王が10年以上かけて開発したという新たな洗浄基材「バイオIOS」を採用した次世代の洗濯用超コンパクト液体洗剤。通常洗濯用のほか、国内初の「ドラム式専用」をラインナップしています。ボトルも一般的なキャップ計量タイプと、ハンドルを握って直接投入できる「ワンハンドプッシュ」タイプを用意。
【アタックZEROの特徴】
その1.高い洗浄力とエコを両立した新洗浄基材「バイオIOS」を採用
その2.同社初のドラム式洗濯機専用タイプをラインナップ
その3.誰でも簡単に軽量できる新形状ボトルを開発
注目成分であるバイオIOSは、従来の界面活性剤では難しいと言われていた“水に溶けやすく、油にもなじみやすい”という性質を持ちながら、洗剤の溶け残りがなく、すすぎもスピーディーで衣類への洗剤残りも少ないという特徴を持っています。さらに、これまで利用されてこなかった食用パーム油(ヤシ油)の搾りカスから作られるため環境負荷も少なく、将来的には藻類から取れる油脂に代用することが見込めるとのこと。つまり、汚れ落ち性能に優れていながらすすぎ残りしにくく、環境にもやさしい夢のような洗剤というわけです。
アタックZEROの液性は「中性」で蛍光増白剤は入っておらず、生成りや淡色系の衣類の洗濯にも使えます。酵素が配合されているので、しつこい汚れには浸け置き洗いが有効ですね。
液色は淡いブルーで、香りは「清々しいリーフィブリーズの香り(微香)」とあります。印象としてはウッド系のおだやかな香りで、個人的には入浴剤の「森の香り」に似ていると感じました。微香と表示されているように洗濯後の香り残りは弱く、乾いた後はほとんど香りが感じられません。
一方、ドラム式専用タイプは、バイオIOSをはじめとする主成分はほとんど通常洗濯用と同じですが、こちらはドラム式特有の悩みである“黒ずみ”に対応すべく、洗濯中の微粒子汚れをキャッチして分散させる「節水対応ポリマー」をリッチに配合。これにより、少ない水で洗うドラム式洗濯機でも黒ずみが発生しにくくなっています。
こちらも液性は「中性」で蛍光増白剤は入っておらず、香りも「清々しいリーフィブリーズの香り(微香)」で通常洗濯用と同じとなっています。ドラム式専用となっていますが、縦型式洗濯機や手洗い洗濯などで使っても問題はないでしょう。
ボトルはキャップ計量タイプとワンハンドプッシュタイプの2種類がありますが、オススメしたいのは断然後者。片手でハンドルを握って親指で押すだけでボトルから洗剤が噴出され、押す回数で量の調節ができるので面倒な計量もいりません。お子さんや年配の方でも使いやすい画期的なデザインとなっています。ただし、どちらのボトルも容量は400gとなっていますが、店頭での販売価格はキャップ計量タイプのほうが150円ほど安く、コスパという意味ではキャップ計量タイプの方が高いといえるでしょう。
実際に洗濯してみた印象としては、洗浄能力が素晴らしく、普段着用しているシャツやインナーなどの汚れがしっかり落ちていると感じました。抗菌剤は配合されていませんが、部屋干ししてもイヤな生乾き臭が発生しにくく、部屋干し派の人でも安心して使えそうです。より強力な防臭効果を求める方は、洗うときに酸素系漂白剤を併用するか、抗菌効果のある柔軟剤で仕上げるとよいでしょう。
アタックZEROの汚れ落ちをチェック
今回は、洗濯機での通常洗濯に加え、サンプルを使った汚れ落ちテストも合わせて実施しました。
汚れ落ちテストに使ったサンプルは、小さくカットした綿素材の白い生地に「ケチャップ」「オリーブオイル」「コーヒー」を塗り、約6時間放置しています。時間をおいてなじませることで、汚れをより落ちにくくしてみました。
洗濯液は、水温30度前後のぬるま湯200mlに各洗剤をスポイトを使って数滴(※)加えたものを使用。「アリエール ジェルボール3D プラチナスポーツ」は、洗濯機の中水位(46L)まで貯めた水に1個投入したものを200ml汲み取り、水温30度前後に調整しています。
※:「アタックZERO」「アタックZERO ドラム式専用」の使用量目安は水45Lに対して15g、「アリエール イオンパワージェル プラチナスポーツ」の使用量目安は水45Lに対して45mlなので、アタックZERO 1:アリエール プラチナスポーツ 3の割合で投入しています
その洗濯液と汚れサンプルを密閉容器に入れ、1分ほど容器を振って撹拌します。その後、軽くしぼって再度容器に水を入れ、同じように1分ほど振ってすすぎを行います。すすいだ後に軽くしぼって、2時間ほど平干しで乾かして汚れ落ちをチェックしてみました。
※実際の洗濯環境を再現したものではありませんので、あくまで参考として下さい。
アタックZEROはどの汚れもよく落とせていますが、特にオリーブオイルは今回試した洗剤のなかでも1番よく落ちていました。洗浄力が高く、普段使いの洗剤として頼れる1本といえそうです。
アタックZERO ドラム式専用は、界面活性剤の濃度が通常洗濯用より若干薄いせいか(通常洗濯用は56%、ドラム式洗濯用は54%)、洗浄力もちょっとだけ低い印象。といっても、ほかの洗剤と比べて見劣りすることはありません。通常洗濯用と同様、オリーブオイルがよく落とせており油汚れに強い性質が伺えます。
アタックZEROはとにかく「洗浄力」が高い
アタックZEROは、新開発の洗浄基材を配合しているだけあって、とにかく洗浄能力が高い洗剤という印象です。筆者はこれまで漂白剤配合の「アタックNeo抗菌EX Wパワー」を使っていましたが、この洗浄力なら安心してアタックZEROに乗り換えられると思いました。洗い上がりの香り残りもほとんどなく、香りに敏感な方にもオススメできます。毎日の洗濯に使う普段使い用の定番品として1本は持っておきたい洗剤といえそうです。
「汚れ落ち」「使い勝手」「香り」などあらゆる面で隙のない性能で、実際に使ってみて不満はほとんど感じませんでしたが、ひとつ要望を出すとすれば、近年ニーズが高まっている「抗菌」「防臭」効果も欲しいと思いました。愛用していた「アタックNeo抗菌EX Wパワー」は、国内の液体洗剤で唯一漂白剤を配合しており、洗濯物のイヤなニオイを落とす・防ぐ効果が高い点が気に入っていたので、アタックZEROのラインナップにも「抗菌タイプ」があれば選択肢が広がりそうです。
【まとめ】
・アタックZEROは洗浄力が高く、普段使いに最適な洗剤
・ボトル形状は2種類。オススメは軽量が不要なワンハンドプッシュ式
・香りは弱めで、乾いたあとはほとんど匂わない
花王初の無香性柔軟剤
「ハミング リンネ」は、「肌ざわりのよさ」や「やわらかな感触」などを求める人に向けたプレミアムクラスの柔軟剤。花王独自のテクノロジーにより、天然由来の柔軟成分が繊維表面を薄く・広く・均一に覆い、繊維による肌への刺激を低減します。同社初となる“無香性”柔軟剤であることもポイントです。
ラインナップは、柔軟成分を通常の1.3倍配合した「ふわり<こだわりの弾力性>」と、吸水スピード約2倍で素肌になじむやわらかさの「さらり<こだわりの吸水性>」の2種を用意しています。
【ハミング リンネの特徴】
その1.独自のテクノロジーにより、天然由来の柔軟成分が均一に繊維を覆い、繊維による肌への刺激を低減
その2.原料臭も感じさせない“無香性”。さらに抗菌・防臭効果でニオイの発生も防ぎます
その3.好みの肌触りに応じて選べる「ふわり」と「さらり」の2種類をラインナップ
「ふわり」の方は、繊維の弾力性を高めるために、柔軟成分を通常の1.3倍配合。冬物のアクリル毛布を洗濯した際に使ってみたところ、驚くほどふわふわに仕上がりました。肌触りはしっとり柔らかなので、ふんわり仕上げたいニットやウール製品、ボリュームを出したいダウンジャケット、肌触りをよくしたい寝具、ゴワつきがちなデニムなどに向いていると思います。
一方、「さらり」のほうは、同社のほかの柔軟剤と比較して約2倍の吸水速度を実現。普段の衣類の洗濯の仕上げに使ってみたところ、さらさらで軽い感触に仕上がりました。こちらは吸水性を上げたいタオルやハンカチ、サラッと着たいシャツやインナーウェア、汗を吸収してほしいスポーツウェアなどに向いていると思います。個人的には衣類はサラッとした感触が好みなので、普段使いにはこちらを使いたいと思いました。
どちらも無香性で香りはなく、衣類に香りをつけたくない人にピッタリ。また、抗菌・防臭効果もあるので、香りはつけたくないけどイヤなニオイは防ぎたい、という人にも最適です。
また、先ほど紹介したアタックZEROは抗菌成分を含んでいないことが唯一の不満点でしたが、仕上げにこのハミング リンネを使えば、香りをつけずに抗菌・防臭効果を付与することができます。微香性のアタックZEROと無香性のハミング リンネの組み合わせは、強い香りが苦手な人にもオススメです。
【まとめ】
・ふんわり/しっとり柔らかな感触が好みなら「ふわり」、サラッと仕上げたいなら「さらり」を選ぶべし
・香りはつけたくないけど、イヤなニオイは抑えたいという人に最適
・強い香りが苦手な人は、微香性のアタックZEROとの組み合わせがオススメ
●そのほかの洗剤もチェック!!