雑貨・日用品
2019/6/21 19:30

“無香”に“形状記憶”…進化した最新洗濯洗剤の選び方

ドラッグストアやスーパーマーケットにずらりと並ぶ洗濯洗剤は、機能も形態もさまざま。さらに最近は、メーカー各社が商品開発に力を入れており、新しいタイプの洗剤も続々と登場しています。

でも普段、どんな違いがあるのかわからないまま選んではいませんか? 洗剤は、洗う衣類によって使い分けたほうが、効果を最大限に発揮できるもの。今回は、学生時代から洗濯洗剤に凝り、洗濯好きが高じて繊維メーカーに勤めた経験を活かして情報を発信している“ランドリースペシャリスト”の一條 徹氏に、洗剤の使い分けやトレンドについて教えてもらいました。

 

香りブームの次は“香りなし”が洗剤のトレンド!?

2009年にアメリカから輸入され一大ブームを巻き起こした、香りのある柔軟剤「ダウニー」を筆頭に、数多くのメーカーからさまざまな香りの柔軟剤が発売されています。ひとつのブランドにも数種類の香りがラインナップし、陳列棚に香りのテスターの用意があることも少なくありません。

 

「香りの好みは人それぞれですから、ラインナップが多いことで、自分が気に入ったものを選べるのが魅力です。しかし一方で、香りを不快に思う方がいることも事実です。“香害”という言葉が生まれたのも記憶に新しいでしょう。そこで周りの人に不快感を与えないよう、香りのないタイプが生まれているのが、ここ最近の傾向なのです」(ランドリースペシャリスト・一條 徹氏、以下同)

 

無香性・微香料のおすすめ商品

香りの不快感を減らすことのできる、洗濯洗剤や柔軟剤の香り残りが少ない、あるいは無香のものをまとめました。

 

・洗い上がりの香り残りが少ない洗剤

花王「アタックZERO ワンハンドタイプ」
オープン価格
今春発売されたばかりのアタックZEROは、高い洗浄力と抗菌洗剤を超えた消臭力に優れ、生乾きのニオイを抑えることができます。「微香性で、洗い上がりに香りがあまり残らない使用感です。マンションのベランダで洗濯物を干しているだけで、近隣の方に香りの害があるという場合もありますから、注意したいものですね」

 

・肌触りにこだわった無香性の柔軟剤

花王「ハミング リンネ ふわり」
オープン価格
花王で初の無香性柔軟剤は、柔軟剤本来の役割である“肌触りのよさ”を重視した柔軟剤です。「柔軟剤とはいっても、香りをつけることが大きな目的になりつつあった中で、洗い上がりのよさを大切にした柔軟剤です。お子さんのいるご家庭や、サービス業など人と近くで接する機会の多い方、香りが苦手な方などにおすすめです」

 

まずは最新トレンドの無香料タイプを取り上げましたが、続いて、粉末や高濃度液体といった、形状別の特徴と最新モデルについて解説していただきましょう。

 

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【形状別】ランドリースペシャリストおすすめの洗剤

洗濯洗剤とひと口に言っても、その形状や形態は粉末や液体、ジェルボールタイプなどいろいろ。ここでは形状別に、おすすめの洗剤を教えてもらいました。

 

汚れ落ちはピカイチの「粉末洗剤」

液体洗剤が主流になり、粉末洗剤のシェアは年々減ってきていますが、一條さんは粉末洗剤の洗浄力を高く評価しています。

「液体洗剤は、洗浄力の高いアルカリ性を保つのが難しく、水に入れると中性になってしまいます。一方、粉末洗剤は洗浄力が高い弱アルカリ性で、皮脂やタンパク汚れなどが落ちやすく、液体洗剤に比べて洗浄力が高くなっています。ただし冬場など水温が下がる時期に溶け残るような商品もありますから、まず溶かしてから洗濯物を入れるなどのひと手間が必要です」

 

・これひとつで完結する漂白剤・柔軟剤入り

花王「アタック 高浸透リセットパワー」
オープン価格
洗浄力の高さもさることながら、蛍光増白剤入りで白物におすすめの粉末洗剤です。「一般的に真っ白い洋服は、蛍光染料を塗布した生地で作られています。洗濯のたびにその蛍光染料が落ちていくので、着ているうちに徐々に黄ばんだりくすんだりしてしまいますが、蛍光増白剤入りの洗剤であれば、洗うたびに白さを取り戻すことができます」

 

・ニオイ落ちがいい漂白剤入り

ライオン「消臭ブルーダイヤ」
260円(参考価格)
体から出るタンパク汚れを酵素が分解し、ニオイやシミが除去できるパワーのある洗剤です。「色落ちする心配のない酸素系漂白剤が入っているので、色物でも安心して使えます。ニオイの落ちがよいので、乾きにくいタオルや室内干しの際にもおすすめです。男性のシャツや子ども服などシミが気になる衣類といった、頑固な汚れものが出るご家庭にぴったりです」

 

 

シェアナンバーワンの「液体洗剤」

冷たい水でも洗剤が溶けやすく、使用量の調節もしやすいなど、使い勝手のいい液体洗剤。

「なかでも最近注目されているのは、超コンパクトタイプと呼ばれる液体洗剤です。従来のものより濃度が高く、今までの1/3程度の量でよいので、1本が500mlのペットボトル飲料くらいのサイズしかなく、買い物や買いだめも便利。また、テクスチャーがとろりとしているので、頑固な汚れには直接塗布することもでき、通常の使い方と部分洗いのどちらにも適応しています」

 

・便利なプッシュタイプで計量いらず

花王「アタックZEROドラム式専用ワンハンドタイプ」
オープン価格
“無香性・微香料のおすすめ商品”で紹介したものの、ドラム式専用タイプです。少ない水量でたたき洗いするドラム式に合わせて開発されたもの。「スプレーボトルという形が新しく、使ってみると手に洗剤がつかず、プッシュで計量するだけでいいので、手間がかかりません。こちらも直接塗布OKで、落ちにくい汚れにもおすすめです」

 

・部分的に塗って使う“塗布放置術”も

ライオン「トップ スーパーNANOX」
260円(参考価格)
ひどい汚れには直接塗布して12時間置いてから洗濯する“塗布放置洗浄”が効果を発揮する、濃度の高い超コンパクト液体洗剤です。「汚れが落ちないからといって何度も洗ってしまうと、それだけ衣類の劣化にもつながります。洗濯機に入れる前に、汚れた部分をピンポイントで部分洗いをしたり、黄ばみなどが気になる部分に洗剤を直接塗布したりといった前処理をしてから洗濯することで、汚れだけしっかり落として衣類をやさしく洗いあげることができます」

 

洗浄力と消臭力の高さがある「ジェルボール」

水に入れると溶ける透明フィルムに洗剤が入ったジェルボールタイプの洗剤です。

「混ぜた状態では洗浄力が落ちてしまうなどの理由から、これまでうまく扱えなかった薬剤も、ジェルボールという形にしたことで使用できるようになったのが、従来の洗剤といちばん大きな違いでしょう。3層立体構造(3D)で、透明フィルム内にいくつかの薬剤が分けて入っており、水に溶かすときにフィルムが破れて薬剤が混ざるのです。洗浄力が高いので、泥汚れや油汚れなどの洗濯物が多いご家庭に向いています」

 

・スポーツや作業着などの頑固な汚れに

P&G「アリエールジェルボール3D プラチナスポーツ(14個入り)」
オープン価格
アリエール史上最強の消臭洗浄(ジェルボール史上、総合的な消臭洗浄力)を誇る“アリエール プラチナスポーツ”シリーズは、ニオイのつきやすいスポーツウエアや作業着などの合成繊維が使われている洗濯ものが出る方におすすめです。「ジェルボール型は、洗濯するときに洗剤を計量する必要がなく、ポンとひとつ摘み入れればいいだけ、という手軽さがあります。また、たった1粒で30〜65Lまでの洗濯ができます」

 

“よそゆき”以外にも使える「おしゃれ着洗い」

続いては通常の衣類ではなく、レースなどでできた下着やニットなど、繊細なものを洗うときに使う洗剤ついて聞きました。

「おしゃれ着洗い用の洗剤は、おしゃれ着しか洗ってはいけないわけではなく、おだやかな洗浄力で汚れが少ない衣類にも適しています。たとえば内勤の方など、ほとんど汗もかかず汚れもつかないけれど一度着た衣類は洗いたい、という場合は、おしゃれ着洗い用の洗剤を使って洗濯すれば、衣類を傷めずに洗うことができます」

 

・ダウンジャケットの手洗いにも

ライオン「アクロン フローラルブーケの香り[写真]/ナチュラルソープの香り(微香タイプ)」
270円(参考価格)
洗濯による縮みや色あせ、型崩れを防ぎ、やさしく洗えるおしゃれ着専用の洗剤です。「ダウンジャケットやマフラーなど、クリーニングに出すほどではないけれどシーズン中に一度洗いたい、というときは、おしゃれ着専用の洗剤で手洗いするのをおすすめします。また、刺繍やレースがついたものなどは、通常の洗濯ものとは分けて洗い、生地が傷まないように扱いましょう」

 

・洗濯で衣類の形を整える

花王「エマール リフレッシュグリーンの香り」
オープン価格
洗うたびに繊維に働きかけ、衣類の形状を整える“カタチコントロール洗浄技術”を採用しているおしゃれ着専用の洗剤。「大切な衣類は、型崩れや劣化を防ごうと、なるべく洗濯の回数を減らそうと思っている方もいるでしょう。このような洗剤を使えば、衣類の美しさを保ったまま、お洗濯ができます」

 

ここまで、最新技術によって洗浄力を発揮する洗剤を紹介してきましたが、一転、オーソドックスな“洗剤”も見直されつつあり、見逃せません。

 

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1 “石鹸で洗う”という選択

石鹸はアルカリ性で、強い洗浄力を発揮します。また、安全性が高いので肌の弱い人や赤ちゃんがいる家庭に人気があり、環境にやさしい側面があります。

「ただし、扱いが難しいのが石鹸洗剤の難点です。水に溶けにくくて残りやすく、量をしっかり見極めないと効果が現れません。主成分である脂肪酸は、よくすすがないとニオイや黄ばみの元にもなるので、すすぎ時にクエン酸を少し入れるとよいでしょう。また、乾いた洗濯物に白い粉が付着することがあるのですが、これは溶け残りではなく、水の中のカルシウムなどと石鹸の成分が混ざって反応してできるもので害はないのですが、黒い洋服だと目立ってしまうことも。肌のためにと石鹸をチョイスする場合は、使い方をしっかり守って洗濯しましょう」

 

2 洗剤を使わないナチュラルクリーニング

「アルカリ洗濯」という名称でも知られているこの洗濯方法は、洗剤を使わず、アルカリ洗浄水や重曹を溶かした水やぬるま湯で洗うことを指します。

「界面活性剤を使わずやさしく洗うことができるので、汚れが少ないものやデリケートなもの、赤ちゃんや肌に弱い方に適しているでしょう。水よりもお湯の方が汚れが落ちるので、洗剤を使わない方は特に30〜40度のお湯で洗うことをおすすめします。洗剤を使う方も、洗剤の効果を最大限発揮するようお湯洗いがいいでしょう。すべての洗濯ものをお湯で、というのが難しい場合は、枕カバーやベッドカバー、足拭きマットなど、頻繁に洗濯しないものこそ汚れが付着しているので、それらをお湯で洗うとよいでしょう」

 

洗濯洗剤の特徴を知り、衣類の種類や汚れ度合いによって使い分ければ、気に入った服を長持ちさせより大切に着られるはず。色柄ものや白いものもしっかり分別して、それぞれに合った洗剤で洗濯してみてください。

 

【プロフィール】

ランドリースペシャリスト / 一條 徹

プロダクトを中心とした情報の総合メディア「GetNavi web」の編集者。かつて勤めていた繊維メーカーでの経験と知識を生かして、衣類の素材に合わせた洗濯方法や洗剤選びを日々研究している。趣味は、スーパーやホームセンターの洗剤コーナー巡り。

 

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