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インテリア
2020/3/30 19:00

ひと手間かければお得で住みやすい!「北向きの部屋」で快適に暮らすインテリアのルール

いい条件の物件があって引越ししたいんだけど、“北向き”なんだよなあ……。

 

日当たりのいい南向きの部屋は人気がある一方で、北向きの部屋は、日中でも薄暗く、なんだか寂しげなイメージがあり、敬遠されがち。でも、インテリアのちょっとした工夫で、明るく居心地のいい空間にすることができます。今回は、インテリアコーディネーターの荒井詩万さんに、北向きの部屋のマイナスイメージを払拭するような、快適な空間づくりを教えていただきました。

 

北向きの部屋にもメリットがいろいろ

実際、真北を向いた部屋は少ないものの、北東や北西など、北方面に向いた部屋は多くあります。そういった北向きの部屋には、日中でも日差しが入らず、ひんやりとした冷気に覆われ、湿気がちなど、ネガティブな要素が付き物です。冬は暖房が欠かせず、日中でも照明をつける必要があり、南向きの部屋よりも光熱費が多くかかることも気になりますが……。

 

「敬遠されがちな北向きの部屋ですが、ぜひメリットにも目を向けてもらいたいですね。窓からの日差しが入ってこないことにより、晴れた日は、部屋の中から眺める外の景色はくっきりとしていて、空は青色が綺麗に見えるはず。また、直射日光が入らないことで長時間安定した明るさが続くので、書斎や勉強部屋に向いていますし、家具の日焼けが起こりにくく、夏は涼しく過ごせます。賃貸物件の場合、日当たりが悪いことで、家賃が安めに設定されがちなのも魅力ですね」(インテリアコーディネーター・荒井詩万さん、以下同)

 

北向きの部屋の魅力がわかると、負の印象が和らぎます。

 

「明るい南向きの部屋と比べると、『暗い』『寒い』『ジメジメする』という3大ネガティブ要素が目立つので、マイナスイメージは強くなってしまいがちです。ところが、インテリアを工夫することで、これらを改善し、心地よい空間にすることができるのです。立地のいい北向き寄りの物件や、自宅の中にある北側の部屋を、ひと手間かけることで、快適な空間に変えていきましょう」

 

ではさっそく次のページで、北向きの部屋をポジティブな空間に変える5つの方法を教えていただきましょう。

 

▼この記事は、GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」から転載したものです▼

 

「北向き部屋」をポジティブに変える5つの法則

北向きの部屋を快適な空間にするには、5つの法則があると荒井さんは言います。「法則に沿って部屋に手をかけていくことで、どんどん心地よい空間に変わっていきます。できることから少しずつ、始めていきましょう」(インテリアコーディネーター・荒井詩万さん、以下同)

 

1.カーテンは上質で高機能なものを選ぶ

「既製品のサイズが合わない場合は、オーダーメイドでぴったりのサイズを調達することをおすすめします。北向き部屋のインテリアの中で、どこか1か所だけ、お金をかけられるとしたら、カーテンにするべきです。カーテンに投資することは部屋の居心地をよくする上に、結果的に光熱費の節約につながります」

 

2DK以上の物件の場合、一般的に北側の部屋は寝室や子ども部屋にすることが多く、南側にあるリビングと比べて、窓の大きさは小さめ。その分、カーテンのコストは抑えられます。また、窓からの冷気が入りやすい北向きの部屋は、窓をしっかりとカバーできる丈の、ひだ(ドレープ)が多いカーテンを選ぶことで、防寒力が高まります。

 

「人が集うリビングのカーテンは、日中の強い日差しや外からの視線が遮られればいいので、遮熱性のある生地やひだが少なめのタイプがいいですね。外からの視線が気にならないタワーマンションの上層階に住むような方には、『リビングはレースのカーテンだけでいいので、北側にある部屋のカーテンは厚手の生地でひだも多めにして、保湿性を高くしましょう』とアドバイスしています。色は、リビングは白やベージュなど主張しすぎない色が、空間を広く見せてくれます。一方、北側はプライベートな部屋が多いので、思いきって華やかな色や柄にすると、楽しい雰囲気になりますね」

 

2.壁紙は明るめの中性色に

壁紙に明るい色味が入ることで、部屋の印象は華やかになります。

 

「最近は、貼ってはがせるタイプの壁紙シート(ウォールペーパー)のラインナップが充実しているので、賃貸物件でも壁紙の色を自由に楽しむことができます。部屋の壁4面すべての色を変えなくても、どこか1面だけに色味を加えてもOK。北向きの部屋を明るくするには、淡いグリーンや淡いパープル、ラベンダーなどの中性色がおすすめです。ぬくもりを感じられるやさしい色の壁紙にすることで、体感温度を上げることができます」

 

ブルー系やダークブラウン、グレーなどの色味は、寒さや暗さを助長するのでNG。

 

「部屋全体の統一感を出すために、壁紙の色、または床の色に家具の色味を揃えることも大切です。部屋全体のベースとなるカラーを6割、部屋全体の色味をなじませる配合色のアソートカラーを3割、部屋のポイントになるアクセントカラーを1割という配分で、お部屋全体を3色にまとめると、スッキリとした空間になることも覚えておきましょう」

 

3.複数の照明を用意する

荒井さんは、天井から照らす照明以外にも、床置きできるテーブルライトや、持ち運びのできるフロアスタンドを用意し、必要に応じて使う照明を変化させる“一室多灯”がおすすめだと言います。

 

「電球の色も、青みの強い蛍光灯ではなく、白っぽいナチュラルな色味の『昼白色』や黄色っぽい『電球色』などを選び、温かい光で部屋を照らすことで寒々しいイメージがなくなります。日中の日差し不足を補いたい場合は、フロアスタンドを天井付近の壁に当て、反射した光で部屋を照らすと、やわらかい光に包まれます。大きめの観葉植物があれば、クリップ型のスポットライトを鉢の部分に付けて、同じように壁に光を当てるのもおすすめです」

 

夜、ゆったりと食事をしたり、静かに読書をしたりするときには、天井からの照明ではなく、床やテーブルに置いたダウンライトを使うと、部屋全体がやわらかくリラックスした空間になります。

 

「『一室多灯』は、ぜひ、取り入れていただきたいです。クリップ型のスポットライトならば、1000 円未満でも購入可能です。照明のパターンを増やすことは、部屋の奥行きを引き出したり、時間帯に合わせた楽しみ方ができたりするので、日差しが入らない北向き部屋でも、魅力的な空間に感じられるはずです」

 

4.グリーンを取り入れる

「日中はほとんど家にいない」「平日は寝るためだけの場所」。そんな不在がちな北向きの部屋には、グリーンを置いてぬくもり感や生命力を増やしましょう。

 

「観葉植物を置くだけで、部屋は生き生きとした空気が流れ出します。『出張が多くて、サボテンも枯らしてしまいそう……』という方は、フェイクのグリーンを置くことをおすすめします。夜、仕事から帰宅し、ソファに座ってテレビをつけた視界にグリーンが入るだけでも、癒し効果が得られるはずです」

 

ただし、フェイクグリーンを取り入れる場合は、100円ショップなどで手に入る安価なものではなく、インテリアショップや生活雑貨を豊富に扱うショップで手に入れるのがおすすめなのだとか。

 

「今は“フェイクとは思えないクオリティのものが豊富に出ています。特にインテリアショップで売られているものは、本物と見紛うようなクオリティで、人気の高いおしゃれなグリーンが手に入るのでおすすめです。フェイクを飾る場合、花器は陶器製のものやマグカップを使い、茎部分に水が入っていない状態が見えないように飾ります。ただし、お手入れ不要な分、放っておくと葉の部分にホコリがたまりがち。常に生き生きとした姿がキープできるように、お部屋に飾るグリーンは、こまめに拭くようにしましょう」

 

5.換気と除湿は念入りに

日中に日差しの入らない北向きの部屋は、どうしても湿気がこもりがち。ジメジメした重たい空気は、部屋の雰囲気を暗くします。新鮮な空気がよく巡るように、こまめに換気を行いましょう。

 

「朝起きたら、まずは部屋の窓を開ける習慣を付け、できればそのまま風が抜けるリビングの窓や玄関の扉も開けて、部屋全体の空気を入れ替えます。慌ただしい朝はたった5分程度でもOK。除湿アイテムも欠かせません。おすすめは、除湿と消臭効果のある炭グッズ。備長炭をカゴに入れて置いておけば、見た目もおしゃれで空気の浄化ができます」

 

クローゼットの中には、吊るしておける除湿剤が必需品です。

 

「除湿剤に加え、梅雨の時期には除湿機も取り入れたいですね。こまめな換気と除湿に加え、アロマオイルを炊くのもおすすめ。心地よい香りに五感が刺激されて、スッキリした気分になれるので、ジメジメした湿気の不快感が吹き飛びます。春はユーカリやミントがいいですね。季節や好みでお部屋の香りを変えて、心地よくなれる香りを楽しむことで、部屋の居心地がよくなってくるはずです」

 

手を掛けることで部屋がどんどん好きになる!

北向き部屋のネガティブなイメージを取り除くために、自分なりにひと工夫をする。この、暮らし心地をよくするために手をかける行為が、満足感につながるという荒井さん。

 

「『寒々しく感じていた部屋の窓にかけるカーテンを、丁寧に選ぶ』『壁紙に明るい色を取り入れる』という行動を起こしてみると、次は『お花を1輪、飾ってみようかな』『好きなアロマのオイルを炊いてみようかな』というように、お部屋をより快適にしたくなる欲求が芽生えてくると思います。また、部屋を整えることが自分をケアすることになり、自己肯定感を高めることにもつながるのではないでしょうか」

5つの法則をマスターしたら、さらに自分好みの部屋づくりに挑戦してみたくなるかもしれません。荒井さんはセンスのよいインテリアにすることは、ルールを覚えれば誰にでもできると言います。

 

「もっと解放的な空間にしたいという場合は、背の高い家具を部屋の入り口付近に配置し、奥には背の低い家具を配置することで、ひと目で部屋の奥まで見通せるようになり、部屋が広くなったように感じられると思います。クッションは偶数ではなく奇数、3個がおすすめ。2個を単色、1個に柄モノを取り入れると、バランスよくなりますよ」

 

インテリアを楽しむことのハードルをもっと下げて欲しいという荒井さん。「北向きの部屋でも、工夫次第で居心地のよい空間にすることは可能です。まずは今ある環境でで、きることから始めてみてください。部屋が快適になると、自分の心も軽やかになっていきますよ」。新生活がスタートする春、北向き部屋に手をかけてみませんか。

 

【プロフィール】

インテリアコーディネーター / 荒井詩万

「CHIC INTERIOR PLANNING」代表。戸建住宅・マンションのインテリアコーディネート、リフォームなどを数多く手掛ける。住まう人に寄り添う心地よい空間づくりが人気。大妻女子大学短期大学部非常勤講師、町田ひろ子アカデミー講師。NHK教育テレビ「資格☆はばたく」、テレビ東京「インテリア日和」、日本テレビ「スッキリ!」「ヒルナンデス!」などTV出演多数。高校生の女の子のママ。
https://chic-interior.net/

 


『今あるもので「あか抜けた」部屋になる』(サンクチュアリ出版)
1430円(税込)

インテリアのルールに沿って、今あるものの家具配置を変えたり、絵や小物の飾り方をひと工夫したりして、おしゃれな空間を手に入れるインテリア術が紹介されています。昨年発売され、第4刷の重版に。電子書籍と合わせると累計2万6千部を突破した、荒井さんの初めての著書です。

 

▼この記事は、GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」から転載したものです▼