雑貨・日用品
2021/1/18 17:00

肩こりや腰痛は椅子選びの失敗が原因!? 在宅ワークがはかどる「オフィスチェア」選びと使いこなしの正解

この1年でオンライン会議が一気に普及し、家で仕事をするビジネスパーソンが増えています。通勤ラッシュから解放される一方、オフィス以外のスペースで長時間仕事をするのは、意外と体に負担をかけているもの。在宅ワークの増加によって、腰痛をはじめとする体の痛みや、集中できないことに悩まされている人も多くなっているのだとか。

 

その原因は、座っているイスにあるかもしれません。今回は、家でもオフィスに近い環境で快適に仕事できる「オフィスチェア」の選び方と、正しい使いこなしに迫ります。

 

増える在宅ワークの落とし穴

オフィス以外の場所で仕事をする「テレワーク」を導入する企業は、ここ数年で着実に増加傾向にありましたが、コロナ禍の影響もあって、多くの人が初めて、本格的な在宅ワークを経験したのではないでしょうか? 内閣府の調査(※)では2020年5月時点で、全国平均で27.7%、東京23区では48.4%の人が在宅ワークを経験、その後も引き続き、多くの人が在宅ワークを選択していることが明らかになっています。(※ 内閣府「第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」より)

 

では、その実態とは? 事務用品・オフィス家具通販の「カウネット」が運営するコミュニティサイト「カウネットモニカ」で実施したアンケート調査をもとに見ていくと、多くの人が抱える問題点が明らかになってきます。

↑長期化するにつれ、徐々に身体に変調を感じる人も。特に疲れのたまりやすい、首、肩、腰といった部位の痛みを訴える人が多いようです

 

↑デスクではなく、ソファの高さに合わせたローテーブルをワークデスクに代用し、床置きのクッションや座布団に座って仕事をした人も多かったのでは

 

その問題点とは、本来仕事をする環境ではなかった家で働くことで発生した、身体の痛み。その大きな要因になったのが、上のグラフで利用者が少ない“キャスター付き回転椅子”=オフィスチェアであることは明らかです。これからも在宅ワークを続けることを前提にするなら、快適に仕事をするための環境づくりと、身体への負担を和らげるオフィスチェア選びは不可欠といえるでしょう。

 

オフィスチェアは在宅ワークにこそ取り入れるべし

それでは、いったいどのように仕事がはかどるオフィスチェアを選べばいいでしょうか? 今回は、オフィスチェアも豊富にラインナップするオフィス通販の「カウネット」を訪ね、オフィスチェアのバイイングから商品企画までをカバーする担当者に、市場動向から選び方のポイント、最新のおすすめチェアまでたっぷりと伺いました。

 

教えてくれたのはこの人

カウネット MD本部 商品部/上野啓太さん

入社時からオフィスチェアを担当。通販モデルの空間構築案件の営業や設計を経験したのち、現在再びオフィスチェアの商品企画・開発に携わっている。無類の家具好きで、家具全般に明るい。

 

「2020年は在宅ワークが増えて、みなさんのイスに対する関心がかつてないほど高まった1年だったと思います。在宅ワークが実施された当初こそ、間に合わせでダイニングチェアや、お子さんが使い終わった学習イスを使っていらっしゃる方も多かったようですが、長期化してくると、さすがにこれではキツイとホームセンターなどでオフィスチェアを購入されたようです。実際にいま、オフィスチェアの需要は右肩上がりで、チェア専門店には予約が殺到しており、納品まで数か月待ちの商品も多いですね」(上野さん)

 

イスの重要性に気づき自宅にオフィスチェアを導入しながら、なぜ、その後も体の痛みを感じている人が多いのでしょうか?

 

「自宅の家具と違って、仕事で使う家具は専門的な視点で選ぶ必要があります。選び方のポイントが認知されていなかったことが大きな要因ととらえています。感覚と予算で選ぶ傾向が強く、決して自分に合ったものを選んでいるわけではないため、実際に使ってみたら『思ったほど疲れがとれない』『自分に合わない』ということになったのだと思います」(上野さん)

 

【失敗しないオフィスチェア選び】在宅ワークにおけるオフィスチェアは3つのポイントで選ぶこと!

確かに、自宅で使うイスならまだしも、オフィスチェアをしっかり選んだ経験のある人は少数派でしょう。上野さんに、まずは失敗しない選び方の基本を教えてもらいました。

 

1. 着座時間・在宅率

「仕事内容などによってオフィスチェアの使い方は異なり、着座時間、在宅率によっても選び方は変わってきます。在宅率が高く、着座時間が長いほど、真剣に選ぶ必要があるわけです」(上野さん)購入前に使用環境をまとめておくことが大切です。

 

2. 予算

「同じく、着座時間・在宅率によって注ぎ込むべき予算も変わります。目安として価格帯別にチェアの特徴を紹介しましょう」(上野さん)

・1万円以下
短時間で終わる作業用。長く座ることを前提にしていないチェアが多く、価格が安くなるほど疲労軽減に大事な、背もたれのエルゴノミック形状が省かれていることもあります。

・1〜3万円
クオリティに差はありますが最も売れ筋の価格帯。腰を保護するランバーサポートや、座面の調整機能、デザイン性のどれかワンポイントに特化しているチェアが多いことが特徴です。

・3〜5万円
1~3万円台で紹介した機能やデザインなどの特化点が2ポイント以上あるタイプがメイン。一般的な売れ筋価格より高めで、着座時間の短い人にはややオーバースペックかもしれません。

・5〜10万円
自分にとって必要な機能を選べる価格帯。平均的な価格帯より高額ですが、着座時間が長く、週2日以上在宅ワークをしている人にはおすすめです。

・10万円以上
ブランドものの高級チェアカテゴリーに入ります。多機能な反面、機能を使いこなせている人は少なく、どちらかといえばチェア愛好家向けです。

 

3. 機能とデザイン、どちらを重視するか?

機能重視派は座面の大きさや素材、ランバーサポート機能の有無などを優先的にチェックしましょう。デザイン重視派はルックスから選んだとしても、必ず機能も確認を。「デザインだけで選ぶのは、オフィスチェア選びではNGだと思います」(上野さん)

 

【チェックポイント1】座面にモールドウレタンを使っているか?

座面に使用される素材は、カットウレタンとモールドウレタンが主流。「カットウレタンとはクッション材を必要な形に切り取ったもので、使い始めは気づきにくものの、使っていくうちに消耗し薄く潰れてしまうというデメリットがあります。一方、モールドウレタンは金型を使って成型した、低反発枕にも用いられるクッション材で、型崩れしにくく耐久性に優れており、お尻や太ももをあずけると適度に反発しながらしっかり受け止めてくれます。長時間作業であればモールドウレタンがおすすめ。商品によって硬さが違うので、体格や好みに応じて選んでください」(上野さん)

 

【チェックポイント2】背骨のカーブをキープする構造になっているか?

人体で最も負荷のかからないのが立ち姿勢です。その際の、背骨が描く正しいカーブを座っていてもキープできるよう配慮された構造・機能があるかも、大事なチェックポイント。背が、腰を立たせる形状になっているか、また、そのカーブを支える“ランバーサポート”が背面に装備されているかも確認しましょう。

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【おすすめオフィスチェアカタログ】カウネットで選ぶ、ハイコスパな高機能オフィスチェア4選

いよいよ、具体的におすすめのオフィスチェアを、カウネットで扱っている商品のなかから紹介していただきましょう。

 

1.「価格の割に座面のクオリティが非常に高いチェアです」

クローブ
アルペジオチェア
1万890円〜

座面のクオリティにこだわったコンパクトサイズのチェア。モールドウレタンクッションにスリットを入れたことで、お尻を支えながら正しい姿勢のサポートも実現。背のパーツを張地でカバーした上、背裏のツートーン仕上げにより、圧迫感を軽減し家のインテリアにも馴染むようにした。

【スペック】
・外寸法:幅591×奥行き585×高さ880~970mm
・座面寸法:幅495×奥行き450mm
・搭載機能:座モールドウレタンクッション、背ロッキング機能、ロッキング強さ調整

↑座面のフロントがカーブしているのでひざ裏が圧迫されず、より快適な座り心地。モールドウレタンの座面はお尻ともも裏にフィットする形状に設計されている

 

↑座面クッションの裏にスリットを入れることで、腰が垂直に沈み込み、体が前方向へ滑らないため姿勢が崩れるのを防ぐ

上野さんオススメ「“モールドウレタンでできている”とひと口に言っても、厚みや密度が足りないチェアもあります。『アルペジオ』は座面厚や密度は3~5万円のチェアに引けを取りません」

 

2.「ソファのような張地で自宅の雰囲気に合います」

クローブ
ルーナリビングチェア
1万8040円〜

リビングライクなオフィス向けにつくられたモールドウレタンチェア。上質な張り地感が自宅の家具にもマッチする。大きめの座面は固めに設計されていて、身体をしっかりホールド。「アルペジオチェア」と同様の、座面にスリットを入れた座スベリ防止機能が正しい姿勢をサポートする。

【スペック】
・外寸法:幅605×奥行き555×高さ900~995mm
・座面寸法:幅490×奥行き425mm
・搭載機能:座モールドウレタンクッション、シンクロロッキング、ロッキング強さ調整、ロッキング固定、ランバーサポート

↑耐久性に優れたモールドウレタンの広い座面クッションが、お尻やもも裏にフィット。体格の大きな人が座っても窮屈さを感じさせない

上野さんオススメ「スタンダードなオフィスチェアのメッシュタイプですが、座面の張地が自宅にもぴったりの風合い。オーソドックスなオフィスチェアが欲しいが、家に合うような雰囲気を探しているという方におすすめですね」

 

3.「座スベリを防ぎ、背の鏡面仕上げが美しいチェアです」

クローブ
スペキュラーチェア2
1万4490円〜

背の裏側に、美しく手入れも簡単な鏡面仕上げの樹脂を配した、明るくクリーンなスタイルが在宅ワークに最適。「アルペジオチェア」「ルーナリビングチェア」と同様、座面後方の裏側に入れたスリット効果で、お尻が深く沈み込み、座スベリを抑えて正しい姿勢を保つ。

【スペック】
・座面高さ:410~495mmmm
・座面寸法:幅490×奥行420mm
・搭載機能:座モールドウレタンクッション、シンクロロッキング、ロッキング強さ調整、ロッキング固定

↑腰のS字カーブにぴったりフィットする背もたれ形状が、長時間作業の疲れを軽減。奥まで深く座った時の、包み込まれるホールド感も特徴だ

上野さんオススメ「上のアルペジオチェアと同様、こちらも価格の割に座面のクオリティが非常に高いんです。さらに、ローバックなので空間に対する圧迫感を減らすことができ、狭い部屋やスペースにもフィットするはずです」

 

4.「デザインと必要最小限の機能を盛り込んだ人気作です」

コクヨ
エントリーチェア ブラックフレーム
1万8590円〜

座面の体圧分散に効果的な座スライド機能、体格に合わせた上下位置や背もたれの強度、座面の奥行き調節にも対応した多機能チェア。首の負担を和らげるヘッドレスト、位置調整も容易にできる肘かけもオプションで追加可能。

【スペック】
・座面寸法:幅490×奥行き430~473mm
・搭載機能:ランバーサポート、座奥行調節、シンクロロッキング、ロッキング強さ調整、ロッキング固定

↑光沢を放ち高級感のあるラインを採用した背面デザイン。背もたれは通気性にも優れたメッシュを採用する。腰を支えるランバーサポート付き

上野さんオススメ「座面はモールドウレタンではないものの、とにかくデザインがカッコいいチェアです。座面奥行き調節機能が付いているので、背の高い方にも向いています。着座時間はさほど長くないが見た目にこだわりたいという方におすすめです」

※商品価格はすべて、2021年1月時点のものです。詳細はカウネットのウェブサイトから確認してください。

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【高機能オフィスチェアの使いこなし】機能を使いこなさなければ意味がない!

どれだけ高機能なオフィスチェアを買っても、機能を使いこなし、自分の体にフィットさせられなければ宝の持ち腐れ。アジャスト機能の活用法をチェックしておきましょう。

 

まず確認しておきたいのが、正しい座り方。

左が正しい座り方。奥までしっかり座ることでお尻や太ももが座面にフィットし、背中もきれいな状態に保たれています。右のように、やや浅めに座ってしまいがちですが、腰と背もたれの間に隙き間ができると、腰や背骨に負担がかかります。

↑正しい座り方をしているときに効果を発揮するのがチェアの背のランバーサポート。座面奥まで座ることで、自然と背骨の形状をS字に戻してくれるのです

 

↑座面の手前に浅く腰掛ける“ちょこんと座り”もやりがち。どうしても前屈姿勢となり、チェアの背から身体が離れてしまうため、チェアによる腰のサポートがされず良さが活かせません

 

続いて、アジャスト機能を見てみましょう。

 

・座面の高さ調整・ロッキングの固定/解除

座って右側に付いているレバーは通常、座面の高さを上下昇降させる役割をもちます。背もたれのロッキング固定/解除が行えるケースもあります。

 

↑このアジャスト機能によって、床に足を置いた時ひざが約90度になるよう座面の高さを調整すること。高すぎても低すぎても、脚に負担がかかります

 

・座面の奥行き調整

座面の昇降やロッキング以外にも機能がある場合は、逆の左手側に、座面の奥行を調整するなどのレバーが付いています。これも見落としがちなので要チェック。

 

・リクライニングの強弱調整

座面の真裏には、多くの場合にダイアルがあります。これを回すと、リクライニングの強弱が調整可能。背中で寄りかかった時に押し返す力を増したり緩ませたりできます。

 

そのほか、モデルによってさまざまな機能が座面下の空間に隠されています。すでに高機能チェアを使っているなら一度、確認することをおすすめします。

 

「今回ご紹介したオフィスチェアを含め、カウネット東京ショールーム『Kau-Box』にはたくさんのオフィスチェアをご用意しているので、実際に座って試していただくことができます。専門のアドバイザーが、チェアの選び方や機能を詳しくご説明しますので、お気軽にお越しください」(上野さん)

ショールーム「Kau-Box」についてはコチラから ※来場には予約が必要です

 

期せずして推進された“働き方改革”。ウイルスの脅威がなくなっても新しい暮らし、新しい働き方として定着するでしょう。たかがイスと侮ることなく、高性能なオフィスチェアで、より快適な在宅ワークを実現してみてはいかがでしょうか。

 

取材・文/安藤政弘 写真/湯浅立志(Y2)