「なるほど家電」第1号となったクッキングヒーター
――アイリスオーヤマでは、それまでになかった画期的な家電を「なるほど家電」と呼んで、販売していますが、その第1号となった商品は何ですか?
羽鹿:IHクッキングヒーターです。それまでは、電圧が200Vのモデルが多かったのですが、100Vにすることで電気工事も不要に。より生活者の方に寄り添った商品だったと自負しています。
――ふとん乾燥機、エアコン、極細軽量スティッククリーナー、サーキュレーター、テレビといった家電の開発にも本格的に乗り出します。
羽鹿:これらも「なるほど家電」として開発したものです。いずれもお客様が思わずなるほど、便利だと言ってしまう、痒い所に手が届くような商品です。例えば「使いやすい」「お掃除がしやすい」「お手頃価格」など。これらの取り組みや商品によってユーザーの方にとっての選択肢の1つとなればと思います。
アイリスオーヤマは、もはやスタジアムを作れる!?
――またちょっと変わったところでは、スポーツ施設用の椅子、サーマルカメラ、お米、飲料水なども開発・販売されているんですね。
羽鹿:弊社ではB-to-C(一般消費者向け)だけでなく、B-to-B(企業向け)の商品も多く扱っており、こういったスポーツ施設用の椅子や、非接触で温度を測定できるサーマルカメラなども開発しています。意外に思われるかもしれませんが、実は弊社の商品ラインナップでは、スタジアムの内装をトータルで提案できるようになっているんです。
――ということは、例えば人工芝なんかもあるのですか?
羽鹿:取り扱いがあります。これは結構意外に思われる方が多いようですね。
――食品や飲料はどのようにして開発・販売に至ったのでしょうか?
羽鹿:お米は東日本大震災がきっかけで、被災した東北の農家の方々のお力になれればという思いから取り組んだものです。通常、お米は5kg、10kgなどまとまった量で販売されていることが多いですが、一人暮らしの方だと、ちょっと多くて食べきるまでに傷んでしまうこともあります。そこで弊社では2合分の使い切りサイズのお米を用意しました。新鮮な状態で食べきることができる商品です。気になっていた銘柄を2合パックでお試ししていただくこともできます。
また、飲料水もやはり震災がきっかけで、ライフライン復旧までの備えの重要性を再認識し、いざというときに備えられるように始めたものです。弊社は仙台に本社があることもあり、まだ完全復興とは言えない東北地域の方々のお力になれるようなことも、社の方針の一つに掲げています。
ユーザーイン発想を最優先に、さらなる未来へ
――アイリスオーヤマの歴史的商品を見てきましたが、いずれも従来あった商品より「使う人」に寄り添ったものが多い印象を受けました。
羽鹿:弊社の開発の根底には「SRG(シンプル・リーズナブル・グッド)+ユーザーイン発想」があります。製品を使う方の視点を第一優先に開発をするという意味ですが、例えば「使用頻度が限られる機能をあえて廃して、本当に必要な機能だけを残す」「安すぎず高すぎない、手に取りやすい価格を実現しよう」といった考え方です。この発想の上で常に高品質を目指しています。
従来からの「ユーザーイン発想」はそのままに、これから先の未来はさらにハイクオリティの商品をお届けしていきたいと考えています。
アイリスオーヤマの歴史的商品は、市場に新発想を持ち込んだことがあらためてわかりました。【後編】では、現在手に入る、思わず膝を打ってしまうようなアイデア商品の数々を紹介します。