ファイリング術を自宅で実践! 具体的な取り入れ方は?
続いて、オフィスのファイリング術を自宅でも取り入れている、コクヨ社員・佐藤さんのお家にお邪魔して、具体的な実践方法を教えていただきました。まずは、リビングルームに収納している書類をどのように整理整頓しているのか、お聞きしました。
リビングの収納棚には、家電の説明書や契約書といった生活に関するさまざまな書類や本などが。その中から、説明書をまとめたファイルから見せていただきました。
「家電などの説明書は、ノビータの『取扱説明書ファイル』に入れて管理しています。現在ファイルは3つ使用していますが、テレビ、エアコン、洗濯機など、よく使う家電の説明書は同じファイルにまとめたりして、自分の中でざっくりとカテゴリー分けをしています。
また付属のインデックス用ラベルも活用していて、ラベルには家電の名称だけでなく、メーカー名も記載するようにしています。そうすることで、『買い替えたのに古い説明書が入れっぱなしになっていた!』ということも防げるんですよ。説明書は、必要なときにすぐ確認できるよう、常に最新のものに更新しておくことが大切です」(コクヨ・佐藤祐子さん、以下同)
「契約書などは説明書とは別のファイルにまとめていて、お金関係の書類は黄色のファイルに、インターネット関係の書類はピンク色のファイルに入れています。このように色分けをしておくと、検索性も上がるのでおすすめです」
「最近使い始めたのが、ノビータの『領収書&明細ファイル』です。このファイルには、毎月の光熱費や医療費、会社に請求する経費のレシートなどを入れています。またわが家では、家用のお財布で買ったものはレシートを取っておくというルールがあり、そうしたレシートも1週間ごとにポケットを分けてファイルにまとめています。
ファイルの中は、付属のインデックスシールに加え、マスキングテープを使ってさらに細かくカテゴリー分けをしていて、より使いやすくなるよう工夫しています」
書類整理の3原則「か・た・す」を実践して、常にすっきりした仕事部屋に!
次に、夫婦共用で使っているというお仕事部屋を見せていただきました。まずはデスクの上のファイルボックスをチェックしてみましょう。
「縦型のファイルボックスには、プロジェクトの資料など、会社に持ち出す用の書類をまとめています」と佐藤さん。ファイルには、付箋を入れてインデックスにすることができる「KaTaSu(カタス)」を使用しています。
「カタスは、書類整理の3原則である『書く(見せる)』『立てる』『捨てる』の頭文字が商品名になったもの。私もこの商品と出会ったのを機に3原則を守ってファイリングを実践してみたんですが、とても運用しやすいことを実感しました。『書く』『立てる』ことで検索性が上がるし、『捨てる』ことによってスリム化できたり、自分の業務を見直したりできる。特に『捨てる』ことを面倒に感じる人は多いですが、このハードルを越えると、とても運用しやすくなると思います。
ちなみに私は、見出し用のポケットに入れる付箋を、ピンク色は持ち出すことが多いアクティブな書類、黄色は参考資料、と色分けしています。またファイルボックスは横向きに置いているのですが、この向きで置くとインデックスが見やすく、書類も取り出しやすいのでオススメです! さらにボックスに立てるファイルは、やわらかいものだとふにゃっと折れてしまい、ちょっとしたストレスになるので、硬めのファイルを選ぶといいと思います」
続いて、デスクの横にある棚をチェック。それぞれのボックスに収納しているものを見せていただきながら、整理整頓の工夫をお聞きしました。
「この棚には、主に私が仕事で使っているものと、趣味の手芸用品を置いています。仕事のものと趣味のものを一緒に置くのは、本来あまりよくないのですが……。しまい込んでしまうとなかなかやらないので、あえて目に付くところに置き、すぐに取り出せるようによく使うアイテムを一式置いています。
整理整頓された状態を保つために自分の中で決めているルールの一つが、棚に入れるファイルボックスの数を増やさないこと。ボックスに入らなくなったら中身を見直して、捨てるようにしています」
「こちらが、取り出しやすい上段に置いている3つのボックスです。一番奥のボックスには、仕事で使う最低限の文具やアダプター、読みかけの本などをまとめています。
真ん中のボックスには、家に置いておく用の資料を収納。ここでも『カタス』を活用し、色分けした付箋でインデックスをつけています。『黄色の付箋は期限が来たら捨ててもOK』など、色で書類ごとの保管期限がわかるので、ラクに管理できています。
一番手前のボックスには、ルーズリーフやファイルのストック、読み返すことのあるノートなど、よく使うものを入れています」
「2段目に入れている3つのボックスには、コクヨの商品や資材などを収納しています。私は広報担当なので、急遽サンプルを送らないといけないことがあるんですよね。そのため最新の文具や、それらを送るときに使用する箱、袋などを常にストックしています」
「下段には1つだけ色が違うグリーンのボックスがありますが、これは『要チェック』のボックス。ここには使わなくなった資料など、捨てる候補の書類を入れていて、1~3か月に1回くらいの頻度でチェックするようにしています。
そのほかのボックスには、仕事用の本を収納していて、文具の勉強をするための本、広報系の資料、文章やPR系の本など、カテゴリーごとに分けています。一度読んだものでも、繰り返し読んだり、調べる際に利用する本はここに入れていますが、ボックスがいっぱいになったときや読まないものが出てきたときには、見直すのがルール。リビングの収納棚に移動させたり、手放したりして整理するようにしています」
ファイリング術を活用して、居心地の良い家に
紹介いただいた仕事部屋だけでなく、どのお部屋も整理整頓されていて居心地の良い佐藤さんのご自宅。ごちゃつきがちなリビングやダイニングにも、ファイリング術が活かされていました。
「カウンター下の棚には、飾っておきたいもののほかに使用頻度が高い食器を入れてすぐに取り出せるようにしています。逆に、実用的なキッチン用品や使う頻度の低いものは、キッチンに収納しています。このように『使用頻度や期限によって配置の位置を決める』というファイリング術の考え方は、家のさまざまなスペースで活用することができると思います。
お部屋が散らかっていたり、ごちゃっとして見えたりすると、それだけで精神的な負担になりかねません。とはいえ、普段の生活でゆっくり片付ける余裕を持つのはなかなか難しいこと。ファイリング術は、ちょっとしたひと手間で家を常に整理整頓された状態に保つためにも役立ちます。自分ができるようになれば家族にもやり方をシェアしたりして、家庭内でどんどん取り入れていけるといいですよね」
プロフィール
コクヨ株式会社 ワークスタイルイノベーション部 / 齋藤敦子
働き方と働く環境に関する研究開発に従事し、企業や行政のワークプレイスやフューチャーセンター等のデザインに携わる。誰でも楽しくクリエイティブに働ける空間づくりのアドバイザーとして、学校などでも講演や研修などを行う。著書として「コクヨ式 机まわりの整え方」など。
コクヨ株式会社 プロモーション推進部 / 佐藤祐子
ステーショナリー部門の広報を担当し、日常の「はたらく・まなぶ・くらす」に寄り添う自社の文房具やライフツールのPRに従事する。