“突っ張り棒”といえば、収納のために使う便利アイテムですが、ここ最近は洗練されたディスプレイ収納としての使い道が注目されています。欲しいところに簡単に収納スペースを作り出せる上、取り外しも簡単で賃貸住宅でも壁などを傷つけずに設置可能。
今回は、この突っ張り棒を使った収納のなかでも、おしゃれな空間にぴったりなタイプに着目。突っ張り棒や突っ張り棚を扱う平安伸銅工業の3代目代表取締役であり、現在“つっぱり棒博士”の名でも活躍中の竹内香予子さんに、活用法を教えていただきました。
おしゃれな使いこなしで今注目の突っ張り棚
突っ張り棒と聞けば、100円ショップやホームセンターで手に入る白い棒をイメージしますよね。実用的なアイテムで便利ですが、一方で洗練さからはやや遠い存在とも言えます。
「私は育った環境から、突っ張り棒や突っ張り棚が身近だったので、学生時代に一人暮らしをした頃も、住み心地をよくするアイテムとして活用していました。でも、当時はそこまでおしゃれに使えるツールという認識はなく、便利だけどダサいもの、見えるところで使うというより、収納の補助ツールという認識の方が強かったように思います。
ところが、入社し、弊社の突っ張り棒を愛用するユーザーさんと接したり、商品開発のためのリサーチをしたりするなかで、“見せる収納アイテム”としての魅力を感じるようになっていきました。
最近の住宅は、マンションでも戸建でも、あらかじめ必要な収納棚が設置されているので、新たにタンスなどの家具を買う方はとても少ないと思います。生活用品の収納は取り付けられた棚に収め、ディスプレイ収納や生活動線に追加したい収納スペースとして、突っ張り棒を活用するシーンが増えています。
こういうオリジナルのアレンジは、インテリアコーディネーターなどのプロが入らないと難しく感じられた時代もありましたが、ここ数年は、インスタグラムなどのSNSやYouTubeでも、おしゃれに使いこなしている方の情報が手に入りやすいので、参考にして取り入れる方が増えているようです」(つっぱり棒博士・竹内香予子さん、以下同)
実例を紹介! 突っ張り棒でつくるオリジナル収納棚
ここからは、竹内さんに突っ張り棒でつくる収納棚=“突っ張り棚”の実例を見せていただきました。
1.窓際を彩るグリーンディスプレイ
以前の自宅では、なんと150本もの突っ張り棒を使いこなしていたという竹内さん。なかでもお気に入りの活用術は、窓際のグリーンディスプレイだそう。
「コロナ禍になり、自宅時間が増えて観葉植物の需要が伸びたとも言われていますが、たしかに自宅にたくさんのグリーンがあると気持ちがいいですよね。でも、飾るスペースがなくて諦めている方もいると思います。
そんなときにおすすめしたいのが、窓辺に沿って突っ張り棚をつくる方法です。1本のポールにテーブルやフックを付けるタイプを設置することでも、少ないスペースを有効活用できます。さらに窓際は、壁と壁の間に横に突っ張り棒を通して、S字フックで植木鉢を吊るす方法もあります。この場合、突っ張り棒の耐荷重を確認して、植木鉢を十分に支えられるものを選んでください」
[参考商品]
「ドローアライン テンションロッド B 115〜190cm」5610円(税込)
「ドローアライン テンションロッド C 200〜275cm」6820円(税込)
2.ホムセンの木材にアジャスターを付けてディスプレイコーナーに
突っ張り棒ではなく、補助具(アジャスター)を活用することでも、おしゃれな突っ張り棚は作れるそうです。
「まずホームセンターで購入できる木材を好みの色味にペイントして、『突っ張り補助具』を使い、天井から床に側板になるよう突っ張ります。棚板をハシゴ状に設置してディスプレイコーナーの完成です。壁に付ける場合、背面の板はなくても問題ありませんが、あれば色味のアクセントになりますよ。壁面以外に取り付ければ、パーテーション代わりにもなります」※トップ画像参照
[参考商品]
「2×4 アジャスター ラブリコ」1155円(税込・公式オンライン価格)
「2×4棚受 シェルフサポート シングル ラブリコ」1232円(税込・公式オンライン価格)
3.メッシュパネルでゆるやかに空間を仕切る
「上の写真は現在の自宅ですが、夫と私のPCデスクスペースの間を仕切る役割として、突っ張り棒を使っている例です。縦の突っ張り棒とメッシュ状のパネルを組み合わせたものに、絵を飾ったり小さな観葉植物やお気に入りの雑貨をディスプレイしたりしています。これを置くだけで自分のワークスペースができるし、閉塞的ではない感じもちょうどいいと感じていました」
[参考商品]
サンワカンパニー限定「DRAW A LINE 102 Partition A set +101 Partition A」2万760円(税込)
4.シューズ収納棚のデッドスペースを有効活用
「高さのないスニーカーやローヒールの場合、シューズ収納の上部が空きがちです。ここに突っ張り棒を3本渡せば、もう一段の棚ができあがります。こうした元からある棚と組み合わせる場合には、棚と突っ張り棒の色を揃えると、スッキリした印象にまとまります」
5.流し下スペースの余白を活かす
「シンクやコンロ下の空間や、収納スペース上部の余白を有効に使いたいときにも、突っ張り棒が活躍します。鍋類の蓋やラップやアルミホイルなど、ちょっとした物を置く場所にしてもいいでしょう。ここでは平たいタイプの突っ張り棚を使っていますが、棒状のものを2本横に突っ張り、上に薄めの板を乗せても同じようにできます」
[参考商品]
「フラット突っ張り棚 スリム KBS-63」1680円(税込)
次のページでは、100円ショップの突っ張り棒を、発想を変えて活用する方法について紹介していただきます。
リーズナブルで便利だから使いこなしたい!100円ショップの突っ張り棒活用術
手に入りやすいおなじみのアイテムも、こんな風に発想を変えて使えば、さらに便利になるはずです。
1.デスク下の掃除アイテム収納コーナー
「リビングのテーブル下に、100円ショップで買える突っ張り棒を設置し、ほうきやちりとりなど、ちょっとしたお掃除アイテムを設置しておくと、気づいたときに手に取り、サッとお掃除ができて便利です。見える収納になるので、おしゃれで気分の上がるアイテムを置くこともポイントです」
2.引き出し内のキッチンペーパーコーナー
「キッチンペーパーはよく使うアイテムですが、調理台に出ているとわずらわしい存在なので、引き出しの中に収納するのはいかがでしょうか? 突っ張り棒に通せば、回転するので、使いたいときにサッと取り出せます」
突っ張り棚をおしゃれに使いこなすコツとは?
実用するときおしゃれに使いこなすために気をつけておくべきことはどんなことがあるのでしょうか?
「扉など目隠しのある収納家具とは違い、ディスプレイ要素が大きくなる場所なので、気分の上がるもの、おしゃれなものを置く場所として使うことがポイントになります。掃除アイテム一つにしても、突っ張り棚に置くものはテンションの上がるものを選びたいですね。
あとは、置くものを決めて、必要以上に増やさないこと。手の届きやすい場所に設置するとつい、鍵などの小物を置いたり、読みかけの本を置いたりして、徐々にごちゃごちゃしてしまいがちです。突っ張りラックの上こそ、余計なものは置かずに余白のある状態をキープするように心がけましょう。置くアイテムのデザインがマッチしないと思ったら、お気に入りのカゴなどを使って、中身が見えないようにするのもいいですね」
・お気に入りで気分の上がる物を置くこと
・余計な物を置かず、余白を残すこと
・空間にマッチしない物はカゴなどで存在感を抑えること
手頃な値段で買えるおすすめの突っ張り棚
最近は100円ショップでも手軽に購入できる突っ張り棒ですが、実は価格も種類もいろいろ。ディスプレイ棚として重宝しそうなお手頃プライスのアイテムを、竹内さんにピックアップしていただきました。
ブラックカラーの展開がうれしい、ニトリの「ポールつっぱり棚」
ニトリ「ポールつっぱり棚(N P73-112 ブラック)」999円(税込)※ニトリネット・一部店舗で取り扱い
「全国にたくさんの店舗があるニトリさんの突っ張り棒は、ブラック展開があるのが魅力です。こちらは2本のポールがついたタイプで、前後段差のあるスペースでも設置ができます。耐荷重は最大20kgまでなので、本などを置くスペースにも使えますね。ほかにも、1本の強力つっぱりポールタイプやワイヤーシェルフのブラック展開もあります」
カラバリが豊富で品質もたしか! カインズの「伸縮ポール」
カインズ「伸縮ポール SS 27〜42cm」248円(税込)
「突っ張り棒や突っ張り棚はいろいろな用途があります。中でも収納スペースを自分でDIYするには簡単に始めやすく最適です。カインズさんの伸縮ポールは、ホワイト、ダークブラウン、ホワイトウッド、ブラック、シルバーの4色展開なので、サイズもSSからLサイズまであるので、ご自身の好みに合うものが見つかりやすいと思います」
さまざまな種類がある突っ張り棒ですが、安全のためにも選ぶ際に注意したいのは、耐荷重です。でも、せっかく耐荷重を気にしても、伸ばしすぎには注意が必要。というのも、突っ張り棒はパイプを伸ばすほど、たわみやすくなって耐荷重が小さくなってしまうのだそう。
「取り付けたい幅に対して、最大限伸ばして設置するようなギリギリのサイズではなく、なるべく余裕のある長さのものを選んだ方がよいでしょう。基本的に鉄製なので、マグネットが付着します。その特徴を上手に活用するのも楽しいですよ」
誰もが自分らしくお部屋をアレンジできる時代。突っ張り棚なら原状回復が簡単でカスタマイズしやすく、取り入れやすいですよね。まずは1本の突っ張り棒で、ちょっとした収納スペースづくりから挑戦してみてはいかがでしょうか。
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