Z世代を中心に火がついた韓国カルチャーブームは、世代を超えて拡散。音楽やドラマ・映画にとどまらず、グルメ、メイクやファッション、そして最近はインテリアにも及んでいます。SNSでも注目を集めているこの “韓国インテリア” とはいったいどういったものなのか、北欧やジャパンディとは異なる特徴と魅力、さらに雑貨やファブリックを用いて手軽に取り入れるコツとは? インテリアコーディネーターでin F代表の山賀史子さんに教えていただきました。
韓国インテリアの特徴とトレンドの変遷
韓国インテリアとはどのようなデザインで、流行のきっかけはなんだったのでしょうか?
「韓国インテリアの特徴は、ベージュ、白、生成りなどトーンを抑えた色味を基調に、木などの自然素材を活かした家具、有機的な植物や人物をモチーフにしたデザインが挙げられます。韓国の20代から30代の女性たちが、人気カフェのテイストをお部屋に取り入れ始めたことが流行のきっかけとなりました」
韓国カルチャー自体、2015年ごろに韓国のアイドルグループ、TWICEやBTSらが日本でもデビューしたことで、その人気に火がつきました。時を同じくして、ドラマ、映画の幅広いコンテンツが配信サービスにより視聴できるようになったことや、ファッション業界でも、オンラインで韓国発ブランドの洋服が手軽に購入できる流通の仕組みが整ったことなどにより、韓国文化が一気に身近な存在に。
「インテリア業界では、2010年代半ばごろから、グレーとベージュをミックスした、いわゆる『グレージュ』と言われるくすみカラーがトレンドとしてありました。2018年ごろに流行り出した、『塩系インテリア』や『ブルックリンスタイル』など、メンズライクなかっこいいテイストのインテリアにもくすみカラーは取り入れられてきましたが、ここに来て、引き続き人気のあるくすみカラーを特徴とした韓国インテリアの、やさしくフェミニンな雰囲気へと、トレンドが変わりつつあります。
韓国文化が浸透してきたことや、インテリアのトレンドの流れに絶妙にマッチしたかたちで韓国インテリアに注目が集まっています。さらに、インフルエンサーたちがSNSで韓国インテリアを発信したことで、一気に認知されることとなりました」(インテリアコーディネーター・山賀史子さん、以下同)
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韓国インテリアが大ブームとなった理由
韓国インテリアの人気の背景にはさまざまな要因が考えられますが、とくに以下のようなことが挙げられるそう。
・住まいの事情にあったコンパクトなサイズ感
「冬の韓国は寒さが厳しく、真冬にはマイナス10℃以下になることもあります。こうした気候の中、薪で燃やした煙を家屋の床下を通すことで温める、『オンドル』式という韓国独自の床暖房システムが古くから活用されてきました。このため、本来は床に座るスタイルの暮らしをしていました。床座の生活で圧迫感を抑えるために、韓国では比較的背の低い家具が用いられてきたことが特徴です。
これが日本の住宅事情ととても相性が良いように思います。日本の住宅、とくにワンルームなどの単身者向けの住まいの場合、空間に限りがあるので、背の高い家具よりも、背の低い家具の方が部屋が広く見え、好まれます。また、膨張色である淡い色を用いることで空間を広く見せる効果があります。このような、両国の居住スタイルや居住空間のサイズ感の相似も日本で韓国インテリアが受け入れられた背景と言えるでしょう」
・手に取りやすい価格帯
「仕事柄さまざまな雑貨をリサーチしますが、韓国雑貨は比較的安価で可愛らしい雑貨が多くあります。韓国インテリアテイストの雑貨はくすみカラーのアイテムが多く上品な印象があり、安さを感じさせません。今では、ショッピングモールや100円ショップにも韓国インテリアに馴染む雑貨類が豊富に取り揃えられています。手に取りやすく見栄えが良い雑貨の存在もまた、韓国インテリアの人気に一役買っています」
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韓国インテリアを取り入れるうえで、押さえておきたいポイントを解説していただきました。
1.「配色」はベージュを基本としたくすみカラーでまとめる
「グレーがかったベージュ、白、生成りなど、トーンを抑えたニュアンスカラーをベースにした色合いでまとめましょう。ナチュラルな色を基本色としながら、鮮やかなオレンジやブルーなど差し色をプラスする北欧インテリアに対し、韓国インテリアでは差し色を入れるにしても、くすんだピンクベージュやくすみグリーンなど、ほとんど色のトーンに変化を持たせません。部屋全体として、彩度の低く淡い色で揃えるのがポイントです」
2.「雑貨」は有機的な形や丸みがあるデザインを取り入れる
「雑貨は自然の植物や人物をモチーフにしていることが多く、不規則な曲線のデザインが特徴としてあります。韓国インテリアとして人気のある、まん丸ではない変形した丸型のビーンズ型ミラーはまさにその代表ではないでしょうか。全体的に直線的なデザインを控えめにし、曲線が多く柔らかな雰囲気をつくりましょう」
3.家具は異素材ミックススタイルが基本
「籐(とう・ラタン)や竹など、アジア家具によくみられる自然素材にテラゾーなどの人工大理石を合わせたような家具が韓国インテリアの大きな特徴の一つです。自然素材のみであればナチュラルな印象が強くなりますが、人工大理石や真鍮を配置することでモダンな印象になります。たとえば、扉の面材に、ラタンや竹を使用し、扉の金物や家具の脚にゴールドを組み合わせます」
4.アクセントカラーにはゴールドや黒の細いラインを配置
「ランプシェードの傘の先端に黒色を配置したり、ラタンの天板テーブルの脚は細い黒色の真鍮を使用したりと、少量で硬質な素材のゴールドや黒をアクセント使いします。輪郭をはっきりとさせてくれるアイテムで、空間を引き締めます」
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手軽に取り入れたいプロおすすめの韓国インテリア雑貨7選
山賀さんに、韓国インテリアに仕上がるアイテムを紹介していただきました。
・コロンとしたフォルムが愛らしいビーンズミラー
Little Rooms「ビーンズドレスミラー」
2万2900円(税込)
「韓国インテリアとして馴染みのあるビーンズ形のミラーです。お部屋に配置することで、一気に韓国風カフェスタイルのインテリアになること間違いなしのアイテム。床に設置する辺の部分は平らになっているので安定しておくことができます。ミラーを置くことで部屋に奥行きをもたせることができるので、空間を広く見せる効果も期待できます。フレームがない分、すっきりとした印象に」
・花びらのようなシェードがレトロ感を演出するランプ
Little Rooms「ヴィンテージプリーツシェードランプ」
8000円(税込)
「花のような、少女のプリーツスカートのようなふんわりとした形が大人の女性の心をくすぐります。黒のラインが入ったバイカラーのデザインと、ナチュラルなアイボリーのみでできた2タイプのシェードを展開しています。アイボリーの生地と木製のスタンドが暖かな印象を与えてくれますのでベッドサイドなどに置くのがおすすめです」
・流線型のラインがリラックスさせてくれるラグ
ART OF BLACK「ラインアートニュアンスラグ」
9900円(税込)
「大きすぎない、ほど良い大きさで限られた広さの部屋にも置きやすいラグ。手書きで線を描いたようなデザインはどこか親しみのある雰囲気です。
このような不規則なラインのデザインは韓国インテリアならでは。毛の長さは約5mmと短毛なので、素足で触れても心地が良いです」
・部屋をポップな印象にする、韓国インテリアらしいキャンドル
ART OF BLACK 「BonBonCubeキャンドル 6cm」
1650円(税込)
「韓国インテリアの象徴であり手軽に取り入れやすい “ボンボンキャンドル” です。自身の好きな配色で、ハンドメイドで作れることもあり、韓国で人気があります。インテリアの置物としても、火を灯して癒しの時間を過ごすにもいいですね。部屋のちょっとしたアクセントになるのでギフトにもおすすめです」
・モダンな空間をつくるテラゾー仕様のブックエンド
ART OF BLACK 「テラゾーブックエンドPlain」
7920円(税込)1個売り
「大理石や花崗岩(かこうがん)を砕き、セメントや人工樹脂と練り混ぜて作ったテラゾー人工大理石を使用しています。美しく磨き上げられ、滑らかな肌触りが特徴です。しっかりとした重みがあるので、ブックエンドとして本を立てておくことができます。ほかに、ペーパーウエイトやオブジェとして飾るのにもきれいなアイテムです」
・手間いらずでずっと美しいイミテーションフラワー
VIA K STUDIO JAPAN 「ベラチューリップポットLED (ピーチ)」
5060円(税込)
「5本のチューリップが可愛らしい印象を与えるアートフラワー。花びらの中にLEDランプが内蔵されているので、夜はムードライトとしても使うことができます。暖かなライトピーチの色が優しい雰囲気にしてくれます。ポータブル式の照明のため、どこにでも持ち運びができ気分に合わせて置き場所を変えることができます」
・韓国インテリアを気軽に取り入れられるポストカード
PEASE「t.d.s ポストカード 5枚セット」
1870円(税込)
「もっとも気軽に取り入れられるインテリアアイテムが、ポストカード。落ち着いた色合いなので馴染みやすいと思います。何を選べば良いかわからない場合は、まずはこういったポストカードなどから足していき、バランスをとっていくのがいいでしょう。ゴールドの細い枠のフレームなどに入れても、韓国インテリアっぽくなりますね」
空間に圧迫感を与えない小柄なアイテムや淡いトーンの色調は、一人暮らしのお部屋など面積の限られたスペースを広く見せてくれる効果も。おしゃれなだけにとどまらない、韓国インテリアの魅力を取り入れてみてください。