高画質な1型センサーを搭載しつつ、シャツのポケットにも入るくらいの小型サイズが魅力のキヤノンのコンパクトデジカメ「PowerShot G9 X」が「MarkⅡ」となって新登場。一見すると新型とは思えないほど従来機と似ているが中身は着実に進化している。新モデルとなってどこがどう新しくなったのか、実写を交えてその魅力をレビューしていきたい。
※写真はすべてリサイズ処理済み
【外観・操作性】デザインを踏襲しつつさらに軽量化
はじめてG9 X MarkⅡを手にすると、あまりの軽さに驚くだろう。その重さはわずか約206g。従来機も209gと十分軽いのだが、わずか3gとはいえ、より軽さが伝わってくる。軽いとボディの質感が低くなり、チープな印象になりやすいのだが、本機はG9 Xと同様にメタル感にあふれており、軽さと高級感を両立させている。
操作は背面のタッチパネルと、レンズ付け根のコントロールリングが中心。背面には多くのデジタルカメラが備えている十字キーがないため、はじめは操作に戸惑うこともあったが、タッチ操作に慣れるとスムーズに扱えた。ほとんどの設定がタッチでできるので、スマートフォンからステップアップしたい人でも、すぐ馴染めるだろう。
【画質・描写編】高感度画質の向上で暗所に強い
続いて画質についてみていこう。撮像素子は従来機とほぼ同等の2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。そして画像処理エンジンは、従来機のDIGIC 6からDIGIC 7に進化している。この新画像処理エンジンでは、CMOSセンサーのブレ量を検知して、手ブレ補正機構を制御。補正量は従来の3段から3.5段になり、暗い場所に強くなった。またISO感度も従来と同じISO125~12800だが、高感度ノイズの除去により、超高感度域でも解像感の高い画質が得られる。
レンズは従来と同じ28~84ミリ相当を採用。数字だけみるとワイド側もテレ側も物足りなさを感じるが、小型ボディを実現するためには仕方なかったのかもしれない。とはいえ、今回の街スナップでは特に気にはならなかった。
ワイド端はF2.0の明るさがあり、1型センサーながら絞り開放で被写体に近づけば、大きなボケが楽しめる。
実写した結果は、絞り開放からズーム全域で解像力が高い。絞り開放では周辺光量がわずかに落ちるものの、気になるレベルではない。絞り込んだときの回折現象による解像力低下も抑えられていて、絞り開放でも絞り込んでもシャープな仕上がりだ。やや気になったのは、ワイド側の近接で絞りを開けると、若干ソフトな写りになること。遠景がキリッと引き締まった写りなので、その差を感じてしまった。ただ、花や小物のクローズアップでは、優しい雰囲気を表現できるという利点にもなるだろう。
先に述べた高感度についても、その進化を実感できた。メーカー公式発表によれば、本機のISO1600は、従来機のISO800並みとのこと。好みにもよるが、個人的にはISO6400でも実用的で、最高感度のISO12800でも拡大しなければ十分使える画質だと感じた。手ブレ補正も高感度特性もアップしたことで、暗所での撮影にとても強くなったといえるだろう。
【機能編】Bluetooth接続対応でスマホ連携が強化
今回の進化で見逃せないのが、Bluetoothでスマホやタブレットに常時接続できるようになった点。アプリケーションの「Camera Connect」をスマホにインストールし、G9 X MarkⅡとペアリングすれば、撮影した写真を自動でスマホに転送することができる。FacebookやTwitterなどのSNSにすぐ公開することも可能。また、スマホからリモート撮影も行える。
また、8種類のピクチャースタイルやカメラ内RAW現像にも対応。
従来機の魅力だった軽さや画質に磨きのかかったG9 X MarkⅡ。より手軽に高画質の作品が撮れて、SNSとの連携にも優れた本機は、常時携帯できるプレミアムコンパクトといえるだろう。