ゲーム&ホビー
2016/6/4 12:20

【バンダイ会社訪問】無料見学可能! 下町の子どもの憩いの場は日々進化をするオモチャの最新事情が丸わかり

ヨシムラヒロムの一階通信 第六階 株式会社バンダイ

 

連載「一階通信」ではエントランス部分から見える企業の顔を取り上げる。1階にエントランスがない企業も多々あるが、それはご愛嬌。受付や入口があるフロアを総じて『1階』と呼び、エントランスから企業を紐解く。

 

【バックナンバー】

第五階 ぴあ株式会社 第四階 杉並区役所 第三階 株式会社ぐるなび 第二階 株式会社文藝春秋 第一階 学研ホールディングス

 

今回は、誰もが一度は遊んだことがある株式会社バンダイを一階通信。

 

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男子諸君なら、人生に一度は「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデル(通称ガンプラ)を作った経験があるはず。僕の場合、中学時代がピーク。毎月のお小遣いを握りしめては、いまはなき新宿のさくらやホビー館で新作を買いに行った。人生で初めての徹夜もガンプラ制作だったと記憶している。帰宅部の中坊のありあまったエネルギーは、すべてガンプラに注がれていた。

 

ガンプラ制作は、100%自分が思った通りに作れなかったりもする(そこがハマる魅力の1つ)。間違えてパーツを折ってしまったり、スプレー着色がムラになったり、と時折ミスも発生。大概は接着剤で直したり「まぁ仕方ないか」と諦めるが、修正不可能な場合も。

 

そういった時に頼るのが、企画・製造・販売元のバンダイだ。欲しいパーツを指定し、パーツ料金分の郵便切手を送ると、1週間ほどでパーツが届く。ミスを頻繁に起こしがちな中学生モデラーにとって、コレは非常にありがたいサービスだった。一度、手持ちの切手の都合で数円多めの切手を送ったことがある。その際に、バンダイから送られてきた封筒には、パーツとともに差額分の切手も同封されていた。中学生ながら「しっかりした会社だなぁ」と思い、以来バンダイという会社を勝手に信頼している。

 

台東区駒形の下町を歩いてるとウルトラマン、仮面ライダー、ドラえもん、アンパンマンの像が忽然と現れる。初見の人はキャラクターの日本代表に驚くはず! その横にあるのが今回の目的地、バンダイの本社。一階部分はガラス張り、外からもエントランスに並ぶ大量のオモチャが目視できる。もう、ここの時点で「今回の取材は成功だ!」と思った。

 

2004年に竣工した14階建のバンダイ本社ビル。入り口で、まず出迎えてくれるのが巨大なTVモニターだ。縦2m横4mはあるだろうか。常に新商品のCMが流れている。このスペースは2階との吹き抜け。広場になっており、空間的にヌケが良い。

 

そこから奥に進んだ先にあるのがエントランスだ。右側は壁伝いにガラス棚が並び、その中には外からも見えたオモチャが並ぶ。1歳児向けから、仮面ライダー変身ベルト、妖怪ウォッチ、マニア心をくすぐる高価なキットまで。並ぶオモチャの総数は優に1000を超えるだろう。

 

最も熱心に見たのが、もちろん青春を捧げたガンプラの棚。今年で誕生から36年を迎えるバンダイの看板商品の1つだ。歴代で2000種類を超えるモデルを販売してきた。

 

「2000以上あるモデルで絶版は1モデルしかないんですよ。ちなみに不人気で絶版なのではなく、たくさん生産したことにより金型が劣化し絶版になったんです」と広報のA氏。現在の総売上は4億5900万個以上、計算上だと日本人全員が約3個づつ持っていることに……。もう、ちょっとワケがわかんらないほどのバケモノ商品だよね。

 

じっくり見ていると昔作った「Zガンダム」を発見!これは中学時代に作った思い出のモデルだ。「これ作った時、背中についた羽部分が重くて、支えられなかったんですよ」といらぬ話を口走ってしまう。「やば! 怒られる」と思ったが、A氏は「それはすいませんでした。けど、最新のモデルは進化してるので完璧に固定できますよ」とクールな対応。日々、ガンプラも進化していると実感した。

 

続いて、向かったのが奥にある服のゾーン。仮面ライダーなどのヒーロー、ヒロインをモチーフにした子ども服が並ぶ。「僕が幼稚園のころに着ていたのと変わらないなぁ」と思ったが、A氏の説明を聞いて愕然する。13年から発売された「NEXTPETS!」シリーズはAR対応。「専用カメラアプリを使い、服を着た子どもにスマホを向けると、画面上はキャラクターとの2ショットになるんですよ」とのこと。オモチャも常にイノベーションが求められている。日進月歩はまさにこのこと。

 

AR服の隣には、子ども用のコスプレ服も展示されていた。こちらも人気商品、大人発信のコスプレ文化が子どもにも定着したことを実感した。

 

そして、左側のゲームの筐体機の並びへ。ここではカードダスの最新型を見ることができる。以前は現物を見て、ニヤニヤ楽しむだけであったカードダス。現在は、大幅に進化しゲーム機にスキャンニングをして遊ぶカタチが人気らしい。自分の持っているカードに描かれたキャラクターが画面上で戦う、そりゃ子どもは夢中になるわっ。

 

妖怪ウォッチ、アイカツ!、ガンダムと色々なキャラクターで展開されているが、現在一番人気はドラゴンボール。ここだけは20年前の僕の少年時代と変化ナシ。改めて、鳥山 明先生のスゴさを再確認した。

 

バンダイのエントランスは、ざっくり分けて上記の3つのエリアで構成される。ここに来るだけで、日々進化をするオモチャの最新事情がわかるだろう。

 

また、何よりも素晴らしいのが誰でも見学可能という点。取材時も子どもたちや外国人観光客が遊んでいた。見学無料なので、一度は足を運ぶことをオススメしたい。

 

帰り際、A氏に「お子さんは、お父さんの仕事が自慢なんじゃないですか?」と聞いた。「『他の子には言わないで』と言っているんです。そのことが広まると色々と大変なことも起きますからね」と意外な答え。けど、確かにバンダイの社員だと分かると色々と頼まれそうではある。「子供がパパの職業は言えないなんて、なんかスパイみたいっすね」と言うとA氏は微笑。最後に、そんな会話をしてバンダイを後にした。

 

 

 

株式会社バンダイの一階通信見どころまとめ。

 

①大量のオモチャ

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②NEXTPETS!シリーズ

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③データカードダスの筐体

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