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炊飯器
2016/5/27 20:39

【レビュー】実は0.5合炊きがウマい! 「本炭釜」で「一杯の炊きたて」を食す贅沢

最近は各メーカーから10万円以上する高級炊飯器が発売されています。各製品ともに特徴的な機能がありますが、どのメーカーもこだわっているのが「内釜」です。なかでも、特徴的な内釜を搭載するのが三菱電機の「本炭釜 KAMADO」シリーズ。そこで、ここでは5月21日に発売された最新モデル「NJ-AW107形」を実際に使用して、その使い勝手とおいしさをチェックしたいと思います。

 

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火力アップでおいしさもアップしたのか?

本炭釜シリーズといえば、10万円を超える「高級炊飯器」がブレイクするきっかけとなった製品です。最大の特徴は、名前の通りに炭素材料をくりぬいた、純度99.9%の「炭」で作った内釜を採用している点。

 

炭は熱伝導性が高く、遠赤外線効果もあり、なによりIHの磁力線が深いために、IH加熱の際に釜全体が一気に発熱するという利点があります。このため、本炭窯シリーズはもともと火力の強さで人気のあるシリーズなのです。

 

さらに、今回レビューする新モデルは、火力を従来の112%に強化して「かまどで炊いたごはん」の再現ができるといいます。

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↑本体は「実りの形」と呼ばれるしもぶくれのコロンとした形。本体には、移動用ハンドルやしゃもじケースなどはなくシンプルなのが好印象です

 

炭製の内釜は、かまどと同じ羽根のある「羽釜形状」を採用。上部空間ができることで「吹きこぼれ」が少なく、連続して激しい沸騰を続けられます
↑炭製の内釜は、羽根のある「羽釜形状」を採用。上部空間ができることで「吹きこぼれ」が少なく、連続して激しい沸騰を続けられます

 

計量カップとしゃもじが付属。しゃもじは自立するのため、しゃもじケースなども必要なく便利なのですが、表面がエンボス加工されておらず、少々米がくっつきやすいのが難点
計量カップとしゃもじが付属。しゃもじは自立するのため、しゃもじケースなども必要なく便利なのですが、表面がエンボス加工されておらず、ごはんがくっつきやすいのが惜しい

 

↑非常に使いやすかったのが、0.5合単位で計算できる計量カップ。細長い形状のため、少ない量でも計測誤差が起きにくいのだそう。ひっくり返すと一般的な1合計量カップにもなります
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↑非常に使いやすかったのが、0.5合単位で計算できる計量カップ。細長い形状のため、少ない量でも計測誤差が起きにくいのだそう。ひっくり返すと一般的な1合計量カップにもなります(下)

 

↑> V字の目盛りで、水位線がわかりやすいのも便利!毎日の作業なので、このあたりの使いやすさは嬉しいところです
↑V字の目盛りで、水位線がわかりやすいのも便利! 毎日の作業なので、このあたりの使いやすさはうれしいところです

 

米一粒一粒にハリがあってみずみずしい!

ここからは、実際に炊飯してみましょう。NJ-AW107には一般的な「白米」炊飯のほか、29種類の銘柄に最適な制御をする「銘柄芳醇炊き」も用意されています。

 

今回は、「ゆめぴりか」を選択したところ、「つやがありほど良いねばり やわらかめの食感」の炊飯方法が選ばれました。ちなみに、銘柄選択後も硬さやねばりを調整することが可能です。

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↑お米の銘柄ごとの特製に合わせて、最適なねばりや食感を選択できる「銘柄芳醇炊き」機能。もちろん、銘柄選択後に柔らかさなどを微調整することもできます
↑お米の銘柄ごとの特製に合わせて、最適なねばりや食感を選択できる「銘柄芳醇炊き」機能。もちろん、銘柄選択後に柔らかさなどを微調整することもできます

 

また、銘柄に関係なく、個人的な好みを優先させたい場合は「炊分け名人」メニューが選択できます。銘柄芳醇炊きでは、各3段階の「かたさ」と「ねばり」が選択できましたが、炊分け名人では「かため」から「やわらか」までの5段階のかたさが選択可能。さらに、「もちもち」から「しゃっきり」までの3段階のねばりも選べます。

↑「炊分け名人」では「硬さ」と「ねばり」を設定して、全15種類の炊飯タイプを選択できます
↑「炊分け名人」では「硬さ」と「ねばり」を設定して、全15種類の炊飯タイプを選択できます

 

出来上がったごはんを食べると、芯がなく中まで均一に柔らかなのですが、とにかく表面にパーンと張りがあります。また、表面に弾力がありながら、噛みしめると「みずみずしい!」と感じる味わい。

 

さらに、噛めば噛むほど、甘みと旨みが口に広がるのですが、後味がさっぱりしています。このため、おかずの味を邪魔せず、いくらでも食べられると感じました。

↑炊飯直後の様子。ところどころにカニ穴も見えますが、かなり柔らかめ。炊飯後の「ほぐし」は、粒をつぶさないように慎重にする必要がありました
↑炊飯直後の様子。ところどころにカニ穴も見えますが、かなり柔らかめ。炊飯後にほぐす際は、粒をつぶさないように慎重に行うのがオススメ

 

↑炊飯直後は柔らかすぎ?と感じましたが、茶わんによそうと表面に張りがあるのがわかります。一粒一粒がツヤツヤと輝いている!
↑炊飯直後は柔らかすぎ? と感じましたが、茶わんによそうと表面にハリがあるのがわかります。一粒一粒がツヤツヤと輝いている!

ちなみに、NJ-AW107は「たべごろ保温」という保温方法を搭載しています。これは、やや低い温度で保温する機能で、一般的な保温よりもご飯の変色や乾燥を抑制できるというものです。

 

こちらで12時間保温したところ、たしかに一般的な炊飯器より色や香りのよい状態で保温ができました。とはいえ、さすがに「炊きたての状態を維持」というレベルではないので、おいしさを追求するならば炊飯後すぐに冷凍し、食べる前に解凍するのがオススメです。

↑12時間保温した後のご飯を比較してみました。左は一般的な2万円台の炊飯器、右がNJ-AW107の「たべごろ保温」を使ったもの。左のほうが少々黄色く変色しています
↑12時間保温した後のご飯を比較してみました。左は一般的な2万円台の炊飯器、右がNJ-AW107の「たべごろ保温」を使ったもの。左のほうが少々黄色く変色しています

 

茶碗一杯ぶんを炊きたてで味わう贅沢

ちなみに、今回さまざまな炊飯を試しましたが、とくに感動したのが「0.5合炊き」と「玄米炊き」です。0.5合炊きとは、お茶碗一杯分の少量のごはんが炊けます。いままでも0.5合炊きができる炊飯器はあったのですが、炊きムラがあることが多くて個人的にはあまりおいしいと感じませんでした。

 

しかし、本機は0.5合の少量炊飯でもふっくら炊けておいしい! 「保温したご飯は香りがイマイチ」「解凍ご飯は食感が悪い」と不満を感じている人は多いと思いますが、1杯ずつ炊飯できる本機なら、この問題も解決できそうです。

0.5合で炊くと、鍋底が見えるほどの少量でもごはんが美味しく炊けます。ほぐす前でも、端まで米粒が立っているます
↑0.5合で炊くと、鍋底が見えるほどの少量でもごはんがおいしく炊けます。ほぐす前でも、端まで米粒が立っています

 

 

↑0.5合をすべて茶わんによそうと、この程度の量。小さめの茶わんなので、女性の一食分にちょうどだと感じました
↑0.5合をすべて茶わんによそうと、この程度の量。小さめの茶わんなので、女性の一食分にちょうどいいと感じました

 

また、特に他の炊飯器と違いが大きいと感じたのが「玄米」の炊き上がり。玄米というと、ビタミンBや食物繊維も多く、健康に良いイメージがあります。しかし、同時に匂いが強くて食感も硬めでモソモソザラザラとしており「あまりおいしくない」と感じている人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、本機で炊いた玄米ご飯は、一般的な炊飯器で炊いた玄米と比べて、独特の香りが少なめ。そして、胚芽のザラッとした感はあるものの、中まで柔らかくしっとりしているので、あまりモソモソした食感には感じません。普段は白米派の筆者ですが、これなら毎日でも玄米が食べられると感じました。

↑一般的な炊飯器で炊いた玄米(写真左)と、NJ-AW107で炊いた玄米(写真右)。左は表面にべチャッとした粘りがあるものの、中が少々硬くモソモソとした食感。NJ-AW107は表面にザラつきはあるものの、中まで柔らかで食べやすい
↑一般的な炊飯器で炊いた玄米(写真左)と、NJ-AW107で炊いた玄米(写真右)。左は表面にべチャッとした粘りがあるものの、中が少々硬くモソモソとした食感。NJ-AW107は表面にザラつきはあるものの、中まで柔らかで食べやすいです

 

釜は重いがお手入れは簡単!

毎日使う炊飯器だけに、手入れのしやすさも気になります。ちなみに、高級炊飯器の多くは、圧力をかけて炊飯する方式を採用していますが、本炭釜シリーズは「実際のかまど炊きは圧力をかけていない」という理由から、珍しく非圧力方式です。

 

このため、使用後に片づけるパーツがシンプルで少なく、お手入れはかなりラク。唯一気になったのは、内釜が少々重い点でしょうか。ただ、内釜は本機のキモでもあるため、この点は目をつぶらざる得ないでしょう。

↑使用後に洗う必要があるのは、内釜と放熱板(内ブタ)のみ! ちなみに、新モデルでは火力がアップしたため、「吹きこぼれ」防止のために内ブタは2重構造になっています。この独特な形状で炊飯中の気泡を素早く破裂させるのだとか
↑使用後に洗う必要があるのは、内釜と放熱板(内ブタ)のみ! ちなみに、新モデルでは火力がアップしたため、吹きこぼれ防止のために内ブタは2重構造になっています。この独特な形状で炊飯中の気泡を素早く破裂させるのだとか

 

我が家は子どものいない2人暮らし家庭なので、いままでご飯は毎回2合ずつ炊いて2~3日にわけて食べていました。ですが、0.5合からおいしく炊飯できるNJ-AW107なら、毎回炊きたてのご飯が楽しめます。とにかくおいしいので、多めに炊くとついついおかわりしてしまうのですが、少量炊飯すればこのような食べ過ぎ問題も解決しそうです。

 

 

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三菱電機

IHジャー炊飯器

本炭釜 KAMADO

NJ-AW107

実売価格12万9300円

沸騰立ち上げ時の火力強化による大火力炊飯で、しっかりした粒感でありながら中はみずみずしい「かまどごはん」を再現。正確な火力制御で、お茶碗一杯分(0.5合)から5.5合までムラなく炊きあげます。

 

【SPEC】

炊飯容量:0.5~5.5合

消費電力:1370W

銘柄芳潤炊き:29種

炊き分け名人:15種類

保温:一定保温、たべごろ保温

サイズ/質量:W285×H249×D320 mm/約5.7㎏

 

【URL】

三菱電機 http://www.mitsubishielectric.co.jp/

製品情報 http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/suihanki/product/kamado/