冬の寒さもやわらいできて、自転車の季節が到来! これからロードバイクを始めようと思っている人、冬の間は部屋で眠っていた愛車を引っ張り出そうとしている人、様々な人がいるはず。ここでは、初心者の人にも、慣れた人にもぜひ読んでほしいロードバイクのメンテナンス術を紹介。本記事では、その第一歩である洗車術を紹介。 自転車がきれいになるうえに、異常箇所が発見でき駆動部の汚れが落ちれば性能がアップする。記事前半は写真をふんだんに使い、わかりづらい箇所をフォロー。後半はテクニックや注意したい点をまとめた。
愛車のメンテナンスは洗車から
洗車に必要な工具はバイクウォッシュ、ディグリーザー、つや出しなど。これにスポンジやブラシを使う。スポンジやブラシは水洗い、洗剤洗い、そして溶剤用(ディグリーザーなど)と使い分けるようにしたい。ディグリーザーはプラスチック、ゴム、塗装にやさしいものを使うこと。
本記事ではホイールを装着したまま洗車する方法を紹介しているが、ホイールを外すと作業がスムーズに運ぶ。汚れのひどいハブは毛の硬いブラシでしっかり汚れを落とし、 ディグリーザーでスプロケットの油汚れも落とす。ホコリなどの汚れは水洗いしてしまえば手っ取り早い。
その際、スポークに曲がりや損傷がないか、タイヤに傷や劣化などのダメージがないかをチェックしておこう。水洗いした場合は、 ハブがすばやく乾くよう壁などに立てかけて干すといい。
1、スタート
メンテナンスはクリーニングから。バイクウォッシュ、ディグリーザーがあれば水洗いは不要だ。ブラシはボディ用、細かい作業が必要な箇所用、油汚れがしつこい箇所用などを使い分けたい。
2、プーリーのほこりを取る
プーリーには油汚れなどが固まっていることがある。その場合は、ドライバーを使って取り除く。
このように、油汚れが固まって付着していると、走行性能を著しく下げることになる。
3、カセットスプロケットの洗浄
スプロケットにディグリーザーを吹きかけ、ブラシでこする。 使用頻度の高いギヤは念入りに行いたい。
4、リアディレイラーの洗浄
プーリーにもディグリーザーを吹きかける。後ろにタオルを当て、スポークに当たらないように注意しよう。
5、チェーンの洗浄
クランクを回しながらチェーン全体に満遍なく吹きかけて、 タオル等で拭き取る。裏側もしっかり拭き取る。
ディグリーザーが残っていると、チェーンオイルを差したとき性能が発揮できないので、しっかり拭き取る。
拭き上げた後のチェーン。油汚れがなくなり、元のチェーンの金属肌が輝きを見せ始める。ペダリングにも大きな変化が表れるはずだ。
6、フロントディレイラーの洗浄
フロントディレイラーも汚れがたまりやすい箇所。ディグリーザーを吹きかけブラシでこすって汚れを落とす。タイヤに吹きかけないよう注意。
7、チェーンリングの洗浄
チェーンリングも忘れずに。歯先は思っている以上に汚れている。
チェーンと同様に、拭き取るのを忘れないようにしよう。
8、タイヤ・ハブの洗浄
タイヤ・ハブの洗浄にはバイクウォッシュを使う。中性洗剤でもOKだが、その場合しっかりと洗剤を洗い流すこと。
バイクウォッシュを吹きかけたら、ブラシでこすり、汚れを落とす。
汚れを落としたらしっかり拭き取る。多くのバイクウォッシュは拭き取るだけで十分な仕様になっている。
9、ブレーキの洗浄
ブレーキも通常のクリーナーで洗浄できる。ボディを傷つけないよう柔らかいブラシで洗う。
10、ボディの洗浄
ボディも同様に、ブラシで洗浄する。
フロントフォークなどをしっかり拭いていく。
パイプの裏などは汚れを見落としがちだ。 ダウンチューブ裏やチェーンステー裏も忘れずに洗う。
タイヤも忘れずに拭き取る。残っているとリムが滑って危険だ。
11、つや出しで仕上げる
洗浄が終わったら、ボディにつや出しを吹きかけていく。
つや出しをボディに吹きかけたら、きれいな布に持ち替えて拭き上げる。
つや出しが完了。しっかり行えば、新車の輝きがよみがえる。
油汚れはディグリーザーで 一気に落とす
駆動部はオイルとそこにこびりついた汚れが厄介だ。2のようにプーリーのほこりをドライバーなどで取った後、ディグリーザーでオイルごとクリーニングするのがおすすめだ。チェーンもディグリーザーを吹きかけて汚れを拭き取る。
アウターにシフトした状態で少しずつクランクを動かしながら行うと効率的。裏側もしっかり拭き取ること。ペダルは硬いブラシを用いて行い、汚れがひどいようならディグリーザーを使う。ただし、グリスが入っているようなシャフト内に大量に洗浄液が入らないように注意しよう。
リアディレイラーの外側はディグリーザーを浸透させたブラシで汚れを落とす。内側はプーリーに泥が詰まっているので硬めのブラシで泥をこすり落とす。ディレイラーのスプリング部分の汚れもきれいに落としておこう。 ディレイラーの汚れがひどい場合は、クランクを回しながらディグリーザーを大量に吹きかけてブラシでこすって汚れを取ると効率的だ。
車体の裏側のひどい汚れも同じ要領で落とす。 特にブレーキシューのカスは見落としがち。フォークや面などにこびりついているの で 、 ちょっとこすったくらいでは落ちない。バイクウォッシュを使ってしっかり落したい。 ディグリーザーのほうが効率的だが、製品によってはタイヤのゴムを傷めることがあるので、注意が必要だ。
ボディはバイクウォッシュを吹きかけ拭き取るだけ
ハンドルの汚れはスポンジを使えば驚くほどきれいになる。六角ボルトの凹みは歯ブラシでこするといいだろう。 できるだけ硬いもので、使い古しより新しいものが作業ははかどる。トップチューブ、ダウンチューブ、そしてシートピラーも汚れているもの。とりわけ、 ダウンチューブの下端は前輪で巻き上げられた汚れが付着している。最初にバイクウォッシュ か洗剤を含ませたスポンジで洗い、ウエスで拭き取り洗いする
ここにはシフトワイヤーが 走っているので、水気を切らないと錆びの原因ともなる。洗剤を水で洗い流した場合は、 乾いた布で十分に拭き取っておくこと。 チェーンステーも油汚れのひどいところだ。かなり狭い 箇所で面倒ではあるが、手は抜けないようにしたい。スポンジの洗剤がチェーンにたれないよう注意しながら作業すること。 油は、表面に被膜を作り、 錆びるのを防いでくれるもの。 洗車後は、チェーンをはじめ各部への注油を忘れずに。
【POINT01】水での丸洗いの注意点
最近の自転車は防水性が向上し、かなり水に強くなっている。だからといって水での丸洗いはできれば避けたい。 とりわけ、注油が必要な駆動部は水との相性が悪いパーツ。乱暴に扱うと、あとの始末が大変になってしまう。チェーンやスプロケットは ディグリーザーを吹きかけ、毛の硬いブラシな どでこすり洗いすると驚くほど汚れは落ちる。 クリーニングでは、ウエスや雑巾が必需品。 使い古したもの、真新しいもの、それぞれ使いどころを分ければ、効率が良い。 水洗いをするなら、洗った後、フレーム内部 の水抜きをして乾かすことを忘れずに。
【POINT02】クルマ用ワックスには要注意
洗浄剤やワックスは車と兼用で、という考えは少し注意が必要。自動車用のポリッシュなどでフレームを磨く分にはかまわない が、それがタイヤにかかると、劣化の原因になるので十分気をつけたい。
同様に、自動車用オイルやケミカル類は相性が悪いので注意。特に、自動車タイヤ用のワックスは、ひびなど大きなダメージを与える可能性があるので絶対に使わないこと。
以上がロードバイクの洗車方法。次回以降は注油やグリスアップの方法などを紹介していこう。