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2025/4/18 11:30

Google AIスマホ「Pixel 9a」実機レビュー。デザイン一新で”長く使える”1台に

グーグル純正スマートフォン最新世代のPixel 9ファミリーに、新モデル「Google Pixel 9a」が登場しました。ユーザーの興味を引く最大の特徴は、やはり7万9900円とシリーズ内で最も手頃な価格ではないでしょうか。コスパに優れ、”長く使える”1台になりそうな最新AIスマホの魅力をお伝えします。

↑Android 15搭載スマートフォン「Google Pixel 9a」が発売を迎えました。ストレージ128GBモデルが7万9900円(税込)という手頃な価格も魅力的です。

 

デザイン一新でカメラ周りがスッキリ。画面はより大きく

グーグルはここ数年、秋にPixelシリーズの上位モデルを発売して、その翌年に手頃な価格のPixel aシリーズを投入するサイクルを続けています。2024年のPixel 9シリーズは、そのサイクルを少し前倒しにして、まだ残暑が厳しかった8月下旬に発売となりました。それに伴ってか、aシリーズの最新モデルであるPixel 9aも、2024年の「Pixel 8a」よりも約1か月早く登場しています。

 

価格は内蔵ストレージ128GBのモデルが7万9900円(税込)~。2024年5月発売のPixel 8aと比べれば7300円値上がりしていますが、最先端のTensor G4チップとAI機能を載せてカメラも強化しているため、使ってみると納得感はあります。iPhone 16ファミリーの中で最も手頃なモデルに位置付けられるiPhone 16eが9万9800円(税込)~で販売されていることもあり、なおさらPixel 9aの価格がフレンドリーに感じられます。

 

Pixel 9aは、前世代のPixel 8aからデザインが一新されました。アルミニウム製のサイドフレームはシャープで精悍なイメージで、Pixel 9ファミリーの上位モデルと統一感を持たせています。ディスプレイは従来の6.1インチから、6.3インチまで大きくなっています。本体もサイズアップしているものの、フレームのエッジを立たせたデザインなのでしっかりと手でホールドできるのは好印象です。もっとも、筆者はPixel 8aの緩やかにラウンドしたサイドフレームのデザインもPixelらしくて好きだったので、少し寂しさもあります。

↑側面フレームをシャープなデザインに変更。カメラユニットの出っ張りも最小限に抑えています。

 

背面のカメラ部分もデザインが大きく変わりました。Pixel 6シリーズから継続してきた、レンズを守るために採用された横一文字のカメラバンプが取り除かれて、カメラユニットだけが広い背面パネルの左上に浮き島のように配置されています。グーグルは“水滴”をイメージしたのだと、デザインのコンセプトを説明しています。

 

カメラユニットはこれまでより張り出しが少ないので、背面側を下にしてテーブルの上などにフラットに置くことができます。一方で、従来のデザインのようにカメラバンプに指を引っかけて持てないので、これまでのPixelシリーズに慣れている人は少し注意する必要があるかもしれません。筆者も背面がフラットなPixel 9aのデザインに慣れるまで少し時間がかかりました。

↑左が24年発売のPixel 6a、中央がPixel 9。右側のPixel 9aはとてもシンプルなデザインです。

 

新色はパープル系の「アイリス」です。鮮やかなピンク系の「ピオニー」に比べると、アイリスは落ち着いた色合いなので大人も選びやすいと思います。定番のホワイト系、ブラック系を加えた全4色展開です。

 

本体はIP68相当の防塵・防水対応。キズが付きにくいCorning Gorilla Glass 3を採用するフロントカバーガラスも含めて、耐久性は十分に確保しているとグーグルは説明しています。ケースなしで使ってもいいですが、傷などが気になるならシリコン製の専用カバーを利用するといいでしょう。

 

多彩なカメラ機能。aシリーズ初のマクロ撮影対応

今回はPixel 9aの実機を1週間ほど試したのですが、全体にハードウェアとしての完成度がとても高いことに驚きました。

 

グーグルの生成AI「Gemini」に関連するAIツールは、上位モデルのPixel 9とほぼ同等のものがスムーズに使えます。カメラは厳密に言えばスペックがPixel 9から若干劣るものの、同じデュアルレンズカメラで日常を写真・動画でクリッピングする用途にはまったく力不足を感じません。

↑広角・超広角カメラを組み合わせたデュアルレンズカメラを搭載。

 

デュアルレンズカメラは48メガピクセルの広角カメラと、13メガピクセルの超広角カメラという構成。広角カメラは光学ズーム撮影が1倍まで。望遠撮影が最大8倍のデジタルズームに対応する仕様はPixel 8aから変わっていません。望遠ズーム撮影をよく使う方で、画質にもこだわるならば上位のPixel 9やPixel 9 Proを選ぶべきでしょう。

↑被写体に近付くと自動でマクロ撮影に切り替わります。カメラアプリの左上にはマクロモードであることを知らせる花のアイコンが表示されます。

 

また、aシリーズのスマホとして初めてマクロ撮影の機能が搭載されているのも注目です。被写体に近付くと画面に花のアイコンが表示され、自動でマクロ撮影モードに切り替わります。植物や料理にクローズアップして“画ヂカラ”のある写真やビデオを撮りたいときに有用です。

 

Pixel 9aのカメラは、Pixel 9のカメラよりもイメージセンサーのサイズが小型で、レンズの絞り値もわずかながら低めです。特に超広角カメラはやや実力差が開いていますが、Pixel 9aでも、スマホで写真やビデオを楽しく撮る用途には十分なレベルだと思います。集合写真を撮る際、撮影者を交代しながら自然な写真合成をしてグループ写真が記録できる「一緒に写る」のほか、複数のグループ写真からみんなのいい表情が選べる「ベストテイク」など、Pixelシリーズの特徴であるAIフォトツールはPixel 9aも上位モデルを継承しています。7万9900円のAIスマホでここまで色々できるのであれば大満足です。

 

動作は速く安定感も高い

6.3インチのディスプレイはOLEDで、HDR(ハイダイナミックレンジ)の映像コンテンツを明るく色鮮やかに表示します。HDRコンテンツの最大輝度表示が1800nits、屋外の明るい場所などでは2700nitsまで明るくできるので、写真や動画の表示がとても見やすくて好印象でした。本体のディスプレイ設定からリフレッシュレート(画面の書き換え頻度)を最大120Hzまで、コンテンツに応じて可変させるスムーズディスプレイ機能もあります。Webページのスクロールや、電子書籍のページ送りの際に文字がチラつきにくくなるので快適です。

↑最大輝度は2700nits。屋外の晴天下でも高い視認性を確保しています。

 

ちなみに画面と本体が大きくなったぶん、Pixel 8aよりも本体は重いのかと思ったら、実際には3〜4gほど軽くなっています。本体の横幅がPixel 8aの72.7mmから0.6mmほどPixel 9aの方が広くなっていますが、ホールド感はほぼ変わらない手応えでした。

 

スマホの頭脳であるSoC(チップセット)には、グーグルが独自に設計した「Tensor G4」を搭載しました。ベンチマーク計測アプリの「Geekbench 6」で複数回計測すると、CPUはシングルコアとマルチコアの平均得点でわずかにPixel 9の方が上回り、GPUのスコアはPixel 9aがむしろ少しリードする結果になりました。グーグルはPixel 9と同じTensor G4チップを搭載していると説明していますが、同じSoCでも本体設計に合わせたチューニングがされているため、スコアは多少変わってくるものです。とは言え、Pixel 9と9aに関してはほとんど変わらないパフォーマンスを発揮できると言っていいでしょう。

 

グーグルの生成AIモデルであるImagen 3をベースにした新しい純正画像生成アプリ「Pixel スタジオ」で、同じテキストプロンプトを打ち込んで画像を生成してみたところ、よく似た雰囲気の違う画像を生成してくれました。イメージが出力される速度はほぼ同じです。AIツールだけでなく、その他機能やサービスの使い勝手についてもPixel 9aに目立つ違いはありません。

↑グーグル純正の画像生成AIモデルをベースに誕生した「Pixel スタジオ」アプリ。テキストプロンプトやプリセットされたスタイルからオリジナルの画像が生成できます。左がPixel 9、右がPixel 9a。

 

長く使えるタフなAIスマホ

Pixel 9aには発売から7年の間、Android OSのバージョンアップ、Pixel Dropによる新機能のアップデート追加、セキュリティアップデートが保証されています。グーグルにはSoCなどハードウェアの性能差もソフトウェアの最適化でカバーしながら、最新のAI機能をPixelシリーズの過去モデルのスマホにも提供してきた実績があります。Pixel 9aは購入後も長く使えるAIスマホとしても要注目の新製品です。

 

さらに、内蔵バッテリーはこれまでに発売されたPixel aシリーズで最高容量の5100mAhで、連続駆動時間をPixel 8aから約25%前後も伸ばしました。通話・データ通信と待受、その他機能の使用などを合わせたグーグル独自のテストでは30時間以上のバッテリー持ちを達成しています。ふたつの意味で“長く使えるAIスマホ”としても、7.9万円から購入できるGoogle Pixel 9aはおすすめの1台です。