AV
イヤホン
2025/5/26 12:00

Wi-Fi接続で音が良くなる?完全ワイヤレスイヤホンの最先端「Xiaomi Buds 5 Pro」レビュー

世界的なシェアを誇る総合家電メーカー、Xiaomi(シャオミ)から気になる完全ワイヤレスイヤホンが登場しました。

 

その名も「Xiaomi Buds 5 Pro」。通常のBluetooth接続モデル(税込2万4980円)に加えて、最新技術であるWi-Fi接続に対応した上位モデル(税込2万7980円)もラインナップされています。「イヤホンをWi-Fi接続するってどういうこと?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

 

果たして従来のモデルと何が違うのか、実機を使ってチェックしていきます。

↑Xiaomiの完全ワイヤレスイヤホン「Xiaomi Buds 5 Pro」(Wi-Fi版)を、スマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」と組み合わせてテストします。

 

基本的な性能をチェック。マルチドライバー&強力NCを搭載

まずはBluetooth版、Wi-Fi版共通のスペックを見ていきましょう。イヤホンのユニット構成は、11mmデュアルマグネットドライバー/プラナードライバー/セラミックトゥイーターを同心円状に配置した、同軸型トリプルドライバーを採用。これをデュアルアンプで駆動するという、贅沢な設計になっています。

↑トリプルドライバーを搭載していることもあり、本体サイズは少し大きめ。ノズルは人の耳の形状にあわせた楕円形を採用しています。

 

ノイズキャンセリング性能は最大55dBと強力で、さらに5kHzの高帯域幅に対応したことで、その静寂性をより高めたとのこと。実際に試してみると、周囲の騒音がスッと静まり、音楽に集中できる環境を作り出せました。効き具合はマルチレベル(20段階)で調整でき、周囲の環境に応じて自動調整してくれるアダプティブノイズキャンセリング機能も備えているので、好みにあわせて設定できるのもポイントです。

↑スマートフォンからノイズキャンセリングのレベルや、イコライジング設定が行なえます。

 

イヤーピースはXS/S/M/Lの4サイズを付属。デフォルトではMサイズが装着されていますが、やや大ぶりな本体形状のため、普段よりワンサイズ小さめを選んでもフィット感が高まりそうです。

↑イヤーピースは4サイズ用意。フィットしているかどうか、スマートフォンからテスト音声を流して確認することもできます。

 

このほか、環境に応じて音を自動調整するアダプティブサウンド、周囲の騒音レベルにあわせて音量を自動調整するアダプティブボリュームなどの先端機能を搭載。さらに、イコライジング機能からはハーマンとのコラボレーションで生まれた「Harman AudioEFX」および「Harman Master」モードを選択できます。

↑ハーマンがチューニングした音声モードを利用できるのも、Xiaomi Buds 5 Proのポイントの1つ。

 

BluetoothコーデックはSBC/AACのほか、aptX Lossless/aptX Adaptive/LC3をサポート。LE Audioにも対応しています。そして、Xiaomi HyperOS搭載スマートフォンのXiaomi Earbudsアプリと連動すれば、最大4時間の録音が可能なのも特徴です。20の言語のAI翻訳と文字起こしもできるというので、Xiaomi製スマホと組み合わせてビジネスシーンでの活用を考えてもいいでしょう。

 

Wi-Fi版の広帯域を活用した高音質伝送が可能。ただし条件に注意

ここまでで、Xiaomi Buds 5 Proが十分な機能を備えたモデルということがわかりますが、最大の特徴となるのがWi-Fi版の存在です。

 

このWi-Fi版では、対応スマートフォンと組み合わせることで、BluetoothではなくWi-Fiによるワイヤレス接続が可能となります。これにはQualcommの最新技術である「XPAN」が用いられ、現時点では「Xiaomi 15 Ultra」との組み合わせでのみ実現できます

↑難しい操作は必要なく、スマートフォンでWi-Fiモードをオンにすれば接続が切り替わります。

 

Wi-Fi接続のメリットは「最大96kHz/24bitのロスレス伝送が可能」であること。最大4.2Mbps(Bluetooth版では最大2.1Mbps)の広帯域伝送による、音質の向上がWi-Fi版の最大の特徴と言えるでしょう。

 

なお、XPANは将来的には192kHz/24bit伝送や、低遅延ゲーミング、アクセスポイント経由でホームネットワークに接続することも可能になる予定とされていますが、Xiaomi Buds 5 Proがそれに対応するかは未定。ファームウェアアップデートでのサポートを期待したいところです。

 

可能なら絶対にWi-Fi接続で聴きたい!

それでは、実際に音質をチェックしていきます。

 

まずは通常のBluetooth接続(aptX Adaptive)で試聴してみました。基本的な音質傾向としては、若干低域が主張していますが、中域と高域にも密度感があるのでバランスが取れています。楽曲全体を量感のある低域が盛り上げて、楽しく聴かせてくれるようにまとめられているイメージです。音の質感がマイルドなこともあり、耳あたりがよい聴き心地と言えます。

↑「Xiaomi Buds 5 Pro」(Wi-Fi版)のサウンドを確認していきます。

 

ひととおり試したところで、接続をWi-Fiに切り替えてみます。すると、Bluetooth接続の宿命とも言える解像感の物足りなさが、かなりの部分まで解消されたことがはっきりとわかりました。これに伴って、クリアさが向上して高域はより伸びやかになり、音の消え際の余韻が生まれ楽曲に奥行きが出る、などポジティブな変化が起きています。エネルギーバランスにも変化があり、パッと聴いた際の派手さはBluetooth接続にありますが、Wi-Fi接続の方が上質な印象を受けました。Wi-Fi接続が可能な環境であれば、こちらを選ばない理由はなさそうです。

 

ということで、Wi-Fi接続でさらに聴き込んでいきましょう。ボーカルをハリよく再現してくれるため、ポップスはお手の物といったところ。近年の流行であるハイトーンなボーカルを伸びやかに再現してくれるところもグッド。バックの楽器音と完全に切り分けるというよりは、音の輪郭を保ちながらグルーヴ感を持って鳴らすような表現なので、バンドサウンドやエレクトロ系の音数が多い楽曲と特にマッチしそうです。

 

さらに言うなら、重心の低い再生音は、たとえば米津玄師「KICK BACK」やAdo「阿修羅ちゃん」など低域が響くほどカッコいい楽曲に向いています。一方で爽やかなMrs.GREEN APPLE「ライラック」のような楽曲は、軽やかさよりも骨太なロックテイストが感じられるようになるなど、好きな楽曲を聴き直してみるとまた違った印象を楽しめそうです。

 

空間性を感じられる描写性能は、インストゥルメンタルやピアノ+ボーカルといったアンビエントな楽曲でも力を発揮します。ノイズキャンセリングを組み合わせて、ゆったりと音楽に浸かるような聴き方もオススメです。

 

最新技術が生み出すサウンドは一聴の価値あり

Xiaomi Buds 5 Proの音質は、モニターライクというよりは、日常使いで気持ちよく音楽を聴くことのできるタイプです。強力なノイズキャンセリング性能、そして将来性もあるWi-Fi接続機能と、しっかりとした個性を備えていることを考えれば、注目に値するでしょう。

 

完全ワイヤレスイヤホン市場が成熟してきたいま、価格帯で考えると、ほかにも多機能&高音質なモデルの選択肢はあります。けれど、もしスマートフォンにXiaomi 15 Ultraや、今後増えるであろうWi-Fi接続対応モデルを利用するのであれば、Xiaomi Buds 5 Pro(Wi-Fi版)は一気に最有力候補に躍り出てくるはず。最新技術の恩恵で得られるサウンドを、ぜひ体験していただきたいです。