ふとんクリーナーを使ったことがない人によく質問されるのが「掃除機とふとんクリーナーはどう違うの?」という疑問です。ふとんクリーナーの大きな特徴は、布団を掃除しやすいようにコンパクトなサイズになっていること。もうひとつは、布団の表面を「叩く」ことで、布団についたゴミを叩きだす機能を持っている点です。また一般の掃除機と違って、薄い布団カバーがヘッドに吸い付きにくい構造になっているのも特徴です。
さて、そんなふとんクリーナーの元祖といえば「レイコップ」ですね。レイコップは上記の機能のほか、「UVランプによる除菌機能」など、ふとんクリーナーならではの機能を搭載した人気シリーズです。そんなレイコップが2月23日から新モデル「レイコップ RX(RX-100JWH)」(以下、RX。価格は税込6万9660円)を発売。最新のふとんクリーナーはどう進化しているのか、実際に試してみることにしました。
シリーズ初のコードレス化が極めて便利
RXは従来までのレイコップと比較してさまざまな点が進化しています。そのなかでも筆者が特に気に入ったのが「コードレス化」と「まくらモード」の搭載です。ふとんクリーナーや布団乾燥機など、ダニ対策家電を使用する上で一番重要なポイントは定期的に使用すること。しかし、毎日仕事や家事で忙しい人にとって「収納場所から本体をベッドまで持ってくる」「電源コードをつなげて準備する」というのは意外に面倒な作業です。しかも、ベッドが何台もあると、これらの作業を一日に何度も繰り返さねばいけません。
その点、RXはレイコップシリーズとして初めてコードレス化。しかも、本体を充電台にセットしたデザインが未来的でなかなかスタイリッシュ。そのため、ベッドのサイドテーブルに置いても違和感ありません。枕元にセットしておけば、寝る前や起きたときにササッと手に取って使えて便利です。しかも、コードがないので使用中に絡まるなどの煩わしさもなく、コンセントを挿したり外したりといった手間がないので、別の部屋のベッドを掃除するのもカンタンです。
一度の充電での駆動時間は、後述する「ドライエアブロー」機能なしで約13~40分。筆者がシングルベッドをじっくりと掃除したところ、だいたいベッド一台で5分もあればOK。最大パワーで運転しても2台は余裕で掃除できそうです。ちなみに、布団の材質にあわせてパワーを自動で調整する「自動モード」を使用すると、筆者宅では一度に4台ぶんのベッドが掃除できました。
重い……けれどその重さにはワケがある!
さて、ここからは実際の使い勝手などを検証していきましょう。最初にRXを持った感想は「意外と重い…」ということ。見た目はかなりコンパクトなのですが、手に持つと2.95kgあり、ズッシリと重さを感じます。ただし、実際に使ってみるとこの「重さ」が意外に重要なことがわかってきました。たとえば、軽い掃除機ヘッドで布団を掃除しようとすると、布団にヘッドを密着させるためにヘッドを押しつけるように動かす必要があります。その点、RXは自重で布団に沈み込むため、掃除時にクリーナーをぎゅっと布団に押しつける必要がなく、長時間掃除しても疲れにくかったです。
「自動モード」の力加減が絶妙でスイスイ進む
また、掃除のときに便利だと感じたのが新搭載された「自動モード」。レイコップは布団専用クリーナーなので、最大吸引力の「パワフルモード」でもほとんど布団カバーを吸い込むことはありません。とはいえ、たるんでシワの多い掛け布団などでは、たまに引っかかるように感じることがあります。ところが、自動モードにすると、寝具の通気性から「最適なパワー」で吸引力などをコントロール。このため、クリーナーが引っかかりやすい、シワあるエリアもスイスイと掃除できました。
前日掃除したのにフィルターにはナゾの粉が
もちろん、クリーナーだけありゴミもしっかりと捕集します。前日掃除した敷き布団を掃除したところ、なんと黒いフィルターにびっしりと謎の白い粉状ゴミがとれました。ちなみに、これは「敷き布団」エリアのみを掃除したフィルター。掛け布団の表裏も掃除したら、いったいどれだけのゴミが出るのがゾッとします。
また、面白いのが本体上部の円形の透明窓からフィルターの状態が見られることです。掃除をしながら「そろそろフィルターがゴミで詰まりそう」といった様子が見られます。フィルター掃除の目安にもなりますし、なによりゴミがどんどん溜まる様子は、掃除をしていて楽しくなります。
ただし、唯一気になったのがゴミ捨てです。フィルターは基本的に「水のなかで洗う仕様」のため、ゴミ箱の上で軽く振ったくらいではゴミが落ちません。洗った後は完全に乾燥させる必要があるため、この点は少々面倒でした。反面、水のなかで洗うのでフィルターがいつでも清潔に保てるのがメリット。ゴミ捨て時に細かなホコリが舞い上がらないという利点もあります。
10年使ったまくらで脱臭効果を試してみたら……
今回、個人的に非常に気になっていたのが「まくらモード」です。布団の場合、寝巻を着ていれば素肌が触れる部位は少ないのですが、まくらは肌が直接触れる部分だけに、特に汚れがたまりやすいエリア。そのケアを行うため、RXに新たに追加されたのが「まくらモード」。まくらの湿気を取り除き、除菌と脱臭を行います。使い方は、まくらの上にRXを置いて3分間放置するだけ。本体を前後に動かす必要がなく、電源も自動で切れるので手軽に使えます。
まくらモードを運転すると、本体下面から約70℃の熱風が吹き出し、まくらに温風を送り込み湿気を追い出します。さらに、ホメスタイオン(OHラジカル)と脱臭オゾン(O3)を放出させることで細菌を除菌して臭いのもとを取り除くとのこと。どちらも目に見える効果ではありませんが、OHラジカルといえば高機能空気清浄機に搭載されることも多く、除菌などに効果的。また、オゾンは脱臭機能として利用されているため、効果が期待できます。
ちなみに、このモードはまくらの「加齢臭」も脱臭するそう。しかも、同社によると、加齢臭は不快な臭いであるだけでなく「ダニは加齢臭に寄ってくる」という実験結果もあるのだとか。そこで、試しに我が家で約10年使用している枕の臭いを臭気計で計測してみました。その結果、室内空気の臭気数値が「0」の時にまくらの臭いは「100」前後。そして、まくらモード運転後にもう一度臭気を計測すると「40~45」に臭いのレベルが下降していました。さすがに10年以上使用しているので、0にはなりませんでしたが、半分以下になるなら十分すぎる結果です。
ちなみに、まくらモードでは約70℃の温風を当てるため、まくら内部を高温にして湿気を除去することができます。ダニは高い湿度と20~30℃の温度を好むと言われているので、まくらモード使用後にパワフルモードでまくらを掃除すれば、弱ったダニも捕集できそうですね。
「ドライエアブロー」で布団がホカホカ快適に
RXでは、本体にある「DRY AIR BLOW」ボタンを押すだけで、通常の掃除のときも温風とホメスタイオン、脱臭オゾンを放出させることができます。温風を吹き出す「ドライエアブロー」は、汗などでしっとり湿りがちな布団を、カラッと乾燥させるためにあるとのこと。さらにこの機能は、冬に冷たくなった布団を暖めるのにも大活躍しました。
「布団専用ならでは」を追求した機能に脱帽!
RXは掃除機にはないコンパクトさと、薄い布団カバーも巻き込まない「布団での使いやすさ」。さらにニオイや湿気など「布団ならでは」の問題解決を追求した製品です。正直に言うと、本製品を使う前までは「これ以上家電を増やしたくないから、普通の掃除機で吸えばいいのでは?」と考えていました、ですが、一度RXを使用するとやはり「布団専用機」はまったく別物だと感じます。常にベッドの横に置いておけるうえ、コードレスなので毎日の布団掃除が面倒に感じません。「布団を干すのが面倒」「花粉症で布団を干せない」「アレルギーを予防したい」といった人に、ぜひ一度使って欲しい製品だと感じました。