グルメ
ラーメン
2017/3/25 15:30

これがラーメンの最新系! 業界屈指のクリエイターが創る護国寺「MENSHO」

ラーメン好きなミュージシャンとして知られる、サニーデイ・サービスの田中 貴さん。年間600杯以上を食べ歩く田中さんが、女性にイチオシのお店を紹介するとしたら? そんな発想からはじまった本企画。今回は、昨年12月23日にオープンしたばかりの新店が登場します。

 

自家製粉の麺による至高の一杯

取材の舞台は文京区の音羽。最寄りは東京メトロ有楽町線の護国寺駅です。数分歩くと、コンクリートの壁に「MENSHO」のアルファベット。なんともスタイリッシュですが、ここが今回のラーメン店です。

↑店内は、白亜の壁に黒いイラストと英語。スケルトンな天井からぶら下がる、いくつもの裸電球。NYのブルックリンスタイルに代表されるような、武骨さとモダンな意匠が融合しています
↑店内は、白亜の壁に黒いイラストと英語。スケルトンな天井からぶら下がる、いくつもの裸電球。NYのブルックリンスタイルに代表されるような、武骨さとモダンな意匠が融合しています

 

一歩足を踏み入れると、中央にはオープンキッチンのカウンターと鉄製のスツール。無駄なものをそぎ落としたようなすっきりとしたデザインで、”引き算の美学”を感じさせるたたずまいです。

 

「ここはラーメンクリエイターと称される奇才・庄野智治さんが手がける最新店。彼は市ヶ谷の『麺や 庄の』をはじめ、新宿エリアを中心に個性的なラーメン店を複数展開しています。そのどれもが味もコンセプトも異なっていて面白いんですが、このMENSHOは度肝を抜かれる衝撃でしたね」(田中さん)

 

店内に関して、田中さんが特に注目するのは奥の扉の向こうにある部屋。そこにはたくさんの機器や、MENSHOと書かれた小麦粉の袋などが見えるではありませんか。

↑ガラスの向こうには石臼挽きの製粉機。玄麦をここで粉にして麺を作り、素材が豊かに香る一杯を提供しているのです
↑ガラスの向こうには石臼挽きの製粉機。玄麦をここで粉にして麺を作り、素材が豊かに香る一杯を提供しているのです

 

「驚いたことに、挽きたての小麦による麺を味わえるんですよ。いまや自家製麺は珍しくありませんが、自家製粉ってラーメン屋がやる領域を超えてますよね。中華麺に不可欠の、かん水専用のマシンも置いてあるし、もはやラボ。いや~面白い!」(田中さん)

↑系列店の麺も、MENSHOで打っています。写真は「油そばGACHI」用の製麺の様子
↑系列店の麺も、MENSHOで打っています。写真は「油そばGACHI」用の製麺の様子

 

真骨頂はやはりラーメンのおいしさ。田中さんがMENSHOを推す理由は、間違いなく同店が2017年を代表する一軒であるとともに、ほかにはない味わいを楽しめるからだそう。

 

「特に新しいもの好きな女性にオススメですね。雰囲気ももちろんですが、ラーメンの盛り付けもアートのようでフォトジェニック。そしてやはり味。挽きたて小麦の麺のおいしさはもちろん、ダシの取り方やスープの味わいもほかの店とは一線を画しています」(田中さん)

↑ラーメン、つけ麺ともに金沢の「secca」に特注した器を使用。ラーメンの器は縁が外に広がっており、平らになった部分に具やパウダーなどを配せる形になっています
↑ラーメン、つけ麺ともに金沢の「secca」に特注した器を使用。ラーメンの器は縁が外に広がっており、平らになった部分に具やパウダーなどを配せる形になっています

 

コンセプトは”FARM to BOWL”

やがて庄野さんが待望のラーメンをサーブ。そして田中さんがひと口。恍惚とした表情を浮かべながら、味のディテールと感想を聞かせてくれました。

↑庄野智治さん。2016年2月にはサンフランシスコ店をオープンする一方、国内の地方イベントなどにも積極参加。グローバルに活躍しています
↑庄野智治さん。2016年2月にはサンフランシスコ店をオープンする一方、国内の地方イベントなどにも積極参加。グローバルに活躍しています

 

「この潮ラーメンは動物系の素材を一切使わず、魚介や塩など海の食材のみで作られたスープが風味高くて激ウマ! 素材のパワーが凝縮していて、魚系の香りは凶暴といえるほどのインパクトがあります。一方自家製粉の細麺は小麦の豊かな甘味を感じられ、旨みの強いスープに負けないしなやかさが絶妙。見た目は洗練されているものの、いい意味でキレイにまとめていない振り切り方がサスガですね 」(田中さん)

20170325-i02 (7)
↑潮らーめん(1000円)。7種の塩を調合したタレに真鯛とホタテのダシを合わせ、同じくホタテ油とカキ油をエッセンスに加えた海が香る一杯。トッピングには昆布で〆た大山鶏のタタキとマグロ×浅ネギのワンタン、そして縁にはホタテのコンフィとカラスミが添えられています

 

↑玄麦は岩手県産の「ユキチカラ」で、小麦は北海道産の「春よ恋」。挽きたて豆のコーヒーが格別なように、挽きたて小麦の麺も香り高くて芳醇です
↑玄麦は岩手県産の「ユキチカラ」で、小麦は北海道産の「春よ恋」。挽きたて豆のコーヒーが格別なように、挽きたて小麦の麺も香り高くて芳醇です

 

独学でラーメン作りを始めた庄野さんは、常にとどまることを知らず文字通りのクリエーションをし続ける探求者。全国を巡って食材探しをするなかで出会った、生産者の想いを丼を通してお客に伝えたい。そこから生まれたテーマ、”FARM to BOWL”がMENSHOのコンセプトになっています。

 

「今回の味の根幹をなしている素材のひとつが、天然の温泉水『薩摩の軌跡』です。雑味がきわめて少ないピュアな超軟水なので、ダシの抽出も非常に豊か。器もFARM to BOWLから畑をイメージし、一杯でコースを表現するためにこの形にしたんです」(庄野さん)

 

豊かな香りと蕎麦のような噛みしめる食感に舌鼓

次に味わったのはつけ麺です。先ほどのラーメンが海ならこちらは大地。とはいえ豚や鶏ではなく、ブランド鴨の「岩手がも」と数種の野菜でダシをとり、専用の中太麺とともに。

↑挽きたて小麦つけめん(¥1000)。写真の手前右側は、「薩摩の軌跡」に沖縄の「ぬちまーす」を添えたもの。まずはこちらに麺を浸し、小麦の風味を楽しむところから
↑挽きたて小麦つけめん(¥1000)。写真の手前右側は、「薩摩の軌跡」に沖縄の「ぬちまーす」を添えたもの。まずはこちらに麺を浸し、小麦の風味を楽しむところから

 

↑つけ汁は塩ダレに2種の醤油をブレンドしたもの。岩手がものパワフルなスープと三位一体になり、深いコクと香りを生み出します
↑つけ汁は塩ダレに2種の醤油をブレンドしたもの。岩手がものパワフルなスープと三位一体になり、深いコクと香りを生み出します

 

「ラーメンの麺より香ばしく、ザラりとした舌ざわりも印象的。噛みしめる食感で、蕎麦のような喉越しもあります。つけ汁はどっしりとして力強く、トッピングの肉も低温調理の岩手がもでリッチなおいしさですね。¥1000でも安いと思いますよ」(田中さん)

 

ラーメンもつけ麺も、比較的に大人の味わい。田中さんに聞くと、MENSHOの系列店には”野菜を食べるつけ麺”をコンセプトにした「麺や庄のgotsubo」も女性にオススメではあるものの、ラーメンに食べ慣れた人にはより進化したおいしさを楽しめるMENSHOで、その神髄を感じてほしいとか。

 

↑バンドのツアーで全国を食べ歩く田中さんは、屈指の地方ラーメン賢者。まだそれほど世に知られていないご当地ラーメンの情報もあり、庄野さんもそのマニアックな話に耳を傾けます
↑バンドのツアーで全国を食べ歩く田中さんは、屈指の地方ラーメン賢者。まだそれほど世に知られていないご当地ラーメンの情報もあり、庄野さんもそのマニアックな話に耳を傾けます

 

「ラムを使った『自家製麺 MENSHOTOKYO』や、アメリカンな鶏専門つけ麺店『二丁目つけめんGACHI』など、庄野さんの店はどれも個性豊かで、限定の創作ラーメンも魅力的。このMENSHOも、独学で数々の実験と試作を繰り返してきた彼だからこそ、ここまで振り切った味わいながら違和感ないおいしさに仕上げられるんだと思います。またこれまでの店はどちらかというと濃厚なテイストでしたが、MENSHOは繊細系。今後の展開も非常に楽しみですね!」(田中さん)

 

なお同店では近々「醤油らーめん」(¥800)や、「ヴィーガン担々麺」(¥900)も登場予定。今回紹介した2杯同様にこだわりは満載とのことで、こうご期待!

 

取材・文=中山秀明 撮影=若林良二

 

Shop Data

20170325-i02 (3)
MENSHO

住所:東京都文京区音羽1-17-16 中銀音羽マンシオン1F
電話番号:03-6902-2878
営業時間:11:00~15:00
定休日:火
アクセス:東京メトロ有楽町線「護国寺駅」6番出口徒歩2分

 

Profile

20170325-i02 (8)

田中 貴

2008年に再結成を果たし、以来ライブを中心にマイペースながらも精力的に活動を続けるサニーデイ・サービスのベーシスト。年間600杯以上を食べ歩くラーメン好きとして知られ、TVや雑誌などでそのマニアぶりを発揮することも多い。バンドとしては2016年8月3日に通算10枚目のアルバム『DANCE TO YOU』を発売した。2017年は3月15日には、同作品のなかでも屈指の美しいメロディーをもつ春曲「桜 super love」を中心に編んだ10曲入りEPと、限定のアナログ7インチシングルをリリース。次回のライブは3月23日に「新宿 SPACE雑遊」で公演される。

 

【URL】

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

http://at-living.press