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2017/4/14 22:11

この価格でWi-Fi搭載は英断である! エアコン市場参入でアイリスオーヤマに大ブレイクの兆し

アイリスオーヤマが、家庭用ルームエアコンの新製品を2017年4月13日に発表した。Wi-Fi機能や人感センサーを搭載するシリーズとシンプルなスタンダードシリーズの2シリーズで、どちらも6畳用と10畳用のモデルをラインアップする。3人や4人といったファミリー世帯のリビング向けというよりは、ワンルームマンションやベッドルーム向けに特化したモデルといえる。

 

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↑アイリスオーヤマが2017年4月28日に発売するWi-Fi・人感センサー搭載エアコン「IRW-2217C」(参考価格7万9800円)と「IRW-2817C」(同9万9800円)

 

アイリスオーヤマ、ついに生活家電の本丸へ

アイリスオーヤマの家電というと、LED電球やシーリングライトなどを中心とした照明製品のイメージを持つ人も多いかもしれない。そのほかにノンフライ熱風オーブンやIH炊飯器などの小型家電も手がけているが、ついに生活家電の“本丸”の1つである大型家電のエアコンに進出してきたというわけだ。

 

Wi-Fi・人感センサー搭載モデルが6畳用(能力2.2kW、冷房6~9畳/暖房5~6畳)の「IRW-2217C」で参考価格7万9800円(税抜き)、10畳用(能力2.8kW、冷房8~12畳/暖房8~10畳)の「IRW-2817C」で同9万9800円。Wi-Fi・人感センサー非搭載モデルは6畳用の「IRR-2217C」が6万9800円、10畳用の「IRR-2817C」が8万9800円となっている。

↑「Wi-Fi・人感搭載シリーズ
↑Wi-Fi・人感搭載シリーズ。本体右下に人感センサーを搭載

 

↑人感センサーを搭載しないスタンダード シリーズ
↑人感センサーを搭載しないスタンダード シリーズ

 

↑エアコンの室外機
↑室外機

 

Wi-Fi・人感センサー搭載モデルの値ごろ感が強い

今回の製品はなかなかインパクトが強い。Wi-Fi・人感センサー搭載モデルは、外出先からスマホで部屋の温度の確認やエアコンのオン・オフができるなどの便利な機能のほか、部屋に人がいなくなると運転をセーブするといった省エネ機能を搭載。他社のエアコンでもスマホ対応モデルはあるが、そのほとんどは別売のワイヤレスアダプターを購入して取り付けなければならないため、利用のハードルが高い。

 

しかしこのモデルは無線LANを内蔵しているため、スマホを使って自宅のWi-Fiネットワークに接続するだけで遠隔操作ができるようになる。この価格帯でのWi-Fi対応はかなり値ごろ感があるといえる。逆にWi-Fi・人感センサー非搭載モデルはどちらも上位モデルに比べて1万円安いが、そちらはわざわざアイリスオーヤマ製品を選ぶような決め手はないといった印象を受ける。

↑人感センサーを本体右側に搭載している
↑人感センサーを本体右側に搭載している

 

アプリで使える睡眠モードがユニーク

ここからはWi-Fi・人感センサー搭載モデルの使い方について紹介しよう。Android/iOS対応のスマホ向け無料アプリ「Net Home Plus」を用意しており、これを使うことによってスマホやタブレットから遠隔操作でエアコンのオン・オフや運転モードの変更、温度調節、「睡眠モード」などの設定が可能になっている。

↑スマホ向け無料アプリ「Net Home Plus」の画面
↑スマホ向け無料アプリ「Net Home Plus」の画面

 

特にユニークなのが睡眠モードだ。これは睡眠時の温度を1時間ごとに設定できるというもの。暑くて寝苦しい日に設定温度を段階的に調整することで睡眠時の冷え過ぎを防いだり、寒くてふとんから出にくいような冬には起床の時刻に合わせて室温を上げたり、季節に応じて快適に過ごせるようカスタマイズできる。

↑「睡眠モード」の設定画面
↑「睡眠モード」の設定画面

 

アプリ画面では縦軸が温度、横軸が時間になっており、アプリ上でグラフのポイントを上下になぞることで自分好みの温度グラフを作ることができる。温度は17~30℃。時間は0時間から8時間後まで。細かくマニュアルで設定することも可能だが、年齢層によって分けた「若者」、「お年より」、「子供」という初期設定も用意されている。まずはこちらから使ってみて、自分好みにカスタマイズしていくのがよさそうだ。

↑睡眠モードの「子供」プリセット画面
↑睡眠モードの「子供」プリセット画面

 

オン/オフタイマーの設定も可能。起床や就寝、外出や帰宅などのスケジュールに合わせて自動的にオン・オフするように設定できる。指定した曜日に同じ動作を繰り返す設定も可能だ。

↑オン/オフタイマーや睡眠モードの設定ができる機能設定画面
↑オン/オフタイマーや睡眠モードの設定ができる機能設定画面

 

人感センサーによって人がいなくなったことを検知すると、自動で省エネ運転に切り替える機能も搭載。 不在時の冷やし過ぎや暖め過ぎを抑え、無駄な電力消費を抑えてくれる。

 

そのほか、冷房または除湿を10分以上運転したあとに停止すると、 自動で室内機の内部を乾燥させ清潔に保つ「内部洗浄機能」、冷房モード時に設定温度を23度以下に設定できなくなる「省エネモード」、設定した際の温度設定から冷房時には段階的に上げ、暖房時には段階的に下げることで、睡眠時の冷やしすぎや暖めすぎを防ぐ「おやすみモード」も搭載している。

↑アプリ不要で睡眠時の冷やしすぎや暖めすぎを防ぐ「おやすみモード」も搭載している
↑アプリ不要で睡眠時の冷やしすぎや暖めすぎを防ぐ「おやすみモード」も搭載している

 

単身・少人数世帯向けエアコンの“台風の目”になるか

アイリスオーヤマは2010年にLED照明事業から家電市場に参入し、年々右肩上がりの成長を続けてきた。いよいよ大型家電であるエアコンに参入し、同社が目指す総合家電メーカーへの道をまた一歩進んだ格好だ。

 

今回は、エアコンの中でもリビング向けの高価格帯モデルではなく、単身・少人数世帯向けの低価格帯モデルを発表した。その狙いについて同社の家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏は「現在流通する家電はまだ4人以上のファミリー層をターゲットにした商品がまだ多い」と語った。

 

「エアコンは一家に1台ではなくて1部屋に1台がスタンダードになるだろうとみています。現在のエアコン市場は省エネ性能の争いになっており、利便性の高い商品は存在しますが、価格設定が高いのが現状です。そこで日本の世帯数の現状に合ったエアコンを発売し、単身・少人数世帯向けに快適で省エネな暮らしをサポートしたいと考えています」(石垣氏)

↑アイリスオーヤマ 家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏
↑アイリスオーヤマ 家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏

 

同社は「シンプル」「リーズナブル」「グッド」の3つを兼ね備え、気持ちよく快適に過ごすための「なるほど」と思わせる機能を加える「なるほど家電」を製品開発の大きな柱にしている。また、機能をどんどん盛り込んで高機能・多機能化して高価格化するのではなく、ターゲット価格を最初に設定し、そこに合わせてターゲット層に必要な機能を絞り込むという開発手法を採っている。

 

今回発表したエアコンは、人のいる場所に合わせて風を吹き分ける機能なども搭載していないし、フィルターを自動的に掃除する機能なども備えていない。期間消費電力量は2.2kWモデルで718kWh(1kWhあたり27円換算で年間1万9386円)、2.8kWモデルで913kWh(同2万4651円)というのも平均的といったところ。ただこの価格帯でWi-Fi搭載というのはかなりの英断と言える。

 

エアコンの消し忘れに気付いたときや、突然暑くなったことで留守番をしているペットの熱中症が心配になったときなどに、外出先から部屋の温度を確認したり、エアコンをオン・オフしたり、温度設定を変更したりできる安心感は大きい。

 

賃貸マンション・アパート暮らしの人が導入する場合はオーナーや管理会社との交渉が必要になるが、逆に賃貸マンション・アパートを経営・管理する会社にとって、遠隔操作できるエアコンの導入は、契約者獲得に向けた一つの売りになることだろう。初年度はB2Bでの販売まで考えていないと石垣氏は語っていたが、引き合いは多数あるとのことだった。エアコンを遠隔操作できる安心感は、これから迎える夏にこそ強まる。コストパフォーマンスも含めて、大ヒットを予感させる製品だった。