眼鏡はそれぞれの人の目に合わせて作ることができます。近視用、遠視用、乱視用、老眼とか。でもヘッドフォンはどうでしょう? 調整できるのは音量だけです。
個々人で耳の構造が異なるために、低音は聞こえやすいけど高音は聞こえにくい人、またその逆の場合の人など音の聞こえ方には個人差があります。ヘッドフォンで音量以外に音の「聞こえ方」を調整できたらいいですよね。
そんなヘッドフォンがオーストラリアで開発されていました。「聞こえ方」を調整できる話題の製品「Nuraphone」です。
Nuraphoneを開発したオーストラリアのスタートアップ企業Nuraは、KickStaterで7730人から180万ドル(約2億円)以上の支援金獲得に成功。それ以外にも投資家から700万ドル(約7億7000万円)の資金を調達しました。これほどまでに注目を浴びるヘッドフォンは珍しいと言えるでしょう。
Nuraphone は耳音響放射と呼ばれる耳の現象を利用して、個々の耳の聞こえ方を診断する仕組みです。まず、ヘッドホンから音を発します。
次に、それに対して跳ね返ってきた音をNuraphoneのマイクで拾い、音への感度を診断。そして、ユーザーの音の聞こえ方に合わせて最適なサウンドを生成してくれるのです。この診断に要する時間は60秒以内。またヘッドフォンはそのユーザーの聞こえ方を記憶できますので、再度診断する必要はありません。
Nuraphoneは2層構造で外部の音をシャットダウンします。内部のイヤホン部分で高音、外部のヘッドフォン部分で重低音を鳴らす設計。クリアなサウンドの生成を実現しています。
Nuraphoneはワイヤレス接続で快適にできます。充電する必要がありますが、バッテリーの持ちは10~20時間。1度満充電すれば1日中使用できます。
海外ではおおむね良い評判を得ています。「ユーザー個々の耳に合ったサウンドを生成するアイデアは素晴らしいね」「すぐにでも試聴してみたい」。その一方、値段をネックに感じている人もいます。「音は良さそうだけど、私にはちょっと高いかな」
価格は399ドル(約4万5000円)。確かに高価ですが、30日以内の返品保証があるので試しやすいですね。
眼鏡は度が合わないと使えません。同じように「音程の度数が合わないヘッドフォンは使えない」とか言う人がこれで増えるのでしょうか――Nuraphoneの反響に耳を澄ませましょう。