おにぎりといえば、家庭の味。
うちの母が握ってくれるおにぎりの定番は、甘辛く味付けした牛肉が入った、友達よりも二回りくらい大きなおにぎりだった。母のおにぎりは塩味がしっかり効いているから、具がない塩むすびも本当においしい。濡らした手に塩をまんべんなく振りかけて、ぎゅっぎゅっとリズミカルに握っている姿が、今も目に浮かぶ。だが最近は、母のように「素手でおにぎりを握る」のは少数派なのだとか。実は、私自身もラップで握ることが多い。
素手派、ラップ派、それぞれの言い分
そもそも、ラップで握る派が急増した背景には、衛生面の問題があるようだ。おにぎりを食べて食中毒になった事例は多く、黄色ブドウ球菌というやつが根源らしい。といっても、黄色ブドウ球菌だけが原因なのではなく、時間が経つにつれて菌が繁殖していく過程でほかの菌も徐々に増え、結果的に食中毒の症状を引き起こすのだそう。しっかり手洗いをしないのは論外、手に傷などがある場合に素手で握るのはNGらしい。
一方で、素手派を推進する声もある。その理由の多くは、米のデンプンと塩に手の常在菌が相まってうまみ成分になるというもの。最近は、なんでも除菌ブームだけれど、必要な菌もいるんだよ!っていうことなのだ。
私としては、常在菌の大切さに一票を投じたい。では、なぜラップで握っているのかというと、年中手荒れがひどく、単純に塩が染みるから。あとは、おにぎりを作るときはお弁当で持たせることが多いので、作ってすぐに食べない場合は、やはり衛生面も加味してラップを推したいというのが本音だ。
じゃあ、握らなければいいんじゃない?
実は手の痛みがあるときは、ラップを使っても、米がそれなりに熱いと結構痛い。でも、普通にご飯をよそって出すよりも、おにぎりにした方が子どもたちの食が進む。保育園からも「お弁当は、おにぎりで持たせてください」と言われている。
そこで試してみようと思い立ったのが、ここ数年話題の「おにぎらず」。あの、平べったいサンドイッチみたいなやつだ。
どうやら2014年頃から注目されだしたようだが、発案者はかの有名な漫画『クッキングパパ』だったことをご存知だろうか? 今から26年前に発刊された22巻、朝寝坊したクッキングパパが、息子のお弁当を5分で完成させたシーンに「おにぎらず」が登場している。
さて、おにぎらずの基本的な作り方は、以下の通り。
1)ラップに焼き海苔を乗せて塩をふり、ご飯を適量広げる
2)具を乗せる
3)ご飯を乗せる
4)海苔の四隅を真ん中に向けて折り、海苔がしんなりするまでラップで包んでおく
5)ラップを外して、包丁で切ったら完成
至極簡単である。クッキングパパ同様、世の男性たちもすぐにマスターできる手軽さがいい。
近々チャレンジしてみようと思い、せっかくなら子どもたちが喜ぶようなものを……ということで、『レシピブログで大人気! 簡単! かわいい! デコおにぎらず』(フーズ編集部・編/学研プラス・刊)を入手。準備は万端だ。
さっそく作ってみました。<反省点多々あり>
ちょうど、夫が出張のため、移動中に手軽に食べられるおにぎりを作ってほしいと要望があった今朝。さっそく、おにぎらずに挑戦してみた。具材は、レタス、薄焼き卵、鶏そぼろ。本当は、本に載っていたレシピ通りハムを入れたかったのだが、冷蔵庫になかったため、急遽鶏そぼろを作ってみた。
お皿に焼き海苔を敷いて、ご飯を広げる。そして、鶏そぼろ、卵、レタス、マヨネーズを少々、そしてご飯をかぶせて、海苔で形を整える。とここで、ラップを敷いていなかったことに気づく。これでは、おにぎらずと言えども本当に握れない! あわててラップを敷き、そのままぐるりと包んで形を整え、しばし放置。
数分後、ラップを外して包丁で切ると……うーん、ご飯がくっつくし海苔が切りにくい! よくよく本を見返すと、「包丁を濡らしてから切ると、キレイに切れます」とのこと。しっかり読んでから実行しないと、こういうことが起こる。今更だが、海苔に塩をふるのも忘れていた。
さっそく味見してみたら、塩味が足りないものの、なかなかおいしい! 見た目も鮮やかだし、おにぎりだけで肉も野菜も摂れて良い。ただし、ご飯をぎゅっと固めて作らないと、ポロポロこぼれやすくなるので要注意。第一作目は、ゆるゆるに仕上げてしまったうえ、鶏そぼろがポロポロとこぼれ落ちてきてしまった。この反省を生かし、二つ目はぎゅっと固めに作ったら、いい感じ。帰宅後、夫の感想を楽しみに待ちたい。
子ども向けには、ちょっとかわいくデコろう!
子どもたちの朝食にも……と、続いては、同じおにぎらずを少しデコってみた。といっても、チーズとそぼろで目玉をつけただけだが。
一口目を食べた感想はというと、ちょっとボリュームが大きすぎたようで、パクリとかぶりつきにくいとのこと。小さな子どもの場合は、少し薄めに作ったほうがよさそうだ。味は◎との評価をいただいた。デコレーションのクオリティには、一切触れられなかった。もっと本を見て研究せねば。なにはともあれ、新定番・おにぎらずは、なかなかメリットが多くておすすめだ。
ちなみに、冒頭の素手orラップ論争には続きがあり、作ったおにぎりを包むのは、ラップかアルミかという問題もある。うちの母は、素手で握ってアルミで包んでくれた。個人的には、この流れが最強だと思う。ただ、アルミはおにぎらずには向かないかも……。まだまだ、おいしいおにぎり作りの追求は続く。
【著書紹介】
レシピブログで大人気!簡単!かわいい!デコおにぎらず
著者:フーズ編集部(編)
出版社:学研プラス
ラップの上に海苔、ごはん、好みの具材をのせ、四隅をたたむだけ。大人気の「おにぎらず」に、キャラ弁の要素をプラス。レシピブログで人気のBEST15レシピをはじめ、お弁当ブロガーや料理研究家が、カラフルでかわいい「おにぎらず」のレシピを提案。
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