各メーカーから、数多くの炊飯器が登場していますが、いったいどんな炊き上がりになるのか、実際に炊いてみないとわからないのは困ったものですよね。ここでは、2017年下半期に発売された最新の炊飯器8モデルを一堂に集め、大試食会を決行。家電のプロの二人が炊き上がりを徹底チェックしました!
試食したのはこの人
家電コーディネーター 戸井田園子さん
幅広い媒体で活躍する家電のプロ。
家電ライター 平島憲一郎さん
生活家電中心に性能検証記事などを執筆。
【調理ルール】
千葉産のコシヒカリを「白米・標準」モードで炊飯。3.5合炊き以下は2合、それ以外は3合ずつ炊きました。
その1
新素材配合の土鍋でより旨み濃厚に炊き上げ
タイガー魔法瓶
土鍋圧力IH炊飯ジャー 〈THE 炊きたて〉JPG-X100
実売価格13万4520円
土鍋釜に「炭化ケイ素」を新配合し熱伝導が約2.5倍に。かまどと土鍋の熱を米にしっかり伝え、甘みと香り濃厚なごはんに仕上げます。音声ガイド機能で操作も快適。●サイズ/質量:約W261×H220×D325㎜/約7.3kg●炊飯容量:1~5.5合
【炊き上がりはコチラ!】
十分なツヤと強い粘りが、米粒の表面から見て取れます。おこげもしっかり存在!
「炊き上がった瞬間のみずみずしさが印象的。粘りよりも弾力がある感じです。本格派の土鍋ごはんですね」(戸田井)
「米の甘みとおこげの豊かな香りは他の追随を許しません。おこげのパリパリ感も従来よりアップした印象」(平島)
【総評】
おこげの香り高い、甘み濃厚なごはんに仕上げます。内釜が土鍋で、やや取り扱い注意。人感センサーの使い勝手は賛否がわかれそうです。
その2
加圧追い炊き機能採用でごはんの甘みがさらに向上
パナソニック
スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「Wおどり炊き」SR-SPX107
実売価格9万1110円
IH通電の高速切り替えと可変圧力での2つのおどり炊き技術「Wおどり炊き」を搭載。炊飯終盤さらに加圧する「加圧追い炊き」を新採用し、ごはんの甘みともちもち感が向上しました。●サイズ/質量:W266×H233×D338㎜/7.0kg●炊飯容量:0.5~5.5合
【炊き上がりはコチラ!】
米一粒一粒が白色のおねばをまとっており、炊き上がりツヤやか。粘りも十分にありました。
「粘り・硬さなど含め、バランスが良い炊き上がりですね。万人受けするタイプのごはんだと思います」(戸田井)
「炊き上がりの食感は柔らかめで程良いモチモチ感。味も甘みの中にコシヒカリの風味が感じられました」(平島)
【総評】
やや柔らかめでモチモチの炊き上がり。ツヤ、甘み、香りも十分。軽い内釜など手入れもしやすく、高度にバランスが取れています。
その3
炭釜による大火力で粒立ちよくふっくら炊飯!
三菱電機
本炭釜 KAMADO NJ-AW108
実売価格12万9600円
発熱効率が高い炭釜を採用し、粒立ちの良いふっくらごはんに炊き上げます。新搭載の密封弁でごはんの潤いを保ちます。15通りの食感炊き分け、35種類の銘柄炊き分けが可能です。●サイズ/質量:W285×H249×D320㎜/約5.7kg●炊飯容量:0.5~5.5合
【炊き上がりはコチラ!】
米一粒一粒の内部に水分を保持。ハリとツヤがあり、口の中でほどける食感が特徴です。
「非圧力らしいしっかりとした歯ごたえがあります。炊いた直後の香りや粒感が良いです。和食と相性◎」(戸田井)
「香りは鮮烈かつ濃厚で、食べると甘みの中に米本来の味が感じられます。ハリと弾力のある食感も魅力」(平島)
【総評】
単なる甘みや香りでなく、米の持つ風味まで感じさせる炊き上がりは圧巻。炭釜は洗う際に割れたりしないよう、注意が必要です。
その4
南部鉄器の羽釜が生む熱対流で絶品の炊き上がり
ZOJIRUSHI
圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』NP-QT06
実売価格10万7760円
南部鉄器の羽釜を採用。大火力と高圧力で米を豪快にかき回す独自の技術で、少量炊きでも甘み満点に仕上げます。自動で好みの食感に炊ける「わが家炊き」機能も搭載。●サイズ/質量:約W265×H225×D320㎜/約6.0kg●0.5~3.5合
【炊き上がりはコチラ!】
炊き上がったごはんには、しっとりしたツヤ感がありました。ツヤ自体はやや控え目な印象。
「一粒一粒がしっかり膨らみ、ごはんの粒が大きく感じます。もちもちした炊き上がりは象印ならではです」(戸田井)
「蓋を開けると新米の瑞々しい香りが広がりました。程良く柔らかで、モチモチ感の強い炊き上がりです」(平島)
【総評】
象印の5.5合炊きの最上位機種に比べると甘みもモチモチ感も控えめ。内釜は南部鉄器だが、小型なのでそこまで重さを感じません。
その5
鋳物ホーロー技術と火力調整で極上ご飯を実現
バーミキュラ
バーミキュラ ライスポット
実売価格8万6184円
高気密の鋳物ホーロー鍋技術とIHの火加減調節技術を融合。3層コートのホーローの遠赤効果などで、米本来の旨みを引き出します。無水調理鍋としても利用可能です。●サイズ/質量:約W311×H208×D296㎜/約6.9kg●炊飯容量:1~5.5合
【炊き上がりはコチラ!】
ハリとツヤのある炊き上がり。やや冷めてくると、食感に締まりが出た印象がありました。
「米がぎゅっとした感じの、しっかりとした炊き上がりです。噛むと甘みもしっかり感じられます」(戸田井)
「新米のせいか、やや柔らかめの食感。甘みもほどよくほのかにおこげの香りがあり、食べ飽きない味です」(平島)
【総評】
ツヤ、甘み、香りともに奥深さが感じられます。炊飯設定は極シンプル。鍋と蓋が重いのと、米粒がこびりつきやすいのが難点です。
その6
独自の真空・圧力技術でごはんの甘みと粘りがUP
東芝
真空圧力IHジャー炊飯器備長炭かまど本羽釜 RC-10ZWL
実売価格9万4220円
独自の真空ひたし・圧力炊飯技術で、ごはんの甘みと粘りを引き出す炊飯器。11通りの食感炊き分けに加え、ごはんの甘みがアップする「甘み炊き」コースも搭載。●サイズ/質量:W245×H228×D328㎜/約7.2kg●炊飯容量:0.5~5.5合
【炊き上がりはコチラ!】
ごはんのツヤは文句なしの美しさ。炊飯後、少し時間が経つと米粒にハリも出てきました。
「強い個性は主張しない、食べやすい炊き上がり。真空で米の芯まで吸水させるので早炊きでもおいしい」(戸田井)
「強い粘りがあり、食感は柔らかめな食べ応えのあるごはんです。炊きたてごはんの濃厚な香りも魅力」(平島)
【総評】
炊きたてごはんの香り、甘みともに濃厚。圧力式で内蓋の手入れがやや大変です。タッチパネルの文字が小さく、操作はコツがいりそうです。
その7
銘柄ごとに給水量を計算最適な炊き上がりに!
アイリスオーヤマ
銘柄量り炊きIHジャー炊飯器 KRC-ID30-R
実売価格3万5424円
米の銘柄ごとに最適な水量を計算するモデル。各銘柄で火力と加熱時間も自動調整し、米の特徴を引き出す炊飯が可能です。よそったごはんのカロリー表示機能も新搭載。●サイズ/質量:W226×H220×D280㎜/4.3kg●炊飯容量:0.5~3合
【炊き上がりはコチラ!】
白く透明感のあるツヤが特徴。食感は適度にしゃっきりしています。冷えてもおいしく食べられます。
「甘み・香り・もちもち感はやや控えめ。ですが、価格を踏まえれば、この炊き上がりは文句なしです!」(戸田井)
「もちもち感がありつつ、やや硬めの炊き上がりで、甘みの余韻も良い。この味でこの価格はおトク!」(平島)
【総評】
ツヤは控えめだが透明感のある仕上がりで甘み十分。内蓋も内釜も手入れしやすいです。コスパで考えると超優秀です。
その8
高温浸しと圧力スチームでふっくらツヤやかに炊飯!
日立
IHジャー炊飯器「ふっくら御膳 RZ-AW3000M」
実売価格7万7720円
高めの水温で浸し米の吸水を高めるとともに、独自の圧力スチーム技術でふっくらツヤやかなごはんに炊き上げます。0.5合もおいしく炊く「少量炊き」機能を搭載します。●サイズ/質量:W268×H237×D352㎜/約6.6kg●炊飯容量:0.5~5.5合
【炊き上がりはコチラ!】
しっかりと保水した米は、ツヤも上々。口に入れると適度にほどけて食感が良いです。
「甘みもふっくら感もあり、標準的。もちもちとしゃっきりの炊き分けがしっかりできています」(戸田井)
「ほどよい粘りがありつつ、やや硬めの食感。最初は甘み弱めに感じましたが、食べるうちに甘みが増幅」(平島)
【総評】
モチモチとしゃっきりの中庸的な食感が特徴。大型縦長の液晶パネルはメニューの視認性が高いです。「戻る」ボタンがないのは惜しいところ。