顔認証は空港のような一部の場所でしか使用されない――そんな時代は終焉を迎えつつあるのかもしれません。生活のいたるところで顔認証が求められる時代が来ています。そんなことを感じさせるニュースが飛び込んできました。
Facebookのスポークスマンは、同ソーシャルメディア上でスパム活動をするボットとリアルなユーザーとを区別するため、ユーザーに顔写真の提出を求める可能性があると発表しました。
フェイクニュースをばらまくボットを排除せよ!
Facebook上で大量のボットが偽アカウントでユーザーに友達リクエストをしたり、広告を出したり、投稿したりとスパム活動が問題となっています。
また、ロシアの組織が偽アカウントを大量に作って人種や移民などのテーマで米国社会を分断するような政治的メッセージを大量に投稿したことがFacebook社の調査で発覚。この工作が昨年度の米国大統領選挙の結果にも影響したのではないかと言われています。
Facebookは単なるソーシャルメディアではなく情報をユーザーに伝えるニュースメディアとしての責任も問われるようになってきています。そのため虚偽の情報を大量に流通させるボットを排除する必要性が出てきているのです。
従来、ボットとリアルなユーザーとを区別するために歪んだ文字や数字の入力をユーザーに求める認証手段「CAPTCHA」が活用されてきました。しかしながら、これも最新のマルウェアによって突破されることがあるようです。
顔認証はボットとリアルなユーザーを区別するためのセキュリティ強化策として検討されているのです。Facebookはボットによる偽アカウントが好き勝手する状態を抑えたいのでしょう。
Facebookはこの顔認証をいつ実行するかは明かしていません。しかし、すでに一部のユーザーの間でFacebookにログインできなくなり、再開のために顔写真をアップロードするよう求められたという証言があります。
ウェブサイトのReddit(上のイメージ)を見てみると「偽アカウントでもないのにアカウントを凍結されて顔写真をアップロードするように求められた」「めんどくさすぎ!」「Facebook最悪!」といった不満の声が多くのユーザーから挙がっています。偽アカウントとそうでない一般ユーザーのアカウントを見分けるのは容易ではなさそうです。
Facebookは企業理念として「Bring the world closer together(世界の絆を強める)」を掲げています。社会の分断を助長するかのようなスパム活動を含む工作に対しては徹底的な態度で臨むでしょう。
もはや人々の情報インフラとして欠かせなくなったFacebook。その影響力はかつてないほど強くなっています。社会的責任をどう果たしていくのか。今後も試行錯誤が続きそうです。