2017年も数々のカメラ新製品が登場し、市場を賑わせました。本稿ではプロカメラマン・吉森信哉さんが、2017年に発売されたカメラ製品のなかから“意表を突かれたカメラ”という切り口で5製品をピックアップ。選出理由も含め、ランキング形式で紹介してもらいます。
※記事内の価格は2017年12月27日時点の編集部調べによるものです
【第5位】富士フイルム GFX 50S
1kgを切る小型軽量の“中判ミラーレス”
GFX 50Sは、「FUJIFILM G フォーマット」のイメージセンサーを搭載する、小型軽量ボディの中判ミラーレスカメラ。その中判サイズの有効5140万画素CMOSセンサーと、画像処理エンジン「X-Processor Pro」の組み合わせにより、35mm判フルサイズ機を上回る超高画質を実現する。そして、静電式タッチパネルを採用する背面モニターや、防塵・防滴・耐低温構造の高剛性マグネシウム合金製ボディの採用などにより、過酷な屋外撮影での高パフォーマンスも期待できる。
【選出理由】
超高画質が期待できる、中判サイズ(43.8×32.9mm)の5140万画素CMOSセンサーを搭載。これだけでも35mm判フルサイズ一眼レフカメラに対するアドバンテージになるが、GFX 50Sのボディの重さは1kgを切る軽量設計だ。この「約740g」という質量は、予想以上の軽さであった。また、EVF(液晶ビューファインダー)は、富士フイルム初の着脱式で、使い方に合わせたボディスタイルが選択できる。このあたりのフレキシブルさも驚いた点である。さらに、液晶モニターはタッチパネル対応なのでメニュー操作や測距点選択などが迅速に行えるし、縦位置にも対応できる3方向チルト機構の採用も機動性の高さにつながっている。
【SPEC】
●カメラ形式:レンズ交換式ミラーレス ●撮像素子サイズ:中判(43.8×32.9mm) ●有効画素数:約5140万画素 ●ISO感度:100~12800(拡張:下限50、上限102400) ●シャッター速度(※は電子式):1/4000(※1/16000)~60分、バルブ、タイム ●AF方式(測距点数):TTLコントラストAF(425点) ●連続撮影速度:約3コマ/秒 ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%・0.85倍) ●液晶モニター:3方向チルト式3.2型・約236万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:147.5×94.2×91.4mm(最薄部41.6mm) ●質量(本体のみ):約740g ●参考価格(ボディ):80万4060円
【第4位】キヤノン PowerShot G1 X Mark III
1.0型機を彷彿とさせる小型軽量ボディにAPS-Cサイズセンサーを搭載
キヤノンのコンパクトデジカメで、初めてAPS-Cサイズのセンサーを採用したモデル。その有効約2420万画素のCMOSセンサーと、新設計の光学3倍ズームレンズにより、美しいボケや豊かな階調を生かした表現が可能だ。さらに、映像エンジンDIGIC7の搭載により、高感度撮影時のノイズ耐性や高解像度を実現し、独自のデュアルピクセルCMOS AFの採用で「AF追従時・約7コマ/秒」の高速・高精度な連続撮影も実現している。
【選出理由】
1.0型センサー機のPowerShot G5 Xと見紛うサイズ&デザインの小型ボディに、APS-CサイズのCMOSセンサーと高性能な光学3倍ズームレンズを搭載。筆者のようにG5 Xを使ったことがある人間なら、素直に驚いてしまうだろう。「あれと同程度サイズのAPS-Cズーム機が可能なのか!」と(※高級コンデジのスタンダードは1.0型センサーで、APS-Cサイズセンサーはそれよりも大きい)。しかも、前述の高速・高精度な連続撮影や、「ピクチャースタイル」の搭載、防塵・防滴構造の採用など、一眼レフEOSシリーズのミドルクラス機並の機能や仕様を備えている点も恐れ入る。そして、一眼レフとはひと味違う軽快なサイズ&質量のカメラだけに、より軽快で快適な高品位撮影が堪能できる。
【SPEC】
●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:APS-Cサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):24~72mm ●ISO感度:100~25600 ●シャッター速度:1/2000~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):デュアルピクセルCMOS AF(49点) ●連続撮影速度:最高約9コマ/秒 ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%) ●液晶モニター:バリアングル式3.0型・約104万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:約115.0×77.9×51.4mm ●質量(本体のみ):約375g ●参考価格:12万7460円
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センサーは大きく、でもボディはコンパクトに! キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」の与えた衝撃
【第3位】ソニー Cyber-shot DSC-RX0
アクションカメラと見紛うタフネス仕様の高画質モデル
プレミアムコンパクトRXシリーズの高画質技術を、防水性や堅牢性を備えた小型ボディに凝縮したコンパクトデジタルカメラ。水中や砂ぼこりが舞う環境、限られたスペースでの撮影など、あらゆる過酷な状況下での撮影を実現する。また、ワイヤレス接続や有線接続で複数台を組み合わせての多視点撮影なども可能。
【選出理由】
近年、ツーリングやマリンスポーツなどのアウトドアで、小型で堅牢なアクションカメラが活用されている。DSC-RX0はそうしたカメラを彷彿とさせる、小型で斬新なフォルムが目を引く。だが、その中身(実力)は、紛れもなく高画質設計のRXシリーズそのものである。撮像センサーには、高感度・低ノイズで広いダイナミックレンジを実現する、有効約1530万画素のメモリー一体1.0型積層型CMOSイメージセンサーExmor RSを採用。まず、この大型センサーに驚く。そして、搭載レンズは高解像で歪みの少ない広角「ZEISS Tessar T* 24mm」レンズ。こういったハイグレードな主要パーツを、約59.0×40.5×29.8mmの超小型ボディに搭載しているのだ。また、水深10mの防水性能、2.0mの落下耐性、200kgfの耐荷重……というタフネス性能も見逃せない。
【SPEC】
●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:1.0型 ●有効画素数:約1530万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):24mm ●ISO感度:125~12800(拡張:下限80) ●シャッター速度:1/32000~1/4秒 ●AF方式(測距点数):ワイド(25点自動測距)など ●連続撮影速度:最高約16コマ/秒 ●ファインダー:- ●液晶モニター:1.5型・約23万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:59.0×40.5×29.8mm ●質量(本体のみ):約95g ●参考価格:8万3490円
■Cyber-shot DSC-RX0の詳細はコチラ↓
超小型なのに1型センサー&ツァイスレンズを搭載! ソニー「Cyber-shot RX0」はいったい何者!?
【第2位】ニコン D850
高画素化と高速化を図ったフルサイズ一眼レフの主力モデル
ニコンのデジタル一眼レフで初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、有効4575万画素と高画素ながらISO64~25600の広い常用感度域を実現。また、ボディ単体でも最高約7コマ/秒、マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」使用で最高約9コマ/秒の高速連続撮影が可能になる。タッチパネル対応のチルト式液晶モニターも搭載。センサー画素数と高速連写性能を両立させた、ハイレベルな35mm判フルサイズ一眼レフである。
【選出理由】
従来モデルに当たるD810も「有効3635万画素」と十分に高画素な一眼レフだったが、本製品は「有効4575万画素」とさらに高画素化。しかも、入射光を効率的にフォトダイオードへ導く裏面照射型CMOSセンサーなので、高感度性能(領域と画質)も大きく進化している。そして、高速連続撮影の性能も、D810の「最高5コマ/秒」から、バッテリーグリップ装着で「最高9コマ/秒」へと大幅スピードアップ。その“高画素化と高速化”のレベルアップに感心する。と同時に、近年ミラーレスカメラに押されぎみの一眼レフの“底力”を見せつけられた思いだ。
【SPEC】
●カメラ形式:レンズ交換式一眼レフ ●撮像素子サイズ:35mm判フルサイズ ●有効画素数:4575万画素 ●ISO感度:64~25600(拡張:下限32、上限102400) ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ、タイム、X250 ●AF方式(測距点数):TTL位相差検出方式(153点、選択可能55点) ●連続撮影速度:約7コマ/秒、約9コマ/秒(マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」装着で電源が「EN-EL18b」の場合) ●ファインダー:一眼レフレックス式ファインダー(視野率約100%・約0.75倍) ●液晶モニター:チルト式3.2型・約236万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法:約146×124×78.5mm ●質量(本体のみ):約915g ●参考価格(ボディ):39万9600円
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【第1位】ソニー α9
プロ仕様一眼レフを凌駕する、驚異の高速連写ミラーレス
新開発の有効約2420万画素フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーと、進化した画像処理エンジンBIONZ X。この組み合わせにより、AF/AE追従「最高20コマ/秒」の高速連写を実現。また、大容量バッファメモリーの搭載により、20コマ/秒連写で圧縮RAW241枚/JPEG362枚1の大量連続撮影も可能。
【選出理由】
ごく一部のプロ仕様35mm判フルサイズ一眼レフならば、毎秒十数コマの高速連写が可能である。が、このα9は、ミラーレス(ミラーがない)構造上のメリットを生かし、AFとAEを追従させつつ「最高20コマ/秒」という驚異的な高速連続撮影を可能にした。その“一眼レフを超える超高速連写が可能なフルサイズ機”という点に、非常に驚きを覚えた。しかも、電子シャッター撮影なので、一眼レフのようなシャッターごとのブラックアウトも発生しない。また、その高速性能だけでなく、圧縮RAWモードで「241枚」という大量の連続撮影が可能である、という点にも度肝を抜かれる。少し大げさに表現すれば、スポーツなど一瞬を捉える撮影に革命をもたらしたカメラ、とも言えるだろう。
【SPEC】
●カメラ形式:レンズ交換式ミラーレス ●撮像素子サイズ:35mm判フルサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●ISO感度:100~51200(拡張:下限50、上限204800) ●シャッター速度(※は電子式):1/8000(※1/32000)~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):ファストハイブリッドAF(693点) ●連続撮影速度:最高約20コマ/秒(電子)、最高約5コマ/秒(メカ) ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%・約0.78倍) ●液晶モニター:チルト式3.0型・144万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):約126.9×95.6×63.0mm(グリップからモニターまで) ●質量(本体のみ):約588g ●参考価格(ボディ):50万6930円
■α9の詳細はコチラ↓
注目ミラーレス一眼の真価を問う! ソニー「α9」対「動きモノ」