健康や美容にいい食材として注目を集めている「発酵食品」。納豆、味噌、ぬか漬け、塩麹……などが日本の食文化から生まれた発酵食品はたくさんありますが、甘酒や粕汁などにも使われる「酒粕」もそのひとつです。
「酒粕」は、日本酒を搾った残り。「カス」というネーミングゆえに、なんだか不要なものに思われがちですが、実はうまみも栄養もぎっしり。栄養価が非常に高いうえに、料理に使えば食材の味を引出してくれる優れものなのです!
腸内環境を整って、おなかすっきり!
スゴいパワーを持つと注目されている酒粕には、健康や美容にいい影響をもたらす栄養素がたっぷり含まています。
中でも食物繊維の含有量は抜群で、野菜の中でも群を抜いて多いというごぼうに匹敵するほどなのだとか。それに加え、余分なものの排出を促す効果を持つたんぱく質の一種、レジスタントプロテインが豊富に含まれている点もポイント。ダブルの効果で、腸内環境を整えてくれるので、おなかすっきり効果は絶大なのです!
また、もともと米から作られているうえに発酵過程を経た酒粕は、植物性のアミノ酸がたっぷり。さらに、糖質やタンパク質をすみやかにエネルギーに変えてくれるビタミンB1やB2、葉酸、ナイアシン、体内の消化吸収や代謝、排出などに密接に関わる「酵素」など、カラダの調子を整える栄養素をふんだに含みます。これらが、必要な栄養素を吸収し不要なものを排出するサイクルを整えてくれるので、血液の流れや内臓の働きもスムーズに。すると、ダイエット効果はもちろん、免疫力の向上、生活習慣の予防や改善、肌や髪のハリ艶もアップ! と、さまざまな効果が期待できます。
酒粕は、料理をぐっと美味しくする万能調味料
酒粕は健康や美容にいいだけでなく、料理を美味しくしてくれる効果も! そのカギとなるのが、「うまみ」のもとであるアミノ酸です。
酒粕は原料であるお米がもともと持っているアミノ酸に加えて、発酵によって生まれたアミノ酸も併せ持つため、うまみ成分がぎっしり! このうまみ成分を他のうまみ成分と合わせると、ダシのような効果を発揮するため、美味しさがぐっとアップするそう。
酒粕を使ったメニューというと、甘酒や粕汁が良く知られていますが、実は炒め物や煮物、和え物、スープ、デザートなどさまざまな料理と好相性。『寺田本家の酒粕レシピ』(なかじ・著/PHP研究所・刊)の<根菜を使った酒粕味噌カレー>は、根菜から出るとろみと、酒粕・味噌のコクでカレールーを使わなくても大満足な一品に。ゆでたアツアツのパスタに、あらかじめペースト状にしておいた酒粕と香り高いエクストラバージンオリーブオイルをさっと絡めるだけの<酒粕で和えただけパスタ>は、酒粕がチーズのような風味が味わえるのだとか。
きちんと保存すれば、1年以上傷む心配なし!
酒粕は、長期保存ができるのも嬉しい点。空気に触れないように密閉して冷蔵庫で保存すれば、1年以上傷む心配もなし。時間が経てば酒粕特有の香りは薄れますが、その分、うまみや甘味が増加するそう! また黄ばんでくることもありますが、それは熟成が進んでいるから。料理にも問題なく使えます。ただし、酒粕のまろやかな香りではない嫌なにおいがする場合は、腐敗している可能性が高いので廃棄を。
健康・美容効果抜群なうえ、ひとさじで料理を美味しくしてくれる酒粕。ぜひ、毎日の生活に取り入れてみませんか?
(文・カキヌマヨウコ)
【文献紹介】
寺田本家の酒粕レシピ
著者:なかじ
出版社:PHP研究所
酒粕は免疫力アップ・若返り・ダイエットに効く究極の健康食材!酒粕にたっぷり含まれる酵素やレジスタントプロテイン、ミネラル類が体をイキイキとよみがえらせてくれます。さらに、酒粕にはうまみ成分がぎっしり。ひとさじ加えるだけで料理をグンとおいしくしてくれる万能調味料なのです。本書では、340年続く蔵元「寺田本家」の職人であり、発酵料理研究家でもあるなかじさんが考案した絶品酒粕レシピを73品紹介。おいしくてサッと作れる酒粕のおかず・ご飯・スイーツに加え、酒粕ラー油・酒粕豆乳ヨーグルトなど技あり発酵食のレシピも満載。アルコールを飛ばした「酒粕ペースト」をベースにしたレシピなので、女性や子どももおいしく食べられる、野菜たっぷりの料理ばかり。酒粕で楽しい発酵生活、始めましょう。